《物価高時代を乗り越える》夫婦で暮らす「おふたりさま」のメリットとは? 「生活費が毎月3万円ほど浮く」「新NISAでも有利」
食料品や日用品などの価格高騰が止まらず、老後の資金を貯めるどころではない――。人生100年時代を豊かに暮らすためにはどうするべきなのか。お金に関する3万件の相談をこなしてきた家計再生コンサルタントの横山光昭さん(54歳)は、「物価高時代を乗り越えるためには『おふたりさま』の知恵が重要になる」という。横山さんの著書『おふたりさまの老後資金は「これ」で増やす』より一部抜粋、再構成してお届けする。
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おふたりさまで過ごす期間は数十年
物価高時代や人生100年時代といわれる今、私はこれまで以上に「おふたりさま」(充実して暮らす夫婦)のお金のあり方を工夫する必要があると考えています。
なぜなら、おふたりさまのほうが何かと生活上のメリットがあるだけでなく、日本の税制や年金などの制度は、夫婦が優遇されたり、得したりする仕組みがたくさんあるからです。
多くの方は子どもが独立した後、パートナーとふたりだけで長く過ごします。40代で子どもが独立したなら、平均寿命に照らしてざっと30〜40年、50代でも20〜30年ほどになります。この20〜40年という期間は、子どもたちと同居する期間と同じくらいか、もっと長い期間になるかもしれません。
にもかかわらず、支出のあり方などを見直さず、収入が多い現役時代のままの暮らしを漫然と続けてしまったり、家族構成が変わっているにもかかわらず、保険などの大きな支出をムダに続けたりして、気がつけば老後資金がまったく貯まっていないというご夫婦が意外と少なくないのです。
子どもが独立するまでは、育児や教育にお金がかかるため、十分な資金を蓄えて「おふたりさま」を迎えるご夫婦は多くありません。つまり、この「おふたりさま」の時期に、いかに賢く、効率的に老後資金を貯められるかが、豊かな老後を迎えるための分水嶺になると言っても過言ではありません。
おふたりさまは老後のリスクを和らげる
おふたりさまは、かつて流行語にもなった「おひとりさま」から派生した言葉です。「おひとりさま」とは、夫婦やカップル、友人同士で行くことが一般的だった食事や旅行などを、ひとりで楽しむ人のことを指します。数年前から「ソロ活」という言葉も登場し、ひとりの時間を積極的に楽しむといった意味合いが濃くなりました。
これに対して、おふたりさまは夫婦やカップルの時間をより積極的に楽しむ人たちを指す言葉として、徐々に広がっています。繰り返しになりますが、このおふたりさまの時期は、お金を貯めたり、増やしたりするだけでなく、豊かな老後を過ごすための大切な準備期間となるのです。
さまざまな高齢者の暮らしや健康のデータに照らしても、相談者の方の実体験をうかがっても、やはり老後というのは何かとリスクの多い期間といえます。加齢に伴う肉体的、経済的、精神的な衰えは、たいていの人が避けて通ることはできません。ですが、おふたりさまなら、このリスクを何かと和らげることができるのです。
孤独に陥る心配も少ない
まず、おふたりさまは家計のコストパフォーマンス(コスパ)が、おひとりさまより断然よくなります。つまり現役世代にとっては老後資金が貯まりやすく、シニア世代にとっては老後資金に余裕ができやすいということです。
総務省の家計調査などのデータを見れば数字の面でも明らかです。夫婦世帯の生活費は、単身者2世帯分の生活費よりもかなり割安となります。平均的な夫婦世帯では、単身世帯に比べて、毎月3万円ほど浮く計算となります。
そして、「金の切れ目は縁の切れ目」とは逆と言いますか、お金に対する意識の高いご夫婦は、普段から夫婦間のコミュニケーションが良好な場合が多く、まさに夫婦円満でいらっしゃいます。
私たちのもとに相談にやってくるマネーリテラシー(お金に関する知識や判断力)の高いご夫婦も、日常の生活ぶりやご夫婦のエピソードなどを聞いていると、その円満ぶりがうかがえます。
夫婦間の良好なコミュニケーションがあれば、孤独に陥る心配は少ないでしょう。孤独は、健康や寿命にも悪影響を及ぼすというデータもあります。裏を返せば、孤独の解消は健康増進にも役立つということです。
新NISAや分散投資で有利な面も
株式市場が好調に推移していることもあり、ここ数年、私たちのもとを訪れる相談者の方の資産運用への関心がかなり高まっています。そして、この資産運用の面でも、おふたりさまには有利な点がいくつも挙げられます。
たとえば、2027年からさらに制度が拡充される「新NISA(少額投資非課税制度)」を活用すれば、投資で得た利益が非課税となります。ただし、ひとりあたりの生涯における非課税投資枠は1800万円まで。これがおふたりさまなら合計3600万円に拡大されます。
一般的な収入のご夫婦であれば、生涯を通じて3600万円の投資枠があれば、たいてい事足りるのではないでしょうか。また、ご夫婦が別々の商品に投資することで、「分散投資」の効果が高まります。さまざまなタイプの商品に分散して投資することは、投資のリスクを減らすために必要な対策です。
一方、急な出費が必要となり、投資した商品を現金化する際も、利益の出ている商品から順次、換金できるなど、おふたりさまの分散投資のメリットはここでも挙げられます。
◆教えてくれたのは:家計再生コンサルタント・横山光昭さん
よこやま・みつあき/家計再生コンサルタント・ファイナンシャルプランナー・株式会社マイエフピー代表取締役社長。1971年、北海道生まれ。これまで応じてきたお金にまつわる相談は3万件以上に及び、独自の「家計再生プログラム」により、個別の課題を抜本的に解決する。著書累計は400万部を超え、代表作に、いずれもシリーズ累計100万部超の『3000円投資生活』『年収200万円からの貯金生活宣言』など。
