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《一枚の絵の前で足を止めて…》林家ペーさんが「絵に興味ある?」と元マネジャーを絵画展に誘ったワケ

 自宅マンションが火災にあった林家ペーさん(84歳)。それから5か月、ようやく日常を取り戻しつつあるようだ。元マネジャーでライターのオバ記者こと野原広子氏(68歳)の元に1本の電話が入った。それは開催中の絵画展への誘いだった。ペーさんとその絵画展にどんなかかわりが? オバ記者が綴る。 
 

* *  * 

ペーさんに絵画展に誘われた 

「あー、あなた、絵に興味ある? 別に興味なくてもいいんだけど行きたい画廊があるのよ。ええと『主体展』というんだけどね。2月7、8日なら銀座。9、10日なら新宿のヒルトン東京の地下。どっちがいい?」 
 

 電話でものすごい早口でまくしたてるのは、84歳の林家ペーさん。「突拍子もない」「脈略はない」「余談だけど」「奇しくも」。これ、みんなぺーさんの口ぐせで、本人のキャラはそれらの言葉の集合体のようなお人。 
 
 と、思いきや、落ち着いて話すとぺーさんなりの筋道があって、後から「ああ、そういう意味なのね」と合点がいく。おそらく私は、この“人間なぞなぞ”みたいな罠にハマったんだわね。「銀座の日は雪が降るから、新宿のほうがいいと思いますよ」と気がついたら約束をしていたわ。 

オバ記者の原点はペーパー子? 

 ご存知かどうか、私は25年前に3年間だけぺー・パー子夫妻のマネジャーをしていたことがあるの。ちょっとした行き違いで別れたので、これまで「ぺーパー子の元マネジャー」という、かなり人目を引く経歴をプロフィールに入れなかった。いずれにしても芸能界と私が身を置いていた週刊誌業界は、近いけど遠い、遠いようで近い。今思えば当時の私は生意気だったなと反省することも多々あるんだわ。だから昨年7月にぺーさんから私がエッセイを連載している女性セブン編集部に電話があったと聞いた時はすごくうれしかったの。 

 というのもオバ記者として被写体になってから、よく「なんでそんなに顔が作れるの?」とカメラマンや編集者に驚かれたんだけど、心当たりはぺー・パー子夫妻しかない! ホンモノの芸人がカメラの前でどう振る舞うかそばで見てると知らぬ間に身体に入っちゃうんだよね。もし会うことがあったらそのお礼を言いたいと思っていたの。本人は「えっ? どういう意味?」と戸惑っていたけど、説明したら「なるほどねぇ」とわかってくれた。 

XもYouTubeもやるペーさんだが… 

 が、人間、一寸先は闇。その2か月後にぺー・パー子夫妻の自宅マンションが火災にあったことで、いやおうなく元マネジャーの出番が増えた。「なんで私が?」なんて考える余裕すらなく、目の前のトラブルをひとつひとつ片付けていくしかなかったのよ。 

 ぺーさんは私より16歳年上、ということがにわかに信じられないくらい、やることなすこと若い。火事の直後はさすがに投稿を止めたけれどかなりの頻度でXに投稿している。YouTubeもやっている。が、オールマイティーかというとそうではなくて、特にスマホの機能を使うのが苦手なんだね。火事の直後は特に電話をかけてもLINEにメッセージを送っても、何日も返信がない。「Xの投稿はしても私の電話は出られないのか!」と怒る人もいたのよね。 
 
 けれど大きなアクシデントに見舞われた時、即座に現実と正面から向き合える人がどれほどいるか、とも思うんだわ。ましてやぺーさんは80歳過ぎた高齢者…なんて思うのは私が身内同然だからなんだね。 

ペーさんが足を止めた絵との“縁” 

 いずれにしてもあれから5か月。いろいろあったけれど今、火災の部屋に廃棄業者が入って、大きな問題のほとんどが片付いて、こうしてぺーさんと並んで絵を鑑賞している。それにしてもなぜぺーさんがここに? だよね。 

 一枚の絵の前からぺーさんが動かない。「そうそう。この絵を描いた中嶋修さんが、ぼくの落語の師匠、林家たい平さんの美大の先輩で大の落語好きなのよ」とぺーさんが言う。たい平さんは今回のことで2回、ぺーさんのためにチャリティー演芸会を開いてくれた人で、その時のポスターはたい平さん作だ。 

 私もぺーさんと並んで絵の前から動けない。その絵は、画家の中嶋さんご本人の本棚なんだろうね。ぺーさんは『林家たい平 快笑まくら集』の一冊に目をとめた。私は『河童の手のうち幕の内』から目が離せない。「ぺーさん、妹尾河童さんてご存知? 私は大昔、『河童が覗いたヨーロッパ』って、安宿を俯瞰で描いた本に夢中になったんですよ」。「へぇ、妹尾河童って舞台業界では有名な人よ。余談だけど…」と、私相手に面白い話、してどうするの?(笑) 
 
でも、元気になって良かった! 

◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。2021年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。実母の介護も経験している。

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