ライザップトレーナーが教えるシニア向けすぐできる筋トレ&ストレッチ
芸能人を起用した印象的なCMで知られるライザップ。痩身のイメージのある同社が、シニア向けフィットネス事業に本格参入、業界の旗振り役となっている。そのキーマンを直撃した。
また、自宅でも気軽にできるライザップがおすすめする、シニア向けトレーニングを紹介。特別な器具を使わずに簡単にできるので、年齢に負けない体づくりをしてみましょう!
「介護予防ではなく自己実現を支えたい」シニア向け事業担当者インタビュー
ライザップが「シニア事業」に本格参入するその理由を、ライザップ株式会社ヘルスケア事業推進ユニット・ユニット長の松崎主税氏が以下のように語った。
「これまで弊社はダイエットを事業の柱にしてきましたが、2020年からはヘルスケア事業、シニア向けの健康維持サービスにも力を注いでいきます。
我々が目指したいのは、単なる『介護予防』ではありません。定年後のシニアが『人生100年時代』を迎えて今後どうなっていきたいのか。もちろん、病気になって医療費が嵩むような老後を送りたい人はいないでしょう。目指すべきはカッコよさの維持や、趣味のスポーツを長く楽しめるような健康な体づくりです。筋肉量を増やすことで、血液検査の数値や腰痛の改善など副次的なヘルスケア効果があることが明らかになっています。食事や筋トレなど、我々が蓄積した約14万人の顧客データやノウハウを生かし、シニアの皆さんの『自己実現』を支えていくのが事業の目的です。
ただし、こうしたヘルスケア事業はライザップ1社でできるものではないと考えています。企業や自治体、場合によっては競合他社とも連携していく事業展開を目指し、講演活動などを通して呼びかけています。
例えば近年、自治体も積極的に運動による介護予防プログラムを実施しています。しかし、残念ながらあまり効果が上がっているとはいえません。理由は多くの場合『無料』で実施しているからです。人は無料だと、どうしても真剣さに欠けてしまうんですね。
こうした自治体向けには当社の『成果報酬型』を導入してみてはどうでしょう。例として、18年に長野県伊那市で日本初の『成果報酬型』健康増進プログラムを実施しました。参加者の3か月間での体力年齢改善の結果および、プログラム開催前後を比較した医療費削減額の結果に応じて報酬をいただく仕組みですが、参加者の約90%が体力年齢10歳以上の若返りに成功。多くの喜びの声をいただきました。
こうした自治体や企業と共同したプログラムを利用者の生活圏内に設ける。健康志向を高めたシニアが一つの生活圏内で増えれば、ジムと駅・自宅の間に、筋トレに効果的な食材を扱う飲食店や、グッズ店などができるかもしれない。将来的にはヘルスケアを核にした、新たな地域コミュニティを形成できたら理想的ですね」
ライザップトレーナーが教える“家でもできる正しい筋トレ&ストレッチ”
いきなりジムに通うのはちょっと……そんなシニアは、自分の体重を“重り”として利用するトレーニングをやってみよう。ライザップ監修の50歳以上向けトレーニングジム『ソウジム』の事業責任者のトレーナー・小西竜幹氏が教える、自宅でできるお手軽トレーニングを公開!
トレーニングというとどうしても気合いが入り、無理をしてしまいがち。しかし小西氏は「“ながら”でやれるくらいがちょうどいい負荷です」と話す。
「まずはテレビを見ながら、家族の方と話しながらくらいでできるものに取り組んでください。『ソウジム』でもトレーナーと話しながらできるレベルを推奨しています。いきなり無理をせず、継続的に取り組むことが大切です」
簡単にできる初級編から、筋肉に自信のある人向けの上級編までレベルごとに紹介するので、ぜひ続けてみてください。
初級編 股関節ストレッチ
ウォーミングアップは大切。まずはカラダをほぐす軽いストレッチを忘れずに。いきなりの筋トレはケガに繋がりやすいからだ。痛みを感じるほど無理に伸ばすストレッチは逆効果。血流をアップさせて少し心拍を上げる動的ストレッチでカラダは十分ほぐれる。
●足を振って柔軟性アップ
【1】壁などに片手を添えて身体を支える。腰の足のつけ根あたりに手を添えて股関節を支点に足を後ろにそらす動作を10回。
【2】同じく股関節を支点に今度は前に10回、リズミカルに足を振りあげる。上半身をあまり動かさないように。
●スパイダーマンのポーズ
【1】右足は胸や右腕の横にキープし、伸ばした左足の股関節を引きのばす意識で行なう。左右10回を目安に。きつければ無理をしないこと。
【2】少しずつ腰を落として背中を水平に近づける。この時、顔はあげて正面をしっかり向くようにすること。
【3】前かがみから両手を地面について腰をあげて左足を後ろに下げる。短距離走でスタートを切るようなイメージで。
中級編 スクワット
シニアの自宅筋トレは筋肉量の多い下半身を重点的に行なう方が効果的だ。その最も基本となるのがスクワット。正しい姿勢で行なわないと膝や腰を痛めやすいし、狙った筋肉を鍛えることができないので、しっかり基本形をマスターすべし。
足を肩幅ほど広げる。両手を前に伸ばしてバランスを保ちながらお尻を後ろに突き出していくように曲げる。この時も股関節から曲げることをしっかり意識すること。15回2セットを目安に。
【NG】膝がつま先よりも出ると膝を痛める原因になるためNG。上半身が前傾して背中が丸まってしまわないように。
【NG】お尻をしっかり突き出せていないのでお尻や太腿の筋肉がしっかり鍛えられない。椅子にお尻から腰かけているイメージでしっかり曲げる。
上級編 スプリットスクワット
中級編の基本スクワットで物足りない人は上級編となる片脚スクワットを目指そう。格段に負荷は上がるがお尻の大臀筋や太腿の筋肉に効かせることができる。また、姿勢を維持しなければならないので、全身の体幹を鍛えてバランス能力もアップする。
【1】両腕を腰骨付近にそえて姿勢はまっすぐに保ちながら左右の足を大きく広げる。後ろ足のつま先を軽くあげておく。
【2】そのまま腰を沈めながら、前脚をほぼ直角に曲げて太腿は地面と平行に近づける。15回2セットを目安に。
【NG】前脚の膝がしっかり曲げられていないために負荷が軽く効果的ではない。しっかり上半身を沈み込めるイメージで。また、つま先より膝が前に出てもいけないので要注意。
撮影/藤岡雅樹
※週刊ポスト2020年1月31日号
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