自由な生活に徹底的にこだわった介護付有料老人ホーム<後編>
オープン間近の話題の施設や評判の高いホームなど、カテゴリーを問わず高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップし、実際に訪問して詳細にレポートしている「注目施設ウォッチング」シリーズ。
今回紹介するのは、新宿区にある介護付有料老人ホーム「たのしい家新宿下落合」だ。
たのしい家新宿下落合
「たのしい家新宿下落合」は2017年4月にオープンした介護付有料老人ホームだ。
運営する「株式会社ケア21」はジャスダックに上場している企業で、介護付有料老人ホームやグループホームを関東圏、関西圏、名古屋、福岡に展開している。前編では、ここでの自由な生活を実現するための食事の工夫などについてご紹介した。今回の後編では、さらに自由な生活を実現するための施策である入浴やコンシェルジュ、そして施設内の設備を詳細に紹介していく。
夜間に入浴できるのは画期的
介護付有料老人ホームは普通、集団生活でスタッフが介護をしてくれる。そのため、全体のスケジュールに個人の生活を合わせていくことが必要になる。もちろん自由に過ごせる時間もあるが、自宅で過ごすように自由気ままにとはいかないのが現実だ。しかし、たのしい家新宿下落合では、できるだけ入居者に自宅と同じような生活を送ってもらうために、入浴時間を夜間に幅を持って設定するといった工夫をしている。
施設長の井野繁永さんは、「お風呂の時間を夜間にしていて、体を温めてもらって、そのまま眠れるようにしています」と話す。
多くの施設では、スタッフの人手の問題で、入浴時間を日中に設定している。しかし、施設に入居する前は、夕食の前後で入浴して就寝する生活を送っている人が多いのではないだろうか。しかしここが人手の問題を解決し、17時から20時まで入浴ができるようにしたのは、老人ホームとしては画期的だ。
入居者の自由な生活への取り組みは、食事と入浴だけに留まらない。コンシェルジュが一人ひとりの要望に寄り添ってくれる。コンシェルジュと聞くと、受付にいて身の回りのちょっとしたお願い事に対応してくれるイメージだが、ここではさらに発展した役割を担っている。介護士の資格を持ち、車の運転ができて、ケアリーダーを経験している介護のプロがコンシェルジュになっているのだ。通院や買い物などの外出に同行してくれるのはもちろん、それ以外にも趣味に関する外出など自由に要望できるという。
「自宅への付き添いをお願いされることも多いです。例えば衣替えのシーズンにご自分で服を選びたいという方もいらっしゃいます。そういった生活の基本的なことを大切にされている方が多いですね」(施設長の井野さん。以下「」は同)
居室のトイレにもこだわりが
居室はサンルーム付きとベランダタイプの2種類がある。どちらも日当たりを楽しめるので、実際に見学をして好みで選ぶといいだろう。
部屋の中は車椅子でも移動しやすい作りになっていて、トイレも工夫されている。一見、高齢者向けの施設のトイレとしては狭く感じるが、それには理由があった。