高血圧が気になる人に!ふくらはぎを鍛える「ミルキングトレーニング」を専門家が伝授
心筋梗塞や脳卒中、狭心症や脳梗塞など命を落とすリスクの高い病気から、冷え、むくみといった美容の大敵まで、原因は「血管」にあることも。第二の心臓といわれる「ふくらはぎ」を鍛えることで、血圧を下げるなど血管年齢を若返らせることもできるという。専門医が提唱するふくらはぎのトレーニングを紹介する。
血管ケアに「ふくらはぎたたき」
心臓と脳に直結する血管をケアすることはもちろん、“第二の心臓”もいたわりたい。日本歯科大学病院内科臨床教授で『血圧が下がる人は「これ」だけやっている』(アスコム)の著書がある渡辺尚彦さんは「ふくらはぎたたき」を取り入れることを推奨する。
「ふくらはぎをたたいて圧を加えることで、内皮細胞の働きを活性化させられるだけでなく脚のむくみも取ることができる。
実際に、たたく前と後で水が容量いっぱいまで入ったバケツの中に足を入れ、こぼれた水の量を比較したところ、たたいた後は片脚だけで320㏄も減っていました。血圧も5~10mmHgほど下がっています」(渡辺さん・以下同)
実践する際は、側面と裏面に分けて行おう。
「まず、足先からひざ下のあたりまで下から上へ、脚の側面をリズミカルにたたきます。両手のひらの付け根を使って、痛気持ちいいくらいの強さで、左右それぞれ5分程度行いましょう。
続いて、アキレス腱からひざ裏あたりまで、下から上へげんこつでたたきます。こちらも同じくらいの強さで、左右それぞれ3分程度が目安です。両方とも、強くたたきすぎないように注意しながら行ってください。
また、静脈瘤がある人はたたくことでエコノミークラス症候群を誘発する可能性があるため、控えましょう」
「ふくらはぎたたき」のやり方
【1】ふくらはぎの側面を下から上へ両手のひらの付け根でリズミカルにたたく。約5分、「痛気持ちいい」と感じるくらいの強さでたたいた後、反対の脚も同様に行う。
【2】アキレス腱からひざ裏まで、下から上へたたいていく。約3分、「痛気持ちいい」と感じるくらいの強さでたたいた後、反対の脚も同様に行う。
手のつぼ「合谷・ごうこく」で血流改善
並行して取り組むべきは、親指と人さし指の間にある「合谷(ごうこく)」のつぼ押しだ。反対側の手で指の付け根を押して、痛気持ちいい場所を探ろう。
「ここを刺激すると、上半身の血管が拡張し、血圧が下がり、体も温まります。高血圧に悩む患者に1日3回、合谷を指圧してもらったところ、平均で血圧が4mmHg下がり、軽い降圧剤を処方したときと同等の効果がありました。血流が改善された結果、食事に支障が出るほど重症だった顎関節症が治った人もいます」
1週間で血圧を下げる「ミルキングトレーニング」
ふくらはぎはたたいて直接力を加えるだけでなく、筋肉を鍛えることも血管の若返りのためには必須事項だ。フィジカルトレーナーの坂詰真二さんが解説する。
「ふくらはぎの筋肉には、重力の影響で下半身にたまった血液をポンプのように心臓へ押し戻す役割があります。それを牛の乳しぼりになぞらえて『ミルキングアクション』と呼んでいます。現代人は歩く機会が減り、ふくらはぎの筋肉が弱ってミルキングアクションが充分にできずに血流が滞り、血管がもろくなっている人が少なくありません」(坂詰さん・以下同)
ふくらはぎの筋肉を鍛え、ミルキングアクションを復活させるために坂詰さんが考案したのは「ミルキングトレーニング」と呼ばれるストレッチのメソッド。家事や仕事の合間に実践することができる簡単な方法だ。
ふくらはぎを鍛えるミルキングトレーニングのやり方
【1】両脚を平行にして、足の指を真っすぐ前に向けて立つ。
【2】片側の脚を、つま先は床につけたままかかとを高くしっかりと上げて、親指の付け根に体重をのせ、かかとを下ろしながら、今度は反対側のかかとを高く上げる。その際、ひざは曲げてもいい。
【3】その場で足踏みするイメージで、交互に繰り返す。
「かかとを上下させるだけで、ふくらはぎの筋肉は簡単に鍛えることができる。座って行ってもOKです。実際に、受付の仕事をしながら取り組んでいる人もいる。むくみや冷えの解消にも効果があり、『これまで重たかった脚がすっきりした!』との声もよく聞きます。運動不足の人だけでなく、筋トレをしている人にも取り組んでほしい運動です。筋トレだけ行っていると、血管が硬くなりかえって血圧が上がりやすくなることがある。ミルキングトレーニングは筋肉の疲労を取りながら血流を改善することができるため、筋トレと並行して行うことを推奨します」
1回1~3分程度、トータルで1日10分間行うのが理想的だ。
「静脈瘤の予防になるうえ、高血圧の人はミルキングトレーニングを取り入れたところ、1週間で下がったとの報告もありました。ただし、血圧を安定させるためには継続が必要になります。血管は取り換えることができない器官なので、ぜひ自身でこまめにケアをしてほしいです」
寒い冬を血管病で倒れずに乗り切るために、もんでたたいて伸ばして鍛えよう。
教えてくれた人
渡辺尚彦さん/日本歯科大学病院内科臨床教授、坂詰真二さん/フィジカルトレーナー
イラスト/おしろゆうこ
※女性セブン2022年11月24日号
https://josei7.com/
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