『さんまのまんま』に出演!高木ブーが明かす「全員集合とひょうきん族、“土8戦争”の真相」|連載71回
「20年ぶりぐらいに会ったけど、やっぱり明石家さんまさんはすごいよ」と、笑いの世界の後輩を手ばなしで称賛する高木ブーさん。17日に放送される「さんまのまんま 初夏SP」(フジテレビ系)に、ザ・ドリフターズの3人がゲスト出演する。盛り上がった収録の様子と、かつての“因縁”についてブーさんが教えてくれた。(聞き手・石原壮一郎)
「昔、ドリフターズはさんまさんに助けられたんだよね」
このあいだの「さんまのまんま 初夏SP」(6月17日20時~)の収録は楽しかったな。加藤(茶)と仲本(工事)と僕の3人で行ってきたんだけど、すごく盛り上がった。これまでも加藤や僕がひとりで出たり、僕と仲本で出たりしたことはあったんだけど、3人では初めて。番組以外でも、3人ともさんまさんに会ったのは20年ぶりなのかな。
あのいつものテンションで、僕たちがひとつ何か言うと、そこから話をどんどん転がしていく。すごいなと思ったのが、そもそも台本がないこと。事前の打ち合わせも僕らとスタッフだけでちょっとやって、さんまさんはぶっつけ本番らしい。黒柳徹子さんが事前にしっかりメモを用意するのは有名だけど、そういうのもないって言ってたね。
若手だと思ってたけど、もうすぐ67歳だって聞いてビックリしちゃった。今回わかったんだけど、その昔ドリフターズは、20歳だったさんまさんに大ピンチを助けてもらったことがあるみたい。まさにさんまさんだからこそのファインプレーだった。それにしても、縁っていうのはどこでつながってるかわかんないもんだね。
ひょっとしたら、「ドリフとさんまは仲が悪いんじゃないか」と思っている人もいるかもしれない。「8時だョ!全員集合」と同じ時間帯で「オレたちひょうきん族」がスタートして、「土8戦争」なんて言われてたもんね。「全員集合は『ひょうきん族』に負けたから終わった」と思っている人もいる。前にも話したけど、そうじゃないんだよね。
全員集合とひょうきん族では、たしかに同じ「お笑い番組」ではあるけど、作り方も笑いの方向もぜんぜん違う。全員集合は何度もリハーサルを重ねて、細かいところまで作り込んだ笑いを公開生放送で見せる。ひょうきん族は出演者が個人のキャラクターを伸び伸びと出して、アドリブも積極的に入れながらスタジオで収録してつないでいく。僕の中では「別のジャンル」の番組で、ライバルと思ったことはない。
1985年に全員集合が終わったのは、ひょうきん族に負けたとかじゃなくて、作り込んだ笑いを公開生放送で見せるスタイルが、番組としての役割を終えたってことなんじゃないかな。だから、さんまさんやビートたけしさんに対して、ヘンな感情なんてこれっぽっちもない。すごい才能だなと尊敬してるし、これからもどんどん活躍してほしいと願ってる。たぶん長さん(いかりや長介)や志村(けん)も含めて、ドリフのほかのメンバーも同じじゃないかな。
さんまさんのほうも、志村の訃報があったときにあたたかいコメントを出してくれてたよね。「我々はドリフターズという横綱がいるから、小結あたりでちょろちょろと変化のある相撲を取りながら『ひょうきん族』を頑張って。ドリフがいるから『ひょうきん族』があった」と言ってた。前月に『天才!志村どうぶつ園』から出演オファーがあったけど、スケジュールが合わなくて出られなかったらしい。そのことを残念がってたな。
今回も3人でいろんな話をしたけど、どんな編集になっているかな。僕も楽しみです。ニコニコ生放送の「もリフのじかんチャンネル ~ももいろクローバーZ×ザ・ドリフターズ~」もそうだけど、昔より最近のほうが3人でトーク番組に出る機会が増えた。何度もやってるうちに、何となく役割分担ができてきた気がする。
加藤は突っ込みながら全体の流れを見てる。仲本は横でニコニコして雰囲気を落ち着かせてる。僕はというと、突っ込まれ役なんだよね。加藤にもほかの共演者にも容赦なく突っ込まれる。話題の切れ目で、いきなり「ブーさん、起きてますか?」なんて言われたりね。「さんまのまんま」のときも、そんな感じだったな。僕がいちばん年上なんだけど、突っ込みやすいのかな。そういう役割、けっこう気に入ってるんだよね。
夏に向けて、ウクレレ方面でも重大発表がたくさんあります。ついに念願の……。詳しい情報は、もうちょっとお待ちください。ウキウキすることがいっぱいの忙しい夏になりそうだけど、そのほうが元気でいられる気がする。お互い、夏を楽しみましょう。
ブーさんのひと言
「久しぶりにさんまさんと会ってうれしかったなあ。さんまさんのトークはやっぱりすごいね。『さんまのまんま』の放送が楽しみです」
高木ブー(たかぎ・ぶー)
1933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1964年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。CD『Hawaiian Christmas』『美女とYABOO!~ハワイアンサウンドによる昭和歌謡名曲集~』『Life is Boo-tiful ~高木ブーベストコレクション』など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)など。YouTube「【Aloha】高木ブー家を覗いてみよう」(イザワオフィス公式チャンネル内)も大好評。6月に初めての画集『高木ブー画集 ドリフターズとともに』(ワニ・プラス)を上梓。毎月1回土曜日20時からニコニコ生放送で、ドリフの3人とももクロらが共演する「もリフのじかんチャンネル ~ももいろクローバーZ×ザ・ドリフターズ~」が放送中。
取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)
1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」など著書多数。最新刊「【超実用】好感度UPの言い方・伝え方」が好評発売中。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。