高齢者におすすめのコンビニ食品|弱った消化の働きに負担の少ないお惣菜
手軽なコンビニ食品で食卓を豊かに
「セブンイレブンは、大型スーパーマーケットのイトーヨーカドーと同じ会社ということもあり、自宅の食卓を豊かにするような惣菜などの種類が多いように思います」。そう語るのは、国際中医薬膳師の濱田文恵さん。薬膳の世界で言うと、高齢者になるにつれて、消化の働きをする脾(ひ)や胃の働きが弱まってくるので、食べたものが消化され、きちんと栄養として体全体を巡らせることができるように、物理的に噛みやすいものや、脾や胃のパワーを高めてくれる食材が使われているものを積極的に食べるべきだという。
美容や健康の知識に富んだ専門家に、親世代にすすめたいコンビニフードを教えてもらうこの企画。今回高齢者におすすめのコンビニ食品を教えてくれた濱田さんは、美容家でもあり、定期的に全国の高齢者施設を訪問し、高齢者のためのメイクセラピーを行っている。
「体力がなければ、消化も栄養吸収もできないので、高齢者こそ良質なたんぱく質を摂るべきです。ただ若い頃と違い、お肉をあまり食べられない人も多いはず。たんぱく質自体の消化は5~7時間がかかるものなので、魚や野菜、豆腐など消化に負担のないたんぱく質が摂れるものをおすすめします」(濱田さん・以下同)
『素材の味わいかぼちゃサラダ75g』(セブンイレブン)
●かぼちゃで風邪知らずの体に!
かぼちゃの甘みを活かしたかぼちゃサラダ。シンプルな味わいの中に、クランベリー酢の甘酸っぱさを加え、冷凍ではない青果のかぼちゃならではの甘みが引き立ててある。夕食やお弁当、サンドウィッチの具材などはもちろん、ひと手間加えたアレンジの具材としても便利。1袋75g入りで134kcal。食物繊維は2.6g摂れる。
「薬膳でかぼちゃは、体の気(パワー)を補います。またかぼちゃがもつ甘みの特性は、消化の働きをする脾の働きを高めます。元気がないときや、風邪などひかない体でいるために必要不可欠。かぼちゃにはカルシウムも豊富に含まれているので、年齢を重ねるとともに弱まってしまう骨や歯などを丈夫にするので、高齢者の方には積極的に摂ってもらいたい1品です」
『ごぼうをそのまま麺にした参鶏湯風スープ』 (セブンイレブン)
●便秘予防にぴったりのヘルシーなカップ麺
ごぼう150gを1本分として、約1/3本分相当のごぼうを使用。1食当たり104kcal。たんぱく質2.9g、食物繊維は2.1g摂れる。ごぼうの麺とかやく入り粉末スープをカップに開けて、お湯を注ぎ、3分待てば出来上がり。
「参鶏湯は栄養たっぷりの韓国料理として知られていますが、注目したいのは、ごぼうが練り込まれた麺が使われていること。高齢者になると、便を作り出す力が弱まり、便秘に悩まされる方も多くいます。ごぼうには、水溶性と不溶性の食物繊維が豊富に含まれているので、美味しく食べながら、便秘予防を期待できます」
『国産なめ茸 120g』(セブンイレブン)
●薄味仕上げのなめ茸たけ
ご飯のお供として人気のなめ茸。えのきだけを醤油でじっくり煮込み、薄味に仕上げてあり、塩分20%カット(五訂増補日本食品標準成分表の「えのきたけ・味付け瓶詰」に対して)。1瓶120g入りで約113kcal。
「えのきは、中国では『明天見(ミンテンチェン)』という別称があり、『明日また会いましょう』という意味なのですが、体内の不要なものを巻き取り、次の日には便となって体外に排出してくれるという働きが期待されているのです。ごぼう同様に便秘対策になり、かつご飯にかけるだけなので、料理をするのが面倒なときにも便利。個人的には塩分が20%カットされているのも安心して食べられるポイントです」
『6種具材のお豆腐とひじきの煮物』(セブンイレブン)
●“黒”食材のひじきで若々しさをキープ
1食118kcal。ひじき、豆腐、枝豆、れんこん、油揚げ、にんじんを彩りよく煮付けた1品。かつおだしが効いていて、冷たいままでも美味しくいただける。
「豆腐にはたんぱく質が含まれます。薬膳では、黒色の食材は腎の働きを高めると期待されているので、ひじきは高齢者にとって最適です。腎は生きる源である精気を司っています。腎が元気であれば、腎に関係する歯や骨、髪などもいつまでも若々しく保つことができます」
『沖縄県産もずく』(セブンイレブン)
●もずくで血液サラサラに
シャキシャキした食感の沖縄産もずく。かつおと昆布のだしと素材を生かした三杯酢の味付け。1個に70g入って、3個セット。1個14kcal。
「もずくに含まれるフコイダンはコレステロール値を下げ、血をサラサラにしてくれます。そのため、高血圧などを防ぐ働きが期待できます。さらにツルッとした喉ごしのよい食感は、嚥下障害を起こしやすい高齢者の方でも安心して食べられるかと思います。他にもフコイダンには乾燥しがちな肌に潤いを与える働きもあるので、美容食材としてもおすすめです」
国際中医薬膳師:濱田文恵さん
自身のルーツから西洋と東洋をMIXさせた美養生を提唱する。その傍ら、2015年より定期的に日本全国47都道府県にある高齢者施設を訪問し、高齢者のためのメイクセラピーを行う。著書に『運命をこっそり変える』(セブン&アイ出版)がある。YouTubeでは延美長寿をテーマに中医学をベースにした健康・美容情報の発信を行っている。
https://www.youtube.com/channel/UCf7tQvAJRJTfvV-OveeiYcQ
撮影/黒石あみ 取材・文/竹腰奈生