女性の健康課題をテクノロジーで解決 注目の「フェムテック」サービスを専門家が解説
更年期の悩みにいま注目されている「フェムテック」。これは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語。女性が抱える健康にまつわる課題をテクノロジーで解決する商品やサービスのことを指し、女性の活躍を後押しする概念として注目されている。更年期世代に特化した4つの「フェムテック」を紹介する。
更年期世代の「フェムテック」市場が拡大
「フェムテックとは、女性のライフステージに起こるさまざまな症状や悩みを、テクノロジーで解決し、女性の人生のQOL(生活の質)を上げていこうという新概念です」
自らもつらい更年期症状に悩まされたという女性医療ジャーナリストの増田美加さんは、アメリカでこの新概念に基づくスタートアップ企業が誕生したときから、大きな期待を寄せているという。
「2020年は日本でも『フェムテック元年』といわれ、フェムテック企業の数は97社にまで増加しました。
現状は、生理周期がある女性向けの市場が主体ですが、更年期世代に向けたフェムテック市場も、これからどんどんと広がっていくと思います」
現在市場には、アプリやサプリメント、腟トレ器具などの更年期世代向けのフェムテックがある。これらのサービスを取り入れて更年期の悩みを解決するのもいいだろう。
「『更年期』なんて、恥ずかしくて言えなかった時代から、『更年期は誰でも通る通過点』という認識へと社会全体が変わってきています。女性自ら声をあげ、よりオープンにすることが、女性の生活を快適にし、新たなフェムテックの開発にもつながります」
更年期世代におすすめ4大フェムテック
【1】アプリやWEBサービス
「更年期だから仕方ない」と我慢しがちだった症状を、アプリやサイトで可視化できるように。毎日の“ちょっと気になる”をアプリで気軽に相談できるサービスや、フェムテックに特化したオンラインストアも。
●よりそる:LINEスタンプで更年期の不調を夫婦で共有
毎朝1回5分間、LINE上での心理カウンセリング、不調の可視化、パートナーと一緒に利用も可能。更年期の不調スタンプも好評。
【データ】
よりそる
一人利用・カップル用 各1650円/月
●TRULY:「更年期」 に寄り添うオンライン相談
更年期の悩みに信じられる情報を伝え、オトナの女性に寄り添う、女医のオンライン相談サービス。
【データ】
TRULY
●fermata store:フェムテックに特化したオンラインストア
下着、コスメ、洗練されたデザインのバイブレーターなど、厳選された国内外の商品をラインナップ。じっくりWEB上で選ぶことができる。
【データ】
fermata store
【2】セルフケアグッズ・コスメ・サプリメント
デリケートゾーンを丁寧にケアすることが更年期世代の新習慣に。女性ホルモンに替わるエクオールの有無を調べるキットなども登場。
●エクオール検査 ソイチェック:「エクオール」が作れる体質かチェック
女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きをするエクオールが、腸内で作れる体質かどうかを尿検査で確認する簡易キット(ウェブか郵送)。
【データ】
エクオール検査 ソイチェック
4180円/ヘルスケアシステムズ
【3】腟&骨盤底筋トレーニング機器
骨盤底筋の弱りによる尿もれ、頻尿の対策としての専用のトレーニング機器も。最新のバイブレーターには、エクササイズモードがあり、腟圧が測れるなど高機能なものも。
●エルビートレイナー:ムービー感覚で“膣トレ”できる!?
スマホと連動して腟圧を測定。その日の腟圧にあったオリジナルのトレーニングをプログラミングし、尿もれや頻尿の軽減に。
【データ】
エルビートレイナー
2万9700円/アジュマ
【4】医療機関での施術:レーザー治療など
尿もれや腟萎縮による乾燥や痛みに対して、医療機関で行うレーザーなどによる治療方法も。
「ホルモン補充療法や漢方治療、腟のセルフマッサージなどをしても、腟内外のトラブルや尿もれ、頻尿が治らない場合は、レーザーによるデリケートゾーンの若返りという方法があります。フラクショナルCO2レーザー、高周波、ハイフなど、個々の症状の程度などによって、どの施術が最適かを判断していきますが、いずれも保険適用外のため自由診療になります」(女性医療クリニック LUNAグループ 理事長 関口由紀さん)
●尿もれ・頻尿
ハイフ:40~55才くらいまでで、尿もれがかなりある場合。筋肉を少し焼いて硬くすることで、腟周りの筋肉を引き締めることができる。何度もやる施術ではなく、人生で1~2回程度。
●腟のうるおい・性交痛
フラクショナルCO2レーザー:50才以降で、デリケートゾーンのかゆみや、乾燥、性交痛がある場合。頻度は、1年に1回ぐらい。
●骨盤臓器脱
腟から骨盤内の臓器(膀胱、子宮、直腸、腟)が出てくる症状には、腟の中にリングを挿入する方法(リング=ペッサリー)や、TFS手術(仙骨子宮靭帯に沿って径7mmのポリプロピレン製のテープを留置する手術)など、手法はさまざま。
「痛みはないとはいえないですが、脱毛の際のレーザーよりは痛くない程度です。施術には笑気麻酔や局所麻酔のゼリーを塗布します」(関口さん)
教えてくれた人
女性医療ジャーナリスト・増田美加さん
女性医療クリニック LUNAグループ 理事長 関口由紀さん
日本泌尿器科学会専門医・指導医ほか。山形大学医学部卒業。横浜市立大学医学部附属病院で女性泌尿器科外来を担当。尿もれなどの悩みを根本から治療する最新プログラムの提案を行う。
イラスト/鈴木みゆき
※女性セブン2021年6月3日号