60代女性はなぜ“和もの”が好きになるのか? オバ記者が浅草の居酒屋で出会った「妖艶すぎる元歌舞伎俳優」の魅力
年齢を重ねると「和もの」に惹かれるのはなぜか――。これまで歌舞伎とは無縁だったオバ記者ことライターの野原広子氏(69)。1年前、浅草の居酒屋である元歌舞伎俳優と出会い、その異彩を放つオーラに魅了される。彼が出演する『東海道四谷怪談』の記者会見で明かされた、背筋が凍るエピソードとは?
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あれ、どういうわけなんだろうね。多くの女性が「おばさん」と呼ばれるような年齢になると、揃いも揃って和物に目覚めるよね。
私はときどき原チャリを走らせて築地に買い出しに行くんだけど、歌舞伎座の前はいつも着飾った中高年女性で埋め尽くされている。そういう私もいただいたチケットで花道の横に座ったり、歌舞伎大好きな友だちに連れられて通が座る席に座ったりすることがあるけど、誰かの贔屓になったことはなかったの。
贔屓、ま、今の言葉で言えば推しだわね。だけど私の場合、歌舞伎俳優の推し活動をするにはないものが3つあるのよ。まず日本史を知らない。着物がない。さらにもっとも大事な資力がないと、ないない尽くし。
そんなわけでそちら方面とはまったくご縁がなかったんだけど、まあ、世の中、何があるかわかんないね。
浅草の居酒屋で出会った「異彩を放つ」美しい男
浅草の、おそらくジモティしかいかないだろう焼きそば居酒屋の『喜八』に、林家ペーさんに連れられて急な階段を登ったのは、ちょうど1年前だ。
そこの大テーブルのお誕生日席に座ってにっこり笑って「林です」と言ったのが林佑樹さんだったの。ぺーさんはいつもの早口で、彼は林与一さんのお弟子で日本舞踊の名手で、子供のころから日本舞踊を習っていたパー子が「彼は素晴らしい!」と太鼓判を押したと、一気に紹介してくれたんだけどね。異彩を放つってこういうことなんだね。彼がいるところだけ空気が違うの。
艶やか、たおやか、優美、幽玄、、ああ、もう何て言えばいいのよと、慌てふためいた私はなぜか茨城弁をまくしたてたらしいんだけど、それはともかくよ。
『四谷怪談』を調べていたら…指先に触れた「長い髪の毛」
このたび、通し狂言で『東海道四谷怪談』で4役を演じるのだそうな。それで記者会見に駆けつけたら、まぁ、聞かずにはいられないわね。「もしかして見える人?」と。
すると林さん、艶然と笑って「私は見えませんけど」とキッパリと言い切ったあと、「でもね。今回、不思議なことがあったんです」と言う。
「四谷怪談の初演から201年めなので、文献もたくさんあります。演じるからにはお勉強をしましょうとタブレットを開いたら、まぁ、これが興味深いんですよ。それでどのくらい時間が経ったかしら」と、ここでひと息ついて私を見て、「タブレットを閉じようと画面をさわったら何かが指先に触れるんです。なんと、こんなに長い髪の毛なんですよ」と髪を1本摘む仕草でスーッと指を真上にあげたの。
わあああ、その瞬間、林さんの指先に長い髪の毛が見えた気になったわよ。
背中から漂う強烈なオーラ! 怖くて綺麗な“お岩さん”への期待
それですっかり調子づいた私は、ポスターのお岩さんの立ち姿のツーショットをお願いしたの。
「左肩をこうして下げて、あ、右肩はあげないの」と林さん。
イヤな顔ひとつしないで気さくに応じてくれたけど、背中から発する何かがまた強烈でね。この人が演じるお岩さんって、きっとものすごく怖くて綺麗なんだろうなと思ったの。
◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。2021年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑で、やせたの?』を出版。実母の介護も経験している。
