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「延命治療」を考える 希望する?しない?様々なホンネ

 昨年発表された最新の統計(2016年度)によると、日本人の平均寿命は男性が80.98才、女性が87.14才と過去最高を記録。世界でも男女ともに2位と、長寿国としても揺るぎない地位を確立している。

 一方で、近年注目されているのが「健康寿命」だ。こちらは、男性が72.14才、女性が74.19才と平均寿命と比べて約10才の差がある。この“10年の差”は何を意味するのか――。

 今、拡大するのは「元気なうちに死ねるなら、自分で死ぬときを選びたい」「無理に生き続けなくてもいい」という考え方。自力で物を食べられない、呼吸ができない…それならばいっそ穏やかなうちに人生を閉じたい――そう思ったときに、“命を延ばす治療”をやめるかどうか。やめていいかどうか。

 長寿大国に生きる私たちだからこそ「延命治療」について考えなければならないことなのだ。

 * * *

そもそも「延命治療」とは何なのか

 今のところ、「延命治療」の定義は明確に定まっていないが、一般的に、老衰や病気などで回復する見込みがなく、死期が迫っている患者に対して行う“生命を維持するための医療行為”のこと。延命治療として行われることが多いのは「人工呼吸器」、「人工栄養法」、「人工透析」だが、死期が迫っていない患者の病状維持や回復のために行うこともある。

 主な延命治療は、以下のとおり。

●人工透析

 腎臓は余分な体内の水分や老廃物のコントロールをして、血液をきれいに保つ臓器だが、働きが悪くなると、本来は尿として排出されるべき老廃物が体に溜まってしまう。放っておくと命にかかわるような場合に、人工的に血液を浄化する医療行為を人工透析という。

●人工栄養法

 脳卒中や認知症、老衰などで食べ物を口からとれなくなってしまった場合、必要な栄養や水分を補うために、口以外から水分や栄養をとる方法。鼻から胃まで管を入れる方法や、胃に穴をあける「胃ろう」のように、消化管に穴を開けて栄養を直接送る方法がある。

●人工呼吸器

 自分の力で充分に呼吸をすることができなくなってしまった際、人工的に肺に酸素を入れて呼吸を管理するために用いる医療機器のこと。病状が回復して短期間で外せる場合もあるが、長期間にわたって外せない場合は、のどに穴を開ける気管切開をする。外すと呼吸が止まり、死に直結することから延命治療では中止が難しいとされる。

 だが、いわゆる「延命治療」に対しては賛否があるのも事実。そこで、アラフィフ以上の男女に「あなたは延命治療をどう思いますか?」という問いを投げかけ、様々な意見を聞いてみた。ここでは、延命治療に関する様々なホンネを紹介しよう。

延命治療を希望する派の意見

「意識があるかどうかにもよるけれど、もし意識があるなら生きていたい。自ら進んで死ぬのは怖い」(56才・女性)

「脳梗塞から寝たきりになってしまった母親。体を動かすことも、話すこともままならず、体が衰弱してしまうので点滴などで栄養を入れている。それでも生きてくれているならいいと思ってしまう。もしかしたら、動けるようになるかもしれないし…という期待も捨てきれない」(62才・女性)

「もし私が寝たきりになったら、延命治療なんてしないでね。生きてなくていいからね」と言う母親。今は元気だから笑い話だけど、いざそうなったら、延命治療してしまうと思います。いつまででも生きていられるなら生きていてほしい」(48才・女性)

「延命治療は意味がないという意見を聞くけれどそうは思わない。命を生かすのが医療。苦しさをやわらげるような更なる医療の発展を目指して、穏やかな延命を可能にしてほしい」(58才・男性)

延命治療を希望しない派の意見

「チューブにつながれて生きていくのは家族にも迷惑がかかるし、つらくなく逝けるなら延命しなくてもいい」(61才・女性)

「話すことや動くこともできないのに、人工呼吸器につながれて過ごすなら、延命はしたくない」(54才・女性)

「80代の父親が胃ろうをしている。自力で食べることも飲むこともできず、話すこともままならないが生きてはいる。ただ、生きているだけ、の状態の父親を見ていると切ない気持ちになってくる。自分は、こうはなりたくないという思いが出てきてしまう」(65才・女性)

「家族の誰も面倒を見てくれない気がするので、いろんな力を借りてまで生きる気はない」(58才・男性)

「理想はピンピンころり。誰にも迷惑をかけずに死にたいから、延命治療はしたくない」(60才・女性)

 さて、あなたはどう考えますか?

※女性セブン2018年5月3日号

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