「もしも親に介護が必要になったら…」をマンガで描いた介護士で漫画家の吉田美紀子さん、「身近な事例で介護の制度をやさしく伝えたい」
親の介護が始まるきっかけは、突然の「脳卒中」「認知症」「骨折・転倒」の3つのケースが多いという。上梓した『マンガでわかる 親の介護の始め方』は、これらのケースにフォーカスし、「親の介護」に悩む3家族が介護のキホンを学んでいくストーリーだ。漫画家であり現役介護士としても働く吉田美紀子さんに本書に込めた想いを聞いた。
高齢の親に介護が必要になる3つのケースを漫画で解説
高齢の親に介護が必要になる代表的なケースは3つ、「脳卒中」「認知症」「骨折・転倒」といわれる。『マンガでわかる 親の介護の始め方』(学研ホールディングス)では、この3つのケースを取り上げ、介護の基本を解説。「もしも親の介護が必要になったら…」。どんな準備が必要なのか、何をするべきなのか、マンガを通して学べる内容となっている。
本書を手がけたのは、漫画家であり現役介護士でもある吉田美紀子さん。40代から介護の世界に飛び込み、漫画家と介護現場のダブルワークを続けている。
「40代にさしかかり親も年を重ね、介護職は将来的にも必要とされるのではと思い、介護の資格を取りました。介護施設で実際に働いてみて、多くのかたのケアをする中で、『認知症などのご利用者のお気持ちが家族に伝わっていないのでないか…』と、感じるようになりました。そうした家族関係をはじめ、介護士兼漫画家として、利用者とご家族の“橋渡し”のような役割ができたらと思っています」(吉田さん・以下同)
吉田さんのやさしいタッチで描かれるストーリーには、「お助けネコのニャシスト3世」が登場。「脳卒中で倒れた父の別居介護」(第1章)、「認知症の母を同居介護」(第2章)、「骨折した母の遠距離介護」(第3章)と、3家族のケースを描かれる。親の介護に直面した主人公を、ニャシスト3世が適切にアシストしていく。
親が倒れたときの初動対応から、介護保険の申請方法、ケアマネジャーとの関わり方、在宅介護や施設利用の選択肢、かかる費用の目安まで、介護の流れを具体的なエピソードとともに解説。複雑な制度や手続きなども、マンガでストーリーを読み進められるので、初めて介護に直面する人にも理解しやすい内容となっている。
複雑な介護制度もマンガなので腑に落ちる
「介護の制度など難しいことも、“自分ごと”として感じてもらえたら、すんなり理解できると思い、できるだけ生活に近い場面を意識して、身近な印象になるよう心がけました。
介護のノウハウに関しては、自分の現場経験をもとにリアルに描くことができたと思っています。ただ、社会保障制度や公的支援については、知らなかったことや勘違いしていたこともあったので、私自身、とても学びになりました。改めて監修の先生に教えていただきながら描き進めていきました」
制度の説明だけでなく、介護する家族が抱えがちな不安や葛藤にも目を向けている点も本書の特徴だ。
第4章では「家族のその後の介護」の状況が描かれる。活用したい介護グッズや、「ショートステイ」を活用して介護する家族が休息を取る方法、介護の悩みを相談できる「認知症カフェ」など、続いていく介護をどう乗り切るのか、実用的な情報が収録されている。
「どんな形の家族であっても、利用できる支援があります。介護はもう家族だけで頑張る時代ではありません。市区町村の窓口は相談にも慣れているので、遠慮せず頼ってほしいと思います」
現場のリアルな視点と実用的な知識が詰まった本書は、これから親の介護に向き合う人にとって、心強い一冊だ。
【データ】
「マンガでわかる親の介護の始め方」
学研ホールディングス
定価:1,430円
【監修】 後藤佳苗(ごとう・かなえ)
一般社団法人あたご研究所 代表理事。行政保健師として、保健所や精神科救急病院、千葉県庁介護保険担当課等に勤務したのち、現職。ケアマネジャー、介護福祉職、行政等職員、看護職などに対し、年200回以上のセミナーを実施する。著書に『新訂 書くべきことをもらさない! 記載例で学ぶ居宅介護支援経過』(第一法規)、監修書に『ケアマネ一年生の教科書』(U-CAN)など。
【マンガ】吉田美紀子(よしだ・みきこ)
マンガ家・介護士。20代でマンガ家としてデビューし、40代でセカンドキャリアとして介護の仕事を始める。著書に『認知症が見る世界』(竹書房)、『中年マンガ家ですが介護ヘルパー続けてます』(双葉社)など。
構成・文/介護ポストセブン
