在宅の習い事”金継ぎ”がシニアに人気!新しい趣味の探し方は「子供の頃がヒントに」
チャレンジすることにタイムリミットはない。けれども、忙しさや置かれた立場によって、あきらめることもあっただろう。「夢を叶えたい!」そう思っているならば、一歩を踏み出してみませんか。何かに夢中になることで、気持ちも明るくなるはず。年齢を重ねたことによって見えてくる景色が違うのも、楽しみのひとつ。夢を叶えるヒントを先人たちが教えてくれたので、参考にしてみてください。さあ、あなたのやりたいことを始めてみませんか。
新しい趣味は「子供の頃」がヒントに
ある程度、時間もお金もあるのに、何をやっていいのかわからない、趣味らしいものも特にないと嘆くなら、「小学生の頃の自分を思い出してみるといい」と、作家で神戸松蔭女子学院大学人間科学部教授の楠木新(あらた)さんは言う。
「大人になるにつれ、周囲のしがらみや現実が見えるようになると、物事を決断するための要素がどんどん増加し、無意識のうちに自分の希望とはほど遠い決断をしてしまう人もいます。そのため、純粋に自分の気持ちだけで判断していた幼い頃に戻れば、本来持っていた夢がよみがえることもあるのです」(精神科医・香山リカさん)
7才の純粋な目と心で学び直せば、やりたいことが見えてくる
とはいえ、そう簡単には戻れないという人は、小学校に入学してみるという手もある。
2015年にスタートした『熱中小学校』は、“もう一度、7才の目で世界を”というコンセプトで作られた大人の学び舎だ。小学校の6学年を3年で卒業する仕組みで、講師陣はIT企業の社長や大学教授、ミュージシャンなどバラエティーに富んでいる。部活動や交流会も行われ、地域活性の場としても活用されているという。
同プロジェクトで家庭科の講師をしている料理家の山田玲子さん(63)は次のように語る。
「誰しも小学校に入学したばかりの7才の頃は、いろいろなものに興味を示し、学びたい意欲でいっぱいです。このキラキラと輝く目と心で、世界のいろいろなことを学んでいこうというのがこの学校の取り組みです。講師も生徒も、7才の目を意識するので、知らず知らずのうちに童心に帰ることができます」
山田さんの授業は「食はいちばん身近な外交」をモットーに、各地の特産品を、歴史や生産者情報まで紹介し、活用法も併せて取り上げることが多い。
「その土地の特産品を生徒と一緒に収穫し、食べ比べることもあります。コロナになってからは調理実習のような授業は難しいのですが、各分校いち押しの食材を組み合わせておにぎりを作り、一緒に食べながら語り合うこともありました」(山田さん)
食は万人に通じるコミュニケーションツール。初めは難しい顔をしていた男性に、チーズ&梅干しといった意外な食材を組み合わせたおにぎりをすすめると、思わず「おいしい」とつぶやいて笑顔になるなど、多くの人に変化が表れているという。
社会的地位は関係なく、誰もが7才の一生徒として参加できる学校には、宿題もテストも成績表もない。小学校時代の夢を思い出せなかったとしても、授業を受けていくうちに興味を惹かれるものができたら、それを突き詰めてみればいいのだ。その先に、新たな世界が待っているかもしれない。
◆料理家 山田玲子さん
東京・浜田山で料理教室「Salon de R」を主宰。国内だけでなく、ニューヨークや韓国など海外でも定期的に料理教室を開催している。著書に『おにぎりレシピ101』(だいわ文庫)など。
在宅での習いごとの注目は「金継ぎ」
コロナ禍によるステイホームが呼びかけられて以来、自宅でできる手仕事などの趣味を始める人が増加している。特にシニア層に人気が高いのは、器の割れや欠けを修復する「金継ぎ」だ。
「本来は、漆を使うので取り扱いが難しいのですが、合成樹脂塗料などを使うことで、初心者でも手軽に楽しめる3か月キットを作ったところ、好評をいただいています」(フェリシモ 趣味と自分磨きの講座「ミニツク」担当・福田杏子さん)。
このほか、手書き文字系のカリグラフィーやガラスペンも人気という。没頭できる趣味を見つけられ、日々が充実する。
■おうちで体験 金継ぎ教室プログラム〔3回予約プログラム〕
月々4730円 問:フェリシモ https://www.felissimo.co.jp/shopping/I180782/I280783/GCD111077/
取材・文/山下和恵 取材/廉屋友美乃
※女性セブン2022年3月24日号
https://josei7.com/
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