倉田真由美さん「丁寧な暮らしは食事から」くらたまね~&らいふVol.10
50代半ばになり、「老後」というワードがちらつくようになったと語る漫画家の倉田真由美さん。若い頃には、気にしなかった「丁寧な暮らし」を実践すべく、早速、とある食品の手作りに挑戦したのですが、果たしてその出来映え、お味は?顛末を綴っていただきました。
執筆・イラスト/倉田真由美さん
漫画家。2児の母。“くらたま”の愛称で多くのメディアでコメンテーターとしても活躍中。一橋大学卒業後『だめんず・うぉ~か~』で脚光を浴び、多くの雑誌やメディアで漫画やエッセイを手がける。新たな描きおろし漫画も収録した最新の書籍『夫が「家で死ぬ」と決めた日 すい臓がんで「余命6か月」の夫を自宅で看取るまで』も話題に。
丁寧って何?
丁寧な暮らしをしたい、と思っています。
若い頃は、生活の中の「丁寧さ」など、ほとんど気にしたことがありませんでした。私は18歳で親元を離れ上京して一人暮らしを始めたので、好きな時に起き、好きな時に好きなものを食べるという生活が何年も続きました。ジャンクフードも好きだったし、夜更かし、時には徹夜も気にしませんでした。
30歳を過ぎてからは、多忙になったこともあり、やはり生活は雑でした。特に体重の増減が激しかったのが30代から40代にかけてで、飲み会などが多く暴飲暴食が祟っていたのだと思います。
しかし、私ももう50代半ば。大して忙しい日々でもなく、割とのんびり目の前の仕事をこなしていく生活です。地平線の向こうに隠れていた「老後」も、ちらちら姿を見せてきました。
丁寧に暮らしたい。
では、丁寧とは何か?
一つには「食」だと思います。丁寧な食事。それはやはり、ある程度手間をかけた手作りのご飯ということになります。
自分はどこまで手間をかけられるだろう。
ちょうど妹が来ていることもあり、一緒に魚屋を見ていた時に見つけた「タラの切り身」を使って、かまぼこを作ってみることを思いつきました。子どもは喜ばないかもしれませんが、妹には「いいね、食べたい」と言われたので、レシピを見ながら挑戦することにします。
かまぼこを1から手作り
とても身近な食品でありながら、案外「1から手作り」することがなかったかまぼこ。ちょっと面倒そうな工程もあり妹も手伝ってくれるんだろうと期待していたら、「今から娘(私にとっての姪)と買い物行ってくる」と言われてしまい、一人で作ることになりました。
かまぼこは、魚のすり身と卵の白身に調味料を混ぜ、蒸して作ります。魚をすり身にするのにフードプロセッサーがあればいいのですがうちにはないので、包丁とフードチョッパーでなんとかすることにしました。すり鉢は昔あったはず…とキッチンの戸棚をゴソゴソ探しましたが見つからず、きめの荒いかまぼこになりそうですが、手作りっぽくて返っていいかもしれません。
フードチョッパーは魚の切り身を細かくするのにはあまり向いていないようで、力もいるしちょっと難儀しました。ある程度細かくなったものを、更に包丁で細かくします。そして卵白、みりんや塩などの調味料を混ぜてなんとなく形を整えてまとめます。本当はかまぼこ板があったらよかったんですが、今回はないのでキッチンペーパーの上で、丸くケーキのように成形しました。
蒸し器に入れ、15分ほど蒸して完成!魚があまり新鮮ではなかったのか、少し生臭いですが火は通っています。
完全無添加!手作りかまぼこの味は?
妹が帰ってくるまで待てなかったので、一切れ味見してみました。完全無添加の作り立てのかまぼこです。
「……」
妹が帰宅し、「かまぼこ作ったよ」と言うと、「え、食べたい!」と喜ばれました。冷蔵庫に入れて冷えており、市販のかまぼこっぽくなっている頃です。2、3切れ切って出すと、「ちょうど小腹が減ってた」と妹が箸をつけました。
「……」
姉妹で「市販のかまぼこってすごいんだね」という話で盛り上がりました。
丁寧な暮らし。まだまだ可能性は広がります。
