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暮らし

65才以上女性、4人に1人がおひとりさま。「何とかなる」は危険。専門家が解説する“迷惑をかけない”終活の備え

 いまや65才以上の女性の約25%がひとり暮らし。今後も増加の一途を辿る(※1)といわれる中、健康面や死後手続きなどの不安を解消する方法として「終身サポート」が注目されている。将来“おひとりさま”になっても安心して最期まで自分らしく暮らすための活用術を調査しました。

※1 厚生労働省 国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」令和6(2024)年推計による。

教えてくれた人

黒澤史津乃(しずの)さん/高齢者等終身サポートアドバイザー、行政書士、消費生活アドバイザー、OAGウェルビーR代表取締役。全国高齢者等終身サポート事業者協会理事長。親や自身の介護、終活の“基本のき”を学び、情報交換ができるオンラインサロン「大人の未来LABO」が2月より運用スタート。共著書に『家族に頼らないおひとりさまの終活』(ビジネス教育出版社)ほか

おひとりさまの老後は手続きが大変?

「“年を取ったら介護保険を使い、いよいよ動けなくなったら老人ホームに入ればいい”と思っていても、そうできるとは限らない」と指摘するのは、高齢者等終身サポートアドバイザーの黒澤史津乃さんだ。

「介護保険も老人ホームも、誰かが手続きをしなければサービスを受けることはできません。もし、あなたがひとり暮らしで急に倒れてしまったら、手続きをひとりでやるのは不可能です。

 家族や親戚が何とかしてくれるからと、安心してもいられません。家族形態の多様化で、家族がいても頼れない・頼りたくない人が増えています。きょうだいは一緒に年を取っていくし、疎遠の甥や姪をあてにはできない。誰でも『老後ひとり』になって壁にぶつかる可能性があるのです」(黒澤さん・以下同)

 ひとりになって困ることはほかにもある。

「身元保証人がいなければ引っ越しや入院ができません。遺言書を作っても、託す先がなければ意味をなさない。そして、孤独死の不安も。実は、女性の孤独死の平均年齢は61.8才(※2)と、いきなりエンディングが訪れるケースも大いにあります」

(※2) 日本少額短期保険協会孤独死対策委員会「第9回孤独死現状レポート」(2024年12月)より。

 さらに、いつまで自分の家で暮らすのか、どの老人ホームを選ぶか。在宅介護にするか、デイサービスにするか……老後の生活は意思決定の連続だ。

「『私なりに終活していたつもりですが、自分が死んだら自分で葬儀社に電話をかけ “私、いま死にました”と連絡するくらいの感覚でした』と言ったかたがいました。笑い話のようですが、誰もがそんなふうに、漠然と『何とかなる』と考えているのです」

家族に代わる「終身サポート」という選択

「誰にも迷惑をかけたくない、でもその方法がわからない」という人の味方になると注目されるのが「終身サポート」。入院や転居に必要な身元保証、安否確認や通院の付き添いといった生活支援から葬儀や埋葬、死後事務などの手続きを、家族に代わって事業者が行ってくれるサービスだ。おひとりさまの増加に伴い、そのニーズは高まっている。

 サポート先の選択肢は、主に3つ。

「民間による『高齢者等終身サポート事業者』と、自治体や社会福祉協議会(地域に設置された非営利組織)が運営するものがあり、事業者によってサービス内容や利用条件、費用などが変わってきます」

 身の回りの世話は親族に、死後の手続きは専門家に頼むなど、事柄に応じてサポート先を変える方法もある。

 健康状態、予算の事情などでサポートを受ける時期は人それぞれだが、意思決定しておくと安心だ。

誰に相談したらいいの?<老後生活の主なサポート先>

【サポート先1】高齢者等終身サポート事業者

 民間企業が運営。生前から死後事務までトータルでサポートが受けられる半面、事業者選びが難しく、地域に事業者がいないことも。初期費用の目安は100万〜200万円。

【サポート先2】自治体、社会福祉協議会等

 自治体から委託を受けた社会福祉協議会などが運営。地元という安心感があり、民間業者より費用も安い。65才以上を対象とし、葬儀・埋葬を行える親族がいないことなどの条件がある。費用の目安は数十万円〜。

【サポート先3】親族や友人、民間事業者、自治体などを組み合わせる

 死後の手続きは民間事業者、遺言は公証人、日常の支援は知人など、目的に応じて支援先を選ぶ。費用が抑えられるが、知人からの支援が受けられなくなったなど不測の事態も生じやすい。

終活は「学ぶ」「決める」「託す」の3段階で

 では、いつがその時期なのか。「老後に起こるライフイベント」を見てみよう。

「意思決定や自己管理ができる元気な時期を『自立期』(図内(1)-1)といいます。いつまでもここにとどまれたらいいのですが、突然病気になることもあるし、健康であっても、いつかは体や認知機能が衰え、判断力が鈍る『グレーゾーン』((1)-2)の時期が訪れます。気づいたら認知症が進み、グレーゾーンを飛び越えて『判断力喪失』((2))になってしまうこともあり得ます。

 進行の速度は個人差がありますが、共通しているのは、自立期の枠を一歩でも出たら、もう意思決定を自分だけで完結させることはできないということ。ですから、まずは自立期にプランを立てておくことをおすすめします」

 自立期にプランを立て、サポートを利用する頃合いを設定し、手遅れになる前に利用を始める流れだ。

「そのためには、終活を『学ぶ・決める・託す』の3ステップで進めること。たとえば、40〜60代でやるべきことを『学び』、予算的に始められそうな時期が来たら事業者を『決める』。事業者に登録したら、決定事項を家族や身元保証人、専門家などに『託す』。

 3ステップの過程で気づいたこと、必要なことをエンディングノートなどに、その都度書き留めていくといいでしょう」

 老後の暮らしや死後のことを自分で決めるのは、ひとりだからという理由だけではないと、黒澤さん。

「従来の社会のように『家族に決めてもらう』のではなく、『私はこう生きたい』という自身の尊厳や希望を持って生きることが大事。終身サポートは、そんなかたがたの意思決定支援・実行支援をする存在です」

取材・文/佐藤有栄 イラスト/細川夏子

※女性セブン2026年3月5日号
https://josei7.com

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