頭皮をもんで健康に|肩こり・腰痛 高血圧 更年期障害も改善!「頭皮ツボ」マップ付き
「最近肩こりがひどいし、血圧も気になってきた…」こんな積もり積もった“小さな不調”を解消する方法があった。医者も薬もいらなくて、しかも気持ちよくてお手軽。頭皮をもみほぐせば、心も体もイッキに快調に!
美容院で頭をマッサージされると、あまりの心地よさについ、眠ってしまう人もいるだろう。頭皮マッサージは、手軽にできてリラックス効果の高い健康法だ。24時間血圧を測り続けて33年の“ミスター血圧”こと、東京女子医科大学東医療センター内科教授の渡辺尚彦(よしひこ)さんは、頭皮マッサージの血圧を抑える効果に注目する。
「頭皮と頭蓋骨の間をずらすようなイメージで行うと、即座に末梢血管が開いて頭皮の血流がよくなるのを実感できます。少しかゆいような感覚になるのが、血行が促進されている状態でしょう」
さらにはこんな効果も。
「頭の血行がよくなれば、近くにある首や肩の血行もよくなって、肩こりも改善すると考えられます」(渡辺さん)
さらに、頭のツボをしっかりもめば、頭痛や腰痛、不眠、高血圧、更年期障害などの改善が期待できる。
頭皮は健康のバロメーター 「触って痛い」は重症、「くすぐったい」は深刻
まずは頭皮を触って、今の状況を確認してみよう。鍼灸師で女性ホルモン研究家で「Mari鍼灸Salon」オーナーの森田真理さんが言う。
「健康な人の頭皮は、ふっくらとしてほどよい弾力がありますが、頭皮が硬かったり、痛みがあったりするのは、肩こりと同じように、うっ血している証拠。反対にぶよぶよと軟らかすぎる場合は、頭皮がむくんでいるのです。どの部分の血流が滞っているかによって、肩や腰など、体のどの部分が悪いのかがわかります」
頭皮をもんだ時に“イタ気持ちいい”と感じる場所は健康。もしくは、問題があったとしても軽症。しかし、“気持ちよくない、ただ痛いだけ”というところは重症だ。
「痛いところはかなりうっ血して、こっています。さらに、“くすぐったい”と感じたら、その部分のこりは最も深刻です」(森田さん・以下同)
現代人は特に、後頭部にこりを抱えていることが多い。スマホの見すぎなどで姿勢が悪くなり、いわゆる「ストレートネック」になっているのだ。これが全身の不調を呼ぶ。
「後頭部には『筋紡錘(きんぼうすい)』という筋肉があり、その奥には呼吸や心拍数、血流、筋肉、ホルモンなどを支配する『脳幹』という器官があります。そのため、筋紡錘を圧迫するような猫背は頭痛やめまい、耳鳴り、睡眠の質の低下など、あらゆる不調の原因になる」
ストレートネックは、肩や首のこりも引き起こす。これを解決するには、筋紡錘をほぐすため、後頭部をマッサージするのがいい。同時に側頭部も、もむ。
「肩がこっている人は、寝ている時など、無意識のうちに歯を食いしばっていることがある。あごの筋肉とつながっている側頭部もマッサージするといいでしょう」
頭皮全体がむくんでいるようであれば、全身の血流が悪い状態にある。頭全体をもむと同時に、全身の血流を促進するツボ「百会(ひやくえ)」を押すのが効果的だ。
「百会は頭頂部にあり、心臓に対応しています。全身の血流を整えるので、高血圧にも効果があります」
そもそも高血圧の原因は体と心が圧迫されることにある。前出の渡辺さんが解説する。
「筋肉が圧迫されると、その部分の血流が悪くなり、血圧が上がります。緊張したりストレスを感じたりすると自律神経のバランスが乱れて、やはり血圧が上がります。姿勢が悪いと、お腹まわりが圧迫されて、その部分から血圧が上がる。血圧はほんの少しのことでもすぐに上がるので、日常的なケアが必要です」
腰痛から更年期障害までツボ別に狙い撃ち
頭にあるツボは、ほかにもさまざまな不調に対応する。腰痛に悩まされている人は、首筋から頭頂部に向かってもみほぐしていくといい。
「神経は、背骨から後頭部の真ん中までつながっています。首筋からもんでいくと、痛みを感じる部分があるはず。そこを重点的にほぐしてください」(森田さん・以下同)
更年期障害の症状も頭皮の硬さと同調している。
「更年期障害はホルモンバランスと自律神経の乱れで生じます。症状が重い人ほど頭皮もガチガチにこり固まっている。ホルモンと自律神経を司る脳幹と視床下部の上、後頭部と首の両サイドを、軟らかくなるまでもみほぐして」
頭のツボがどの不調に対応しているかは、下の図を参考にしてほしい。
「頭全体に散らばっているツボをすべてマッサージするのが理想です。それを基本に、つらい部分があればそこを重点的にもむのがベストです」
朝晩2回の頭皮マッサージで寝覚めすっきり
頭皮マッサージは誰でも手軽にできるが、より高い効果を得るにはコツがある。両手の指先のほか、手のひらのつけ根など、力を入れやすい部分を使うのがいいと、森田さんが言う。
「“イタ気持ちいい”と感じるくらいの強さで、骨に刺激を響かせるようなイメージでマッサージしてください」
指先や手のひらにうまく力を入れられなければ、かっさ(*)やブラシなどを使ってもOK。
「頭皮マッサージは、歯磨きのように朝晩の習慣にすることが大切です。夜は頭を洗いながら指やシャンプーブラシで、朝は髪をセットするついでにヘアブラシを使って、頭皮を刺激するのを続けてみてください。頭皮をマッサージしてから寝るだけで、朝起きた時のスッキリ感が雲泥の差ですよ」
頭皮マッサージは、エステのように服を脱ぐ必要もなく、お金もかからない。手軽なうえ、効果もすぐに感じられるのだから、やってみない理由はないだろう。
(*)全身のマッサージに使えるプレート状の器具。
不調を治す「頭皮ツボ」マップ
不調に呼応した頭皮のツボをもんでください。
側頭部のツボ
イラスト/勝山英幸
※女性セブン2020年1月16・23日号
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