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暮らし

孫に使ったお金は年間10万円超の調査結果 孫破産リスク回避する秘策を専門家が指南

 かわいい孫と会えるのはうれしいけれど、育児を担うのは想像以上にきついものだ。今、孫育てに疲弊している人が増えているという。老後のお金も体力も、楽しいはずの時間も浪費し、「やって当たり前」「出して当たり前」と感謝されず──。孫のために老後の資金を使い果たして破産に陥ることも。そんな「孫リスク」を回避する方法はあるのだろうか。

孫の学費のため毎月30万円の仕送り

 パート勤務の齋藤由利さん(仮名・55才)は、病院で医療事務を行う長男がおり、長男は同じ病院に勤務する10才年上の内科医と結婚した。

 長男夫婦は呆れるほど教育熱心で、孫は私立の超セレブ小学校に入学。嫁が高収入のため、なんとか家計は安定していたが、「母親はつねに子供のそばにいるべき」という専業主婦のママ友の圧力に負け、昨年、ついに嫁が仕事を辞めてしまった。

「普通のサラリーマン並みの給料しかない息子の稼ぎだけでは、家計を支えきれません。つい先日、『孫の将来のために先行投資をお願いしたい』と、息子夫婦から仕送りの援助を持ちかけられました。わが家は夫も現役なので、多少の援助ならと引き受けたら、『毎月30万円』と言われて驚きました。夫の退職金で家のローンを完済し、残ったお金で豪華客船の旅を夢見ていましたが、『すべて孫の学費に消えるだろうな』と夫もあきらめています」(齋藤さん)

 少子化が進む現代において、「孫だくさん」に悩む人もいる。

「周囲からは、『いまどき孫に囲まれるなんて幸せねえ』とうらやましがられますが、『とんでもない!』の一言です」

 怒りを隠せないのは、3人の子供と8人の孫がいる専業主婦の小林ヨウ子さん(仮名・77才)。

「お年玉も誕生日のプレゼントも新入学のお祝いも、すべて8人分です。しかも年齢が上がるにつれ、欲しがるプレゼントはどんどん高額になる。昨年の孫への出費は180万円を超えました。大手企業の部長職を務めた夫に、それなりの財産があることを子供たちは知っているので遠慮する様子はありません。最近は『老後破産』という4文字が頭をよぎるようになり、夫は『残りの金を持って海外へ移住するか』と真剣に話しています」(小林さん)

■孫に使ったお金は年間平均10万4682円

成人しても続く孫の世話

 孫が成人しても、世話が終わらないケースもある。

 九州で農業を営む谷本美津江さん(仮名・73才)が肩を落として言う。

「娘2人は嫁いで県外へ行きました。後継者もいないので、田んぼを売って隠居生活に入ろうとした矢先、20代の孫息子2人が『後を継ぐ』と言ってくれたのです。最初は喜びましたが、孫たちは大金で最新の農業機具を購入したものの、まったく働こうとしない。それどころか、車を買い替え、遊びほうけて、私たちの貯金を食い潰しています。

 後で知ったことですが、この孫2人は、借金を抱えたり、会社をクビになったり、食い詰めたあげく転がり込んできたろくでなしでした。娘たちも、厄介払いで送り込んできたようなものです。近いうちに追い出し、娘たちとも縁を切る覚悟です」

「孫破産」を防ぐためにまず必要なのは、家族と本音で話し合うことだ。家族問題評論家の宮本まき子さんは、資産の公開をすすめる。

「子供は、『親はお金を持っているはず』と、それとなくあてにするもの。わが家では、しょっちゅう家族会議を開いては、おのおのの経済状況を報告しています。風通しをよくしておけば、無理なお願いをされることはありません」

 介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんも指摘する。

「金銭的に苦しいのに、『関係性が悪くなるから』とがまんしても最終的にはどこかでパンクします。すると、『親に頼ってるんじゃない!』と怒鳴ってしまい、大げんかになる恐れがある。心苦しいかもしれませんが、本来、孫にかかる費用は子供夫婦が稼いで出すべきもの。『年金生活になって、これ以上の援助は厳しい』と冷静に伝える方が結果的に良好な関係を保てます。

 また、自身の介護など将来的な見返りを求めて孫の援助を続ける人もいます。しかし、いまの若い世代は昔のような給料アップは望めない。介護する余裕はないと思って、子供や孫にこれ以上の期待をするのはやめた方がいい」

孫リスクを回避する方法

 孫とは適度な距離を保ち、過保護にするべきではない。それが孫リスクを回避する手段の1つだが、こんな調査もある。宮本さんが続ける。

「ある国立大学で学生700人にアンケート調査をしました。『自分は人づきあいが苦にならない』と答えた学生の約8割が、おばあちゃん子、おじいちゃん子だったのです。彼らは、祖父母からよく褒められ励まされて、大らかに育っていた。人間関係が窮屈ないま、祖父母の『甘やかし』と感じられるような接し方も、孫の社交性や自己肯定感を育むためには大切です」 

 辻川さんも「ポジティブな孫育て」を推奨する。

「『孫がいてよかった』と話すのは、孫とポジティブに接している人たちです。『よくできました』『よく頑張った』と、いつも前向きな言葉をかけ、ネガティブなことは一切言わない。すると孫は、祖父母に対して優しい印象しかないので、将来、祖父母が弱ったとき助けてくれるようになるかもしれません」(つじかわ耳鼻咽喉科院長・辻川覚志さん)

 育児の主役はあくまで両親。祖父母は“見守る距離感”を保つことがポイントだ。お金と自分の時間を犠牲にするのではなく、前向きな言葉で孫を励まし続ける。孫のためにも自分のためにも、それが正解のようだ。

教えてくれた人

家族問題評論家の宮本まき子さん、介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さん、つじかわ耳鼻咽喉科院長・辻川覚志さん

※女性セブン2022年5月5日号
https://josei7.com/

●孫へのお年玉、いくらあげる?関東と関西多いのはどっち?

●老後快適に暮らすための5つの注意ポイント|孫への出費、長距離の引っ越しもリスク

●70才を過ぎたらやめたほうがいい11のこと|離婚、孫への贈り物、格安スマホ…

コメント

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この記事へのみんなのコメント

  • まりちゃん

    親は金づるみたいな感覚でいるところがあるようだ。ローンの返済少し払ってあげたら、その時は感謝されたが、嫁は娘が小学生になったら仕事を辞めてしまった。今、金銭的にたいへんらしい。援助してあげるのも考えものだ。一緒に遊びに行っても食事代などは出してもらうのが当たり前という雰囲気。一緒に出かけるのもおっくうになってしまいました。

  • 栗ようかん

    なんだ平均10万なら普通すぎる

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