医者に愛される患者6つの条件|診察に用意すると医者に好かれるものは?
医者に対する患者の言葉や態度次第で、いい治療や手厚い医療を受けるチャンスを逃しているかもしれない…。医者に好かれる患者とはどんな特徴があるのか。診察のときに用意すべきものとは?治療に望む姿勢とは…。医者に愛される条件、好かれる患者像を、医者がこっそり明かすーー。
医師に好かれる患者6つの条件|医者に愛される患者とは…
頭がよくても誠実でも、やっぱり医師もひとりの人間。例え仕事であっても、患者の対応に大きな“差”が出てくるのは当然のことだろう。同じ治療を受けるなら、「あらゆる手を尽くして助けたい」と思われるような、ひいきされる患者になりたいもの。
医師たちの心をさらにつかむための方法とは…。
→医師に嫌われる患者の特徴6選|診察時に嫌われる服は?メイクは?
【1】症状を時系列で文書にまとめている患者
友愛記念病院の内科医、平岩正樹さんはこんな指摘をする。
「医師は患者さんの説明を聞きながら、膨大な数や種類の中から可能性が高い病気を絞っている。診察時に時系列で病状を書いてきてくれる人はパーフェクトですね。診察室に来てから、患者さんが自分の病状を整理しながら口頭で説明するのは意外と難しく、充分な情報を聞き出すには時間がかかります」
例えば、“症状がいつから出たか”という問題。「だいぶ前から痛い」などあいまいな説明では診断のヒントとして不充分だ。
「それでは1か月前からなのか15年前なのか、初めて聞いた医師には伝わらない。できるだけ具体的に説明することで、該当するであろう病気も変わってきます」(平岩さん)
時間経過や時系列の説明が重要な理由はそれだけではない。
「インフルエンザのタミフルなど症状が出てから投薬までに時間制限がある薬もあり、症状が出ているかをきちんと説明できる人はいい患者といえるでしょう。体がいまどういう段階にあるのかを、医師が判断するためには絶対に必要な情報だからです」(村上さん)
【2】医者の言葉や説明を記録している患者
こちらから病状を伝えたら、今度は医師からの説明もしっかり受け止めねばならない。
「“何度も説明したことを患者さんに忘れられてしまうのがしんどい”と話すドクターは多い。メモを取ったり、場合によっては許可をもらったうえで録音したりと工夫した方がいい」(村上さん)
平岩さんも、記録を取るのは大歓迎だと話す。
「しかし、そこまでする熱心な人はあまりいないのが実情。メモを取らない人もいるが『本当に覚えられるの?』と思ってしまう。“また最初から説明しなければならないのか”といやになる医師もいる」
【3】自分の病気を深く知ろうとする患者
平岩さんは記録に加え、「ネットであれ書物であれ自分の病気について検索し、勉強すること自体が悪いことではない」と続ける。
「自分の病気でありながら、それについて深く知ろうとするかどうかは、患者さんによってかなり違います。病気について調べている患者さんだとわかれば『これは何の薬で、こういう効果を狙っている』などと説明したいものです。もし、事前に病気について調べているなら、それも話題に出してほしい」
病気を知り、医師と深くコミュニケーションを取ることができれば、病気の一進一退に左右されず、焦らずに治療に専念できるだろう。
【4】治療中に焦らずイライラしない患者
村上さんは「焦り」こそ「愛される患者」の大敵だと話す。
「すぐに症状が改善しないとイライラしがちですが、だからといって医師の質を疑うのは間違いです。病気は慢性疾患であればあるほど長いつきあいになり、患者側にも辛抱強さが必要になってきます」
実際「焦り」が理由で医師から「お手上げ」とレッドカードを出された患者もいる。
「足の手術を受けて入院していた患者さんで、少しでも体調が変化すると焦りや不安から、すぐに主治医を呼ぶ人がいた。もともと『傷口がかゆくなることがありますが、問題ありません』と伝えていたにもかかわらず、3日連続で『傷がかゆい。大きな病状変化があったのではないか』と呼び出される。ほかにも入院患者がいるため、すぐには様子を見に行けず、1時間後に駆けつけたら『私を殺す気ですか、入院費も払っているのにおかしい』と怒鳴られた。心配になる気持ちはわかりますが、面倒を見切れない」(都内の外科医)
【5】治療に関してウソをつかず正直な患者
治療に関するウソは厳禁なことも、肝に銘じなければならない。
「薬をのみ忘れたり、さぼっていたりするのならその旨をきちんと正直に伝えるべき。完璧に服薬できる人は実は少ない。例えば『昼は仕事が不規則なので、のみ忘れやすい』などと伝えれば、1日1回でもいい薬に変えることもできます。『ちゃんとのんでいる』とウソをつくと、効果が出ないからと処方量を増やされて副作用が出てかえって健康を害します」(村上さん)
医師からの生活指導も、守れもしないのに「ハイ」と答えるのはよくない。
「例えば『禁煙しなさい』『禁酒も望ましい』『運動しましょう』『脂っこいものは避けて』など同時にいくつも指導されて守れないと思ったら『先生、全部は難しいですが、まずどれをやったらいいですか』と聞くこと。空返事して守らないより『治す気はある』『正直な人だ』と思われて好感を持たれるはずです」(村上さん)
【6】自分の意見をしっかり持つ主体性がある患者
そして、何より患者自身が主体性を持つことも重要だ。
「よく『先生を信頼しているからお任せします』と言う人がいるが、『そういう人に限って指示に従ってくれない』という話はよく聞きます。『この治療は私が決めたんじゃなくて、先生が決めたんでしょ』というわけです」(村上さん)
命にかかわる病気であればあるほど本人の意思が重要になってくるのだ。 平岩さんも、患者の熱意に心動かされた経験がある。
「セカンドオピニオンとして主治医のほかの医師の意見を聞きに行く患者さんも多いですが、私が印象深かったのは、90代の胃がんの女性で、最先端といわれる医師に渡米して会いに行き、『この治療方針で正しいですか』と私の治療方針を聞いてきた人がいた。『アメリカでもバッチリだと言われましたよ』と笑う彼女の話を聞いて、腰を抜かすほど驚きました。たとえ海外までは行かなくても、治そうという強い情熱を持ち、積極的に行動しようとする人には、こちらの心も動かされます」
冒頭で述べたように、医師もひとりの人間。誠意を持って正直に向き合えば「特別な患者」になれるはず―
→医師、病院との付き合い方|愛され、ひいきされる患者になる方法
医者に愛されるには?医者に好かれる患者の条件【まとめ】
■症状を時系列で文書にまとめている患者 →該当する病気の診察がスムーズになる
■医者の言葉や説明を記録する患者→何度も説明する手間が省ける
■自分の病気を深く知ろうとする患者→薬や症状について深く話し合うことができる
■治療中に焦らずイライラしない患者→症状が改善しないからと焦って医者を疑うのは間違い
■治療に関してウソをつかず正直な患者→正直な人ほど医者に好感を持たれる
■自分の意見をしっかり持つ主体性がある患者→治そうという熱意は医者にも伝わる
教えてくれた人
平岩正樹さん/友愛記念病院・内科医、村上和巳さん/ジャーナリスト
※女性セブン2020年10月29日号
https://josei7.com/