お風呂博士が教える「冬場のお風呂で死なないための」6つの秘策と3つのお助けグッズ
気温がグ~ンと下がる11月から要注意なのがヒートショック現象。自宅の浴槽で亡くなったまま発見される高齢者のニュースも少なくない。入浴中に死なない方法をお風呂博士に聞きました。
お風呂博士が教える「お風呂で死なない方法」
「昔ながらの日本家屋の風呂場は、家の北側に設置されていることが多いため、脱衣所も含めて冷えやすく、ヒートショックが起こりやすいんです」
と言うのは、お風呂博士こと日本薬科大学特任教授の石川泰弘さん。
「室温25℃前後の暖かい部屋から10℃程度の寒い脱衣所に移動すると、寒暖差で意識障害が起き、最悪、死に至ることもあります」(石川さん・以下同)
寒暖差をなくすことが最も重要なポイント!
それを防ぐためにはリビングなどの生活空間と風呂場との寒暖差をなくすことだ。
「脱衣所はあらかじめ小型のファンヒーターで温めておき、暖かくなったら、浴室を温めます。衣服を脱ぐ前にお風呂のふたを開けておけば、湯気で浴室の気温が上がります。 次は打ち水をするように、浴室の床にシャワーなどでお湯をかけて温めておく。これだけでも室温は上昇します」
脱衣所のヒーターを、浴室に向けておくと、脱衣所と浴室の温度差も解消されやすい。
水分補給も忘れずに
次に重要なのが、入浴前に水分を摂ることだ。
「冬でも脱水症状を起こすことがあります。特に高齢になると『トイレが近くなるから』と、水分を控える人がいますが、脱水状態で入浴すると、めまいや立ちくらみを引き起こし、危険です。入浴前にコップ1杯程度の水を飲んでおきましょう」
古い家の場合、浴槽が深く、高齢になると、またいで入るのも苦労するようになる。
「手すりを持ったとしても、底に足を着けるのが不安に感じたら、踏み台にもなる介護用の椅子を浴槽の中に入れておくといいですね。手すりを持ちながら、その椅子を踏み台にして、湯船に入る。つかっている間もその椅子に腰かけていれば楽ですよ」(乙井さん)
お湯の温度は40℃前後が理想
冬場の入浴は、以上のようなリスクが伴う半面、湯船につかることで体が温まり、リラックスし、健康にもいい影響をもたらす。
「疲労回復にも入浴は効果的です。お湯の温度は40℃前後が理想。時間も5~10分を目安に、胸がドキドキしてきたり、汗がドバッと出てきたら、上がるようにしてください。いちばん風呂で、肌がヒリヒリする場合は、L−グルタミン酸ナトリウムが配合された入浴剤を使いましょう。塩素を取り除く働きがあるので肌に優しいですよ」(石川さん)
お風呂場で死なない対策&予防法6つのポイント
1.かけ湯をしてから入る
2.お湯は40℃前後、つかるのは10分を目安に
3.椅子は腰かけるほか、浴槽に入れて踏み台に
4.ヒーターで脱衣所を温めておく
5.「今から入る」と家族に声をかける
6.水分を摂る
お風呂の死亡事故を回避するお助けグッズ3選
お風呂場で使えるグッズもある。介護保険でレンタル可能なアイテムもあるので、どんどん活用していこう。
1.すべり止め
手や床につく足のすべり止めに。
『お風呂ピタットシート1号12枚入り』3080円、2号(4枚入り)3850円/ケアメディックス
2.椅子
浴槽の中に入れて、立ち座りや浴槽をまたぐための補助に。介護保険でレンタル可能。
『軽量浴槽台“あしぴた”D4-321』2万350円/アロン化成
3.手すり
工事不要で、高さを調節しやすい浴槽用手すり。介護保険でレンタル可能。
『高さ調節付浴槽手すり D4-281』2万9150円/アロン化成
教えてくれた人
石川泰弘さん/日本薬科大学特任教授、乙井香名子さん/『ヤマシタ』HC事業部国分寺営業所
取材・文/廉屋友美乃 イラスト/たけなみゆうこ
※女性セブン2021年11月14日号
https://josei7.com/
●冬に多発する高齢者の入浴中事故原因ヒートショック|予防策・便利グッズ