僕が介護職を経験して変わったこと3つ「相撲」「車いす」「人見知り」に関する実体験
介護士ブロガーのたんたんさんこと深井竜次さんが、介護士の仕事を通じて良かったこと、変わったこととは? 介護という経験から、新たな趣味ができたり、車いすが気になるようになったり…。3つの貴重な体験を教えてくれた。
介護の仕事を通じて変わったこと、良かったこと
介護士ブロガーのたんたんと申します。
5年間介護現場で働いてきた経験や知見をもとに、「多くの介護士さんが幸せな働き方を実現できるように」という思いを込めて、ブログを運営しています。
介護ポストセブンでもこれまで僕が介護現場で経験した出来事や学びを、「介護士さんをはじめ介護にかかわる多くの人に参考になれば…」と思って記事を書いてきました。
今回は未経験で介護業界に足を踏み入れてから介護職として働いてきた僕が感じた「介護職になって良かったこと」をテーマに記事を書いていきたいと思います。
介護の仕事を続けていると、自分では意識していないところで多くの能力が身についていたり、趣味嗜好が変わっていたりすることがあります。
僕自身、介護職を経験して良い意味で変わったことが多かったので、以下で紹介していきたいと思います。
1.大相撲が大好きになり趣味ができた
介護施設では、職員も利用者さんも夕方の16時ごろから始まる大相撲をテレビで観戦することが多いのではないでしょうか。
僕自身、いくつかの施設で働いた経験がありますが、大相撲の本場所が開催される時期にはたいてい食堂にあるテレビでは大相撲が映し出されていました。
僕が介護を始めたのは21才のときで、実は相撲を真剣に見たことはほとんどなかったのですが、介護施設で働き始めて仕事の合間に利用者様と一緒に見るようになってから、すっかり大相撲にハマってしまいました。
特に僕が住んでいる島根県では、今、幕内で活躍している隠岐の海関(最高番付は関脇)がいるのですが、隠岐の海関の大ファンで相撲が放送される日は録画を撮って見直すほど。すっかり大相撲ファンになってしまったのです。
ちなみに、島根・出雲は巡業場所になることも多いので、何度も観に行っています。一時期東京に住んでいた時は、両国国技館で大相撲を観戦したこともありました(観戦後に食べたちゃんこ鍋は絶品でした!)
これまで僕には趣味といえる趣味がなかったので、相撲という新しい趣味に巡り合わせてくれた介護の仕事には感謝しかありません。
2.外出先で見かける車いすが気になるようになった
介護施設で働くようになってから、ショッピングモールなどに置いてある車いすの形状が気になるようになりました。これは一種の職業病なのかもしれないと思うのですが…。
「この車いすは折りたたみができるのか?」「自走式なのか介助式なのか?」「デザインはオシャレか?」
車いすを見かけると、そんなことを考えるようになりましたし、街で車いすを利用している人を見ると、同じようなことを考えてしまいます。
これが「介護職になって良かったこと」なのかはわかりませんが、自分や周りの人が車いすを使うことになったとしたら、案外役に立つことがあるかもしれません。
あるとき、ショッピングモールで車いすに乗っている人を見かけたときのこと。車いすに乗った男性が、ひとりで同じ場所に留まっていました。
「どうされましたか?」と、僕は声をかけてみました。するとその方は、
「車いすに乗ったはいいけど、自分では動かせないんです…」と、困っている様子でした。
同伴していた人は、他の場所にひとりで行ってしまったとのことでした。同伴者はきっと、車いすに乗ったら、自分で動かせると思い込んでいたのでしょう。
車いすには、自分で動かせる「自走式」と、介助者が押すタイプの「介助式」があります。この方が乗っていた車いすを見てみると、介助式のもので、自分では動かせずに戸惑っていたのです。
僕はまず、ショッピングセンターの車いすが置いてある場所に行き、自走式の車いすを持ってきて、乗り換えをお手伝いしました。その後、インフォメーションセンターに行き、同伴者の呼び出しをしていただきました。
車いすに乗って困っている人に声をかけるのは、どうしたらいいのか、ためらわれることもあると思います。僕がこのとき、困っている人の手助けができたのは、介護職の仕事を経験していたからなのかもしれません。
3.初対面の人との会話能力がアップした
介護職は利用者様とのコミュニケーションがとても大事な仕事です。僕は元々とても内気なタイプで、積極的に他人とコミュニケーションを取るタイプではありませんでした。
しかし、介護の仕事を通じて、コミュニケーション能力が上がったと感じています。
介護の仕事の現場では、どんどん話しかけて利用者様のニーズを把握したり、職員間で協力をしてケアをしたりする必要があります。
自ら喋りかける必要がある環境で働き続けていたおかげで、自分から積極的にコミュニケーションを取れるようになりました。
お恥ずかしい話ですが、介護職を経験する前は、どちらかとうと人見知りで、初対面の人に会うとビビってしまい、黙ってしまうようなことも多かったのです。
しかし、最近は自分から話しかけて初対面の相手ともコミュニケーションをとって仲良くなれることが増えてきました。
介護施設とプライベートでのコミュニケーションはまったく別のものではるのですが、自分から相手に話しかける、積極性が身に着いたのは、介護の仕事をしていたからです。
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そしてもうひとつ、付け加えるなら、衛生面や体調管理を徹底するようになったこと。
介護の仕事をしていると、利用者様に病気をうつすわけにはいかないため、自分の体調管理や予防に細心の注意を払うようになりました。
手洗いやうがいの徹底はもとより、感染症が心配な場所にはなるべく行かないといった、できる限りの対策をしていました。これは、コロナ禍以前からずっと変わりません。
現在も習慣として身についているので、風邪ひとつ引かず、体調を崩さなくなりました。
みなさんの介護を通じて良かったことは何ですか?
介護職の経験がある方は、「ある!ある!」と思っていただけたでしょうか。また、「そんなことはない」と反論意見がある方もいるかもしれません。
紹介した3つのことは、僕が介護の仕事をして感じた変化なので、人によって違うと思います。
みなさんの「介護経験して良かったことや自分が変わったこと」があったら、ぜひコメントに投稿してほしいと思います。
介護の仕事や身近な人の介護経験を通じて、良かったことや、前向きになれたこと、みなさんの感じていることをじっくり読んでみたいです。
最後まで当記事を読んでいただき、ありがとうございました。
文/たんたん(深井竜次)さん
島根県在住。保育士から介護士へ転職し、介護士として働いた経験を持つ。主に夜勤を中心に介護施設で働きながら介護士の働き方について綴ったブログ『介護士働き方コム』を運営。著書『月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方』(KADOKAWA)が話題に。
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