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暮らし

日野原重明さん105才まで現役を支えた食事は「ビフテキ・うな重」 百寿者の健康術

 105才まで医療者であり続けた医師の日野原重明さん。100才を超えても病院経営に奔走し、講演会もこなした日野原さんのパワーの源は食と笑顔にあったという。健康長寿のために、私たちにも取り入れられる食事&生活術を日野原さんを知る方や専門家に教えてもらった。

日野原さんの夕食はビフテキかうな重が定番

 慶應義塾大学医学部百寿総合研究センターで100才を超えて自立して生活する「健康長寿エリート」の分析・研究に携わる、教授の新井康通さんが、健康長寿のために真っ先に取り組むべきと主張するのは食生活の改善だ。

「特に重要なのは、たんぱく質をしっかり摂ることです。アルブミンの数値は、普段の食事に含まれているたんぱく質を摂取することでキープできますし、百寿者の多くはたっぷりたんぱく質を摂っている人が多い。肉や魚、大豆や乳製品など食卓に取り入れやすいものでかまいませんが、特に推奨したいのは青魚です。私たちが行った85才以上の高齢者を対象とした聞き取り調査によれば、青魚が多く含む良質な油分である『EPA』や『DHA』を多く摂っている高齢者ほど下肢の運動機能の衰えが少ないという結果が出ているのです。これはEPAやDHAの持つ抗炎症作用が理由だと推測されます」

 日本の予防医学に貢献し、105才で天寿を全うするまで生涯現役を貫いた医師・日野原重明さんも、その重要性をよく知っていた。

 日野原さんの薫陶を受けた日野原記念クリニック所長で医師の久代登志男さんが振り返って言う。

「日野原先生は、100才を超えても毎日のように夕食には肉を召し上がっていました。なかでもビフテキがいちばんお好きだった。奥さまが先立たれた後は、次男のお嫁さんの真紀さんが料理を担当していたのですが、作ることができない日は、近くのお店のうな重を出前するのが恒例だったそうです。それだけ、たんぱく質が豊富な肉や魚をしっかり召し上がることにこだわっていた。朝はブロッコリーなどの野菜をたっぷり摂って昼はクッキーと牛乳。ただし、ご飯は“食べすぎると体に悪いから”と1日1膳までと決めておられた。脂の多いものもなるべく避けるようにしていました」

 過剰な糖質や脂質の摂取は血糖値を上げ、心臓や血管に多大な負担をかけるため、NT-proBNPの数値を上げる(NT-proBNPは心臓の機能が低下している人ほど値が高くなる傾向がある)リスクがある。たんぱく質がたっぷりで糖質と脂質はひかえ目な“日野原式”の食事法はまさに百寿者にぴったりのものだといえるだろう。

■“日野原式”食事法・健康術

・夕食にたんぱく質

 朝はたっぷりの野菜、昼は牛乳とクッキー、夜はしっかりたんぱく質が日野原さん式の食事法。大好物はビフテキ。うな重やステーキなど肉や魚をたっぷり摂る一方で、炭水化物は控え目だった。

・病院で小走り

 多忙な毎日の中で運動する時間はほとんどなかったが、家の中で家族の指導のもと、ストレッチやバランスボールで体を鍛えていた。病院内を小走りで駆け回っていたり、エスカレーターを駆け上がっていたなどの目撃談も。

・鏡の前で笑う練習

 「顔が貧相になるから」と鏡の前で笑う練習をしていたという日野原さん。笑顔はがん細胞に対抗できるほど免疫力を上げるという調査も。実際に百寿者を対象とした調査でも、周囲に優しい人ほど長生きするという傾向が。

新年代に応じて生き方をモデルチェンジできる人が長生き

 食生活の改善とともに習慣づけておきたいのは体を動かすことだ。新井さんによれば、百寿者の多くは運動習慣があった人なのだという。

「さすがに100才になっても激しい運動をしている人はほとんどいませんが、85才の時点で運動習慣があった人はその後の健康状態がいいというデータが出ています。また、100才を超えて健康な人は、ライフステージに合わせて生活習慣を変えていくのが上手な人が多い印象です。たとえば若い頃はテニスをやっていても、年を重ねてひざや腰が痛むようになったらウオーキングや室内でできる体操に切り替えられる人は健康なまま長生きしやすい傾向がある。そのため、30分程度の散歩でも、ラジオ体操でも自分に合った体を動かす簡単な方法を見つけて、取り組み続けることを推奨します」(新井さん)

 日常的に体を動かす習慣が健康長寿につながるのは、9年連続で100才以上の人口比率全国1位の栄誉に輝いた島根県民の生活ぶりからも明らかだ。島根県で生まれ育ち、現在も県内で高齢者の在宅リハビリなどの活動をする作業療法士の藤井寛幸さんが言う。

「県内で生活する100才超えの人の多くは身の回りのことを自分でこなし、自立しています。この世代は子供の頃から大人に交じって農業を手伝っていて、日常的に体を動かす習慣がついています。畑の中や田んぼのあぜ道など舗装されていない道を歩くのはジムのウオーキングマシンより、ずっときついトレーニングになっているとも考えられます。こうした“イヤでも体を動かし、自立せざるを得ない状況”が健康長寿をつくっているといえるでしょう」

 島根県高齢者福祉課の担当者も声を揃える。

「確かに島根県民は高齢になっても農作業などの仕事を続けたり、地元の行事やボランティアに参加したりする人が非常に多い。また、豊かな自然の中、地域の中で密に暮らしていける環境が整っていることも1つの要因だと考えます。県としても、運動は健康をつくる重要な要素だととらえ、減塩・野菜の摂取・運動を軸にした『しまね健康寿命延伸プロジェクト』を推進しています」

■100才率9年連続1位! 島根の秘密

コメント

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この記事へのみんなのコメント

  • ミネコ

    最近、母上様から日野原重明さんの本をプレゼントで、譲ってもらいました。私も、そろそろ人格変わらんとなあって感じています、とてもいい本です‼️ 人生変えれるものならば、もっと読んで、真剣に生きて見いだせるものがあれば…、

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