《靴を履くときに”かかとトントン”も》不調改善に役立つ!1日10分でできる「かかと刺激エクササイズ」
酷暑を避けて外出を控えた結果、座る時間やスマホを見ている時間が増え、常に体が前傾してしまってはいないだろうか。こうした“前のめりの姿勢”は「体の土台」が使われていない状態。それが腰痛をはじめ、さまざまな不調につながるという。体の土台づくりに役立つ簡単エクササイズを「アスリートゴリラ鍼灸接骨院」院長の高林孝光さんが教えてくれた。
かかとを使えば、体はもっと軽くなる
現代人は、歩行時間の減少や、厚底靴や衝撃吸収ソールなどの影響で、足が本来受けるべき地面からの刺激が届かない状況にある。
「それに加え、歩きスマホなどによる前傾姿勢で、かかとに体重が乗りづらい生活も続いています」と高林さんは語る。
「かかとを使う機会が減ると、骨から分泌されるホルモン『オステオカルシン』が作られにくくなります。このホルモンは筋肉、免疫、代謝に加え、認知機能にもかかわるため、分泌が減ると全身の不調につながります」(高林さん・以下同)
かかとは、ふくらはぎ、腸腰筋、骨盤、背骨へとつながる“動きの起点”だ。
「かかとを支柱として使えない状態が続くと、足首→すね→骨盤→背骨の連動が途切れ、連動が崩れると骨盤が後傾し、背中が丸まって猫背になりやすく、呼吸も浅くなります。さらに、足裏のアーチ(土踏まず)がつぶれやすくなり、扁平足や外反母趾などのトラブルにつながるケースもあるのです」
しゃがむ際にふらついたり、体が前に倒れたり、かかとが浮いたりするのは、かかとで支えられていないサインだ。
「かかとは衝撃に強い構造(海綿骨と脂肪のクッション)でできており、エクササイズで直接刺激を入れられる部位です。ここに負荷をかけることで、しゃがむ、立つ、歩くといった基本動作がスムーズに行えます。紹介する5つのエクササイズは、かかと荷重やすねの働き、足首の柔軟性、前後バランス、骨盤の角度といった“しゃがめない原因”を順に補い、かかとをしっかり使える体に戻せます」
たとえば「かかとウオーキング」で、かかとに体重を乗せる感覚が戻り、「かかと骨盤起こしストレッチ」ではハムストリングスを伸ばし、骨盤を安定させるなど、それぞれが弱点を補うエクササイズになっている。
「5つのエクササイズをセットで行えば、かかとを土台として使える体に戻り、しゃがむ動作が自然にできる体へ変わっていきます」
健康的に過ごす秘訣は、かかとの使い方にある。
かかとを使わない生活で弱った「体の土台」を立て直す「土台強化エクササイズ」
歩行時間の減少やスマホによる前傾姿勢で、かかとを使わないで歩く人が増加中。正しい体の動きを取り戻すために、1日10分の簡単エクササイズを始めよう。
かかとを刺激「かかとウオーキング」
かかとに体重を正しく乗せる感覚を呼び戻し、止まっていた足首→すね→骨盤→背骨の連動を再起動するエクササイズ。壁を背にしてまっすぐ立つことで前のめりの姿勢が整い、かかとが全身を支える“本来の働き”を取り戻す。歩きやすくなり、むくみや冷え、猫背などの改善にもつながる。
【1】壁を背にして、足を肩幅に開いて立ち、お尻、肩甲骨、かかとを壁につける。
【2】【1】の姿勢のまま1歩前に出て両足のつま先を上げて3秒キープ。つま先を下ろし全身の力を緩める。【1】【2】を5回繰り返す。
【3】両足のつま先を上げたまま、かかとだけで5歩前に進み、5歩後ろに下がる。
ふくらはぎと前脛骨筋を刺激「足裏トントントレーニング」
座ったまま、かかとを正面・左右45度に向けてトントンと刺激を加えると、ふだん使っていないかかとの部位にまでまんべんなく刺激が届く。また、つま先を固定したまま足首をひねる動きで、ふくらはぎだけでなく前脛骨筋(第3の心臓)も刺激されるため、血流が一気に巡りやすくなる。デスクワーク中にも行え、姿勢崩れや長時間座りによる体のだるさのリセットにも最適。
【1】背筋を伸ばして椅子に深く座り、足は肩幅よりやや広めに開く。つま先を固定したまま、かかとを軽く浮かせてトントンと床を叩くように10回刺激を加える。
【2】つま先を固定したまま、かかとを右45度にひねり、上下にトントンと床を叩くように10回刺激を加える。
【3】次に、かかとを左45度にひねり、【2】と同様に上下にトントンと床を叩くように10回刺激を加える。
前脛骨筋を鍛える「つま先上げトレーニング」
椅子の背もたれに体を預けてまっすぐ座り、かかとを床につけたまま、つま先を上げると、しゃがむときに体重を受け止める前脛骨筋が働く。また、浅く座るくせや前かがみ姿勢で使われにくい筋肉を目覚めさせ、足首の動きがスムーズになり、すねが支柱として機能しやすくなる。座ったまま行えるため、仕事中の姿勢リセットや足首まわりの硬さの改善にも効果的だ。
背もたれのある椅子に深く腰かけ、足を肩幅に開く。つま先を少し外側に向けて「逆ハの字」にする。そのまま、つま先を上げて5秒キープし、つま先を下ろす。これを5セット繰り返す。
かかと+前脛骨筋を刺激「正座でかかとすねストレッチ」
バスタオルで角度をつけて正座をすることで、すねと足の甲を順に伸ばすことができ、しゃがむときに重心を支える前脛骨筋が働きやすくなる。また、正座はお尻の重みがかかとに乗るため、日常では得られない後方からの刺激が加わり、かかとの内側も外側もまんべんなく活性化できる。足首の硬さや前すねの弱さを補い、しゃがんだときに倒れ込みやすい体が安定する。
【1】バスタオルを巻いて厚みを出し、その上にすねを乗せて正座をする。背筋を伸ばしたまま10秒キープ。
【2】バスタオルを後ろへずらし、足の甲を乗せて正座をする。背筋を伸ばしたまま10秒キープ。
ハムストリングス(太もも裏)伸ばし「かかと骨盤起こしストレッチ」
浅く座った姿勢から太ももを抱え、お尻をゆっくり浮かせると、太ももの裏の大きな筋肉であるハムストリングスが伸び、骨盤後傾(骨盤が後ろに倒れた姿勢)が整う。かかとを床につけたまま行うため、しゃがむときに必要なかかと荷重の感覚が戻り、足首~骨盤の連動もスムーズに。お尻を浮かせる瞬間にかかとへ強い圧が入り、柔軟性と安定性を同時に高められる。
【1】椅子に浅めに座り、足を肩幅に開く。かかとを床につけたままひざを90度に曲げる。お腹と太ももをくっつけるように上体を前に倒す。太ももの下に両手を回し、太ももをしっかり支えて固定する。
【2】太ももを抱えたまま、お尻をゆっくり椅子から浮かせる。ひざをできるだけ伸ばし、かかとは床につけたまま10秒キープ。
かかとを使う体を育てる習慣
【歩き出し10歩のかかと歩き】
かかと荷重の感覚を呼び戻し、前傾姿勢をリセットできる。足首~骨盤の連動がスムーズになる。
【靴を履くときはかかとトントン】
かかとが靴の奥まで収まり、後方荷重が安定。さらに靴を履くたびにかかとへ刺激が加わる。
【ビタミンKを摂る】
のりや納豆に多く含まれるビタミンKは「オステオカルシン」を活性化させる。
◆教えてくれた人:高林孝光さん
「アスリートゴリラ鍼灸接骨院」院長。柔道整復師、はり師、きゅう師。著書に『しゃがめない人は不健康になる』(自由国民社)など。
取材・文/藤岡加奈子
※女性セブン2026年9月3日号
