2020年介護施設アワード1位「はっぴーの家ろっけん」注目の老人ホームランキング
全国600か所の介護施設や老人ホームの中から、魅力ある施設を選ぶ「介護施設アワード」の第4回目が開催された。第1回は2017年に開催され、4回目を迎える今年は、コロナ禍ということもあり、過去にエントリーした施設の中から、事前投票と視聴者による投票が行われた(総投票数:80票)。1位から5位まで選ばれた施設を紹介する。
介護施設アワード:ベスト5を発表!
「介護施設アワード2020」が12月12日にオンラインで開催された。主催したのは、日本全国の介護施設にオンライン施設見学の導入支援を行っている合同会社4Uだ。
同社が訪問した全国約600の介護施設の中から過去に受賞した施設を紹介し、視聴者投票で2020年の1位~5位までの表彰施設を決定するこのイベント。果たして1位に輝いたのは…。
第5位:銀木犀(ぎんもくせい)(千葉県浦安市)・プレジール豊中(大阪府豊中市)
第5位は、共に18票を獲得した、サ高住「銀木犀(ぎんもくせい)・浦安」(千葉県浦安市)と、住宅型有料老人ホーム「プレジール豊中」(大阪府豊中市)の2施設がW受賞した。
銀木犀・浦安では、入居者が施設内に作った駄菓子屋の店番をしながら地域の子どもと交流するなど、ユニークな取り組みが行われているという。地域の人が気軽に食事を楽しめるレストランも併設されている。「高齢者向けのシェアハウス」とのコンセプトで運営されているこちらの施設は介護業界でも一目置かれる存在のようだ。
介護ポストセブン「銀木犀・浦安」
→入居後は元気になる「高齢者向けのシェアハウス」的サ高住<前編>
→入居後は元気になる「高齢者向けのシェアハウス」的サ高住<後編>
フランス語で「歓び」「楽しみ」を意味するプレジール。その名が示す通り、プレジール豊中(大阪府豊中市)では、ホテルのような快適さと自宅のような心地よさを目指しているという。そのため、睡眠の質にこだわっており、全室にパラマウントベッド社の見守り支援システム「眠りスキャン」を導入。眠りスキャンは寝返りや呼吸、心拍などを記録できるセンサーがついており、ベッドの下に敷くだけで、スタッフがリアルタイムで様子を把握できるシステムだ。
■銀木犀・浦安(千葉県浦安市)
http://www.ginmokusei.net/
■プレジール豊中(大阪府豊中市)
http://www.koken-plaisir.com/
第4位:杣緑(そまみどり)(兵庫県姫路市)
第4位は20票を獲得したデイサービスリゾート「杣緑(そまみどり)」(兵庫県姫路市)。
こちらの特徴は、書写山の大自然を感じながら暮らすことができる1万2000坪もの広大な敷地だ。敷地内にはグランドゴルフなどが楽しめる広大な芝生広場や季節を感じながらウォーキングできる散策路があり、体を動かせる環境が揃っているそうだ。また、自家農園や果樹園、天然温泉まであり、旅行気分を味わえるという。
■杣緑(そまみどり)(兵庫県姫路市)
https://e-akane.com/facilities/somamidori
第3位:インテフィール(大阪府泉南郡田尻町)
第3位は21票を獲得した高齢者複合施設「インテフィール」(大阪府泉南郡田尻町)。
こちらの施設は“複合”と名のつく通り、有料老人ホームやデイサービス、ショートステイなど多くの機能を備えている。コンセプトは「五感で感じる、毎日の『新しさ』と『やすらぎ』」。コンセプトを体現するものの1つとして、プラントハンターの西畠清順さんが監修した庭園があり、世界の珍しい植物や四季折々を感じられる植物が入居者や訪れた人の目を楽しませているそうだ。
■インテフィール(大阪府泉南郡田尻町)
https://www.intefeel.jp/
第2位:グランドオーク百寿(大阪府堺市)
第2位は25票を獲得した特別養護老人ホーム「グランドオーク百寿」(大阪府堺市)。
こちらのコンセプトは「カフェを併設した地域密着型特養」。近所の子どもや高齢者がカフェを訪れ、自然なかたちで世代を超えた交流を実現させているという。「今回の受賞は施設のスタッフだけではなく、日々協力いただいている地域の皆様のお力添えがあってこそです。今後も、多くの人たちとの絆を大切にして、邁進していきます」との受賞コメントに地域に密着した取り組みの深さを感じさせられた。
■グランドオーク百寿(大阪府堺市)
http://www.grand-oak.jp/
そして、第1位に輝いたのは――。
第1位:「はっぴーの家ろっけん」(兵庫県神戸市)
第1位は、38票を獲得したサ高住「はっぴーの家ろっけん」(兵庫県神戸市)。
多くの支持を集めたこちらの施設は「多世代が集える介護付きシェアハウス」として全国的にも注目を集めている。共用スペースでは、食事をしている入居者の周りを子どもが駆け回り、まるで大家族で過ごしているかのよう。なんと週に200人以上の人が集まることもあるという。
妻と2人の子どもと一緒にはっぴーの家ろっけんに住んでいるという代表の首藤義敬さん。首藤さんは23歳の若さで地元の神戸市長田区で空き家再生事業をスタートしたという。こちらの施設を企画した際は、学生や主婦、外国人など様々な人を巻き込んでコンセプトを練り上げていったそうだ。
「はっぴーの家ろっけん」代表の首藤さんは、
「ありがとうございます。コロナで大変だと思いますが、一緒に頑張りましょう。色んなすばらしい施設さんを見せていただいて、参考にしたい要素がたくさんありました。僕らは本当に素人集団でやっていますが、素人だからこそ出せる発想もあると思うので、皆さんと切磋琢磨しながらやっていきたいなと思います。
個人的にはメチャクチャ広い杣緑さんに遊びに行きたいと思っています。他にも回りたいところがたくさんあります。楽しくて、とても勉強になりました。改めて、光栄な賞に選んでいただきありがとうございます。人生のフィナーレに伴走できる非常にエキサイティングな暮らしを、多世代ごちゃ混ぜで楽しんでいきたいです」と受賞の喜びを語った。
■はっぴーの家ろっけん(兵庫県神戸市)
https://www.facebook.com/rokken.happy.home/
コロナ禍で変わる高齢者施設の見学スタイル
また、本イベントではオンライン見学も実施された。オンライン見学とは、実際に足を運ばずに、映像を通じて施設の様子を見ること。施設側がスマートフォンで映しながら案内するので、テレビの生中継のように施設内を見て回ることができる。
この日は介護予防YouTuberの石田竜生さんを進行役に、サ高住「Wellife上新庄」(大阪府大阪市)と総合福祉施設「かすみの里」(三重県四日市市)を生中継でつないだ。
現地の施設スタッフがスマートフォンで建物やその周辺の映像を見せながら、施設内を案内してくれる。周囲の音が聞こえ、施設で働いているスタッフの動きも見えるので、思っていた以上に雰囲気を感じられた。また、現地のスタッフに質問できるので、見学の基本的な目的は果たせそうだ。
「コロナ禍でも介護施設への需要は減ることはなく、施設の情報を得たい方はたくさんいらっしゃいます。オンライン施設見学は現地に足を運ばなくともオンライン上で完結できるため、具体的なイメージを持つことができます」と語ってくれたのは、「介護施設アワード」を主催した合同会社4U代表の蛯沢渉さん。
新型コロナウイルスの影響で、介護施設の多くは外部の人の立ち入りを制限しているという。とはいえ、入居希望者や家族にとって、実際に足を運んで得られる情報が必要不可欠なのも事実。コロナ禍の今、感染のリスクなく見学できる手段としてオンライン見学はますます広まっていきそうだ。
「まだまだ世間に知られていないすばらしい取り組みやユニークで面白いを施設を発掘するいい機会として、今後も継続したいと思います。新しい視点で介護をオモシロク、イノベーションしていきます」と来年のアワードに向けて意気込みをみせてくれた蛯沢さん。
施設を探している人にとっても有益な情報がたっぷりの「介護施設アワード」。来年のアワードでは、一体どの施設が選ばれるのだろうか。
【主催者データ】
会社名:合同会社4U(フォーユー)
公式WEBサイト:https://llc4u.co.jp/
取材・文/谷村光二
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