秋野菜で健康になろう!栄養成分など素材別の豆事典
スーパーの野菜売り場や青果店には、秋の味覚が並び始めている。夏の野菜は、レタスなどの葉野菜や、きゅうり、トマト、とうもろこしなど、色とりどりで見た目も華やか。一方、秋の野菜は白~茶色でどっしりと重みのある根菜や、いも類、きのこ類が中心だ。
また、夏野菜は、水分が多くて体を冷やす働きを持つものが中心だが、秋野菜は体を温め、滋養になるものが多いと言うのは、日本薬科大学学長で漢方医の丁宗鐵さん。
「気温が下がって過ごしやすくなったはずなのに、疲れが抜けず、だるい、胃の調子が悪いなど、秋になると不調を訴える人が多くなります。その原因は、コロコロと変わる秋の天候に体が対応できないことです。
秋の野菜は、今の体作りに大切な栄養成分がぎっしり詰まっています。旬の食材をきちんと食べていれば、冬に備えてのエネルギーが蓄えられて、元気に過ごせます」
都内の青果卸売業者によると、今年の秋野菜の作柄状況は平年並みで、昨年は天候不良で不作だった北海道産の玉ねぎやじゃがいもも順調。同じ理由で昨年、高値が続いた玉ねぎは、むしろ価格が抑えられているという。
さっそく秋野菜を入手して、健康な体作りを心掛けよう。
一年中手に入る野菜が多くなったものの、旬の季節に収穫される野菜は栄養成分の含有量が高く、旨みが強い。野菜の栄養を効率よく摂り入れるためにも、秋野菜を積極的にメニューに加えよう!
栄養も旨味もこれから高まる秋野菜、種類別の特徴は?
【根菜類】
ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で、腸内環境を整える働きがある。
土の中で栄養をたっぷり蓄えて育った根菜類。保存がきくため、一年中出回っているが、大部分は秋から冬にかけて旬を迎える。代表的な野菜は、れんこんやごぼう、にんじん、かぶ、大根など。
●調理のポイント<1>
野菜の栄養は、皮のあたりに集中している。できるだけ皮をむかずに調理すると栄養を逃すことなく、加熱による損失も抑えられる
●調理のポイント<2>
大根は消化酵素を多く含み、生で食べるといいといわれるが、胃腸が弱っているときにはNG。加熱すると胃にやさしく作用する。
【いも類】
じゃがいも、さつまいも、里いも、山いもなど、秋に収穫されるいも類は、主食になるほど栄養が豊富。主成分はでんぷんで、加熱によって一部が糖質に変わって甘みが増し、消化吸収されやすくなる。
【きのこ類】
カロリーが低いため、栄養も少なそうだが、ミネラルが豊富。不溶性食物繊維が多く、腸の働きを活発化し、デトックス効果もある。
ハウスや工場などで季節に関係なく栽培されるが、露地栽培や天然きのこの旬は秋。きくらげやしいたけには、現代人に不足しがちなビタミンDが含まれている。
●調理のポイント
生のきのこにはほとんど含まれないビタミンD。だが、天日に30分~1時間干すと、約10倍まで増やすことができる。”食べる前に干す”は鉄則だ。
【ブロッコリー、カリフラワー】
花蕾といわれる、つぼみの部分を食べる野菜で、晩秋から旬を迎える。ビタミンCの含有量はブロッコリーが120mg、カリフラワー81mgで、レモン(100mg)並み。カリフラワーのビタミンCは加熱損失が少ないのが特徴。
【なす】
水分が多く、栄養は少ないと思われていたが、なすの皮に含まれるポリフェノールの1種・ナスニンの持つ、高い抗酸化作用も注目されている。体を冷やす作用もあるが、油と一緒に加熱するなどの工夫をすればOKだ。
●調理のポイント
なす皮に含まれる抗酸化力の高いポリフェノールのナスニンは、油でコーティングすると流出が防げて、吸収率がアップする。血管をきれいにする効果も。
【玉ねぎ】
国内生産量の約6割を占める北海道では、今が収穫の最盛期。独特のにおいと辛さのもとになっている硫化アリルには、血液をサラサラにする、疲労回復、抗菌作用などがあり、健康効果の高い秋野菜だ。
【木の実類】
栗は木の実で、種の部分を食べる秋の食べ物。イチョウの実のぎんなんや松の実、くるみ、蓮の実なども秋に収穫される。小さな粒の中に栄養が詰まっており、滋養にいいが、カロリーが高いので食べすぎに注意。
旬の野菜の栄養パワーで、心身ともに元気になりましょう!
※女性セブン2017年10月12日号