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健康

“インターバル速歩”正しいやり方を専門家が解説「目に見えた効果が期待できるの歩くのが楽しくなる」

 健康のため、ダイエットのために運動を始めても「時間がない」「しんどい」「お金がかかる」「結果が出ない」と感じていませんか? 実はいつもの歩き方に変化を加えることこそが、カンタンに「美しく」「健康に」なる近道だったんです!

まずは筋肉痩せチェックリスト

 あなたはどれだけあてはまる? 数が多いほど、“筋肉痩せ”の可能性があります!

□ 仕事や家事以外で運動をしていない
□ 体形の崩れが気になっている
□ 寝ても疲れが取れない
□ 階段や坂道で息切れする
□ 見つけたら必ずエスカレーターやエレベーターに乗る
□ つまずくことが増えた
□ 片足立ちで靴下がはけなくなった

1日1万歩よりインターバル速歩

 20年にわたり「インターバル速歩」を研究してきた第一人者である信州大学医学部特任教授で医学博士の能勢博さんはこう話す。

「厚生労働省が2000年に『健康日本21(第一次)』で掲げた健康目標“1日1万歩歩く”を信じて、一生懸命歩いているかたがいまだ多くいらっしゃるのですが、我々が約200人を対象に“1万歩歩いた人”と“何もしていない人”と5か月間比較実験した結果、筋力も持久力もほとんど違いがないことがわかりました。しかし、運動強度を増した“早歩き”を導入すると、筋力(大腿四頭筋)は平均で13%、持久力(最高酸素消費量)は10%アップすることがわかっています(※1)」

 インターバル速歩とは、前述した運動強度の高い「早歩き」と、普段の「ゆっくり歩き」を交互に繰り返す歩き方。ゆっくり歩きがあることで、歩きながら疲労を回復できる点が画期的なメソッドといえる。

 しかも早歩きを行うのは細切れでもまとめてでもよく、1日最短3分、1週間で合計60分(ゆっくり歩きと合わせて最長120分)歩けばOKというもの。つまり歩かない日があってもよいのがポイントだ。

(※1)Nemoto K et al: Mayo Clinic Proceedings 82: 803-811, 2007.

見た目だけではなく精神面にも変化が…

「約9700人分のデータでも証明されていますが、血圧や血糖値の低下、ひざ痛の緩和、認知機能の改善、骨粗しょう症の予防、睡眠障害の解消、肌ツヤの改善…と、さまざまな健康・美容効果があることがわかっています。でもなにより、みなさん顔つきが変わってきますよ(笑い)。

「体が引き締まったり体力がついたりして自信を取り戻すというのもあるのでしょうが、精神面でも気力が湧いてくるそうです。『物事を即決できるようになった』『考え方が柔軟になった』『好奇心旺盛になった』とおっしゃるかたも多く、先日も60代でスペインの全長800kmの巡礼路に挑戦するかたがいらっしゃいました」(能勢さん)

記者も体験してみて「ぐっすり眠れて元気いっぱい」

 実際に記者もインターバル速歩を30分間してみると、足の裏の筋肉がほどよく刺激されて気持ちよいだけでなく、元々あった腰の痛みが気にならなくなっていた! しかもその晩はぐっすり眠れて、翌朝は寝起きから元気いっぱい!

「どんなにいい健康法でも続かなければ意味がありませんが、その点『インターバル速歩』は効果がどんどん目に見えるので、きっと“歩くのが快感”になるはずです。カンタンですしリハビリにも効果的なので、年齢問わず、どなたでも実践してほしいですね」(能勢さん)

インターバル速歩の歩き方

 さっそくインターバル速歩を始めてみよう! 正しく歩かないと効果が薄れるので、しっかりと確認して欲しい。

【早歩き3分】

 早歩きの基本フォームは、下記の8つのポイントを押さえるのが理想。年齢や体調によってできない場合は、無理せず歩きやすい形で続ければOK。

<メリット>

●「ややきつい」速度を目安に。2分以上歩くと心拍数が増加して息がはずみ、10分以上で汗ばむ程度。

●腹直筋、脊柱起立筋群、腸腰筋、腹斜筋など、インナーマッスルも活動する。

●大股歩きにすることでお尻から太もも、ふくらはぎと、大きな筋肉が活発に動く。

<8つのポイント>

■Point1:肩は力まずリラックス。ひじを後ろに引くことを意識して

■Point2:胸を開いて背筋をまっすぐ伸ばす。反り腰や猫背にならないよう注意

■Point3:歩幅はいつもより広く

■Point4:つま先で地面を押すように蹴り出す

■Point5:目線は25mくらい先を見る

■Point6:手は軽く握るか自然に開いた状態に

■Point7:ひじは約90度に曲げる

■Point8:かかとから着地

【ゆっくり歩き3分】

 ゆっくり歩きの時間は、早歩きでフル稼働した筋肉の疲労を回復させるのが目的。普段と同じくらいか、それよりやや遅いくらいに速度をガクンと落として歩きながら「もう1回早歩きできるか」「足腰の痛みはないか」をチェックしよう。無理は禁物。

<5つのポイント>

★Point1:背筋を伸ばした姿勢はキープ

★Point2:腰やひざ、足首などに痛みを感じていないかを確認

★Point3:脈拍の増加&息が上がっている状態を確認し、ととのうまで様子を見る

★Point4:疲れが回復してきているかを確認

★Point5:歩幅は普段と同じでOK

 

■慣れてきたら

 5~6か月すると最初の早歩きスピードでは健康効果が薄くなるので、いまの自分が「ややきつい」と感じる速度にスピードアップを。坂道や階段でおこなっても、レベルアップできる。

■雨の日は

 やる気を途切れさせないためには、室内運動も効果的。おすすめは壁にもたれて立ち、壁に背中をつけたまま、できる限り腰を落とすスクワット。10回を目標に。ただし回数もひざを曲げる角度も決して無理はしないこと。

■低体力改善&リハビリに

  他人と比べて速いか遅いかは関係なく、自分の体力に合った早歩きができれば、健康効果が期待できる。関節痛がある人などは、杖やカートといった補助器具を使いながら行うのもOK。

教えてくれた人

能勢博さん/信州大学医学部特任教授・医学博士

撮影/森 浩司 コミック/長谷川まき 取材・文・イラスト/辻本幸路

※女性セブン2022年5月12・19日号
https://josei7.com/

●1日1万歩より健康効果が高い1日30分の「インターバル速歩」とは?動脈硬化、糖尿病、認知症も予防

●認知症リスク軽減に「インターバル速歩」「会話しながらオセロ」「地中海食」

●脂肪が燃えるウオーキング3つの条件|1日20分以上、週3以上、あと1つは?

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