猫が母になつきません 第318話「りょうりする」
スープカレー、美味い。携帯依存に陥った母は料理をほとんどしなくなっていました。いつも携帯を握りしめているので片手がふさがっていて料理しようにもできません。携帯を解約して両手があいた母がいろいろやるようになったのはうれしいことです。しかし母はもともと料理が得意ではなく、下手なのに調味料をいろいろ入れたがって素材の味を台無しにするタイプ。この日もスープにしておいてくれたら後でアレンジすればいいと思って「スープ」を選択したのに、出来上がっていたのはまさかのスープカレー。だいたい言ったとおりにはなっていないのが常ですけど。具は昨日の残り物の豚の生姜焼き、うちの畑でできたトマト、ご近所の畑からいただいたじゃがいもと玉ねぎ、味付けはカレールーがなかったので棚にあったガラムマサラやカレー粉などのスパイスを母流にいろいろぶち込んだのが功をそうしたようで、奇跡的にとても美味しくなっていました。自家製梅シロップを牛乳で割って作ったラッシーを添えれば、カレーランチセットのできあがり。うちならではのごはんになりました。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。