Xのフォロワー数3.7万人!介護福祉士のぶさんの投稿に「癒される!介護で疲れた心が温まる」の声続々!話題の本人に介護中の記者が直撃
「介護はいつまで続くんだろう…」。母親の介護で最近疲れ気味のR60記者だが、介護福祉士・のぶさんが発信するXの言葉に癒されている。介護で疲弊した「心が軽くなる」と話題の投稿を続けるのぶさんに、その想いを聞いた。
教えてくれた人/のぶさん
介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員。大学在学中、父の介護に携わったことがきっかけで介護職の道へ。特別養護老人ホームで働きながら、在宅介護中の人や介護職の人に向けたメッセージをXで発信。投稿が共感を呼び、現在フォロワー数3.7万人。著書『読むだけで介護がラクになる本』(すばる舎)も話題に。https://x.com/nobu_fukushi
介護で疲れ気味の人にぜひ読んで欲しい
生命保険文化センターの調査(2024年)によると、介護に要した期間は平均4年7か月。4~10年が最も多く27.9%、10年以上も14.8%いる。介護はいつまで続くのか、不安な人も多いのではないだろうか。
90代の母親を通いで介護をするR60記者。50代中盤からスタートした母の介護も、そろそろ6年目、だんだん自分の老いも感じるようになり心身ともに疲れ気味。そんな記者が注目しているのが「読むと心が軽くなる」と話題の介護福祉士・のぶさんの言葉。
介護職として10年のキャリアをもつのぶさんは、現在、特別養護老人ホーム(特養)に勤務し、4年前からXを発信。数々の投稿がバズり、フォロワー数は3万人を超え、介護に携わる多くの人を励まし続けている。投稿をもとに介護のノウハウをまとめた初の著書『読むだけで介護がラクになる本』も出版し、話題を集めている。そもそも介護について発信しようと思ったきっかけとは?
「『介護は大変なことばかりだけではなくて、楽しいこともあるのになー』と純粋に思っているので、それを伝えたいと思ってXを始めました。
自分の投稿は、3つの軸があると思っています。
在宅介護をされているかたへのメッセージ、介護現場で働く人たちに向けた発信。それから、これまで接してきた利用者さんとのやり取りで感じた“ほっこり系”のエピソードです。
この3つについて、感じたことをつぶやいていますが、読んだかたから『肩の力が抜けた』『救われた』というメッセージをいただけるのが嬉しいですね」(のぶさん、以下同)
静かに淡々と語るのぶさんだが、投稿する言葉は熱い。在宅介護をしている家族に向けた投稿には、100件を超えるコメントや数万件の「いいね」がつくことも。
《「今日は、もう何もしません」
そう決めて、布団にうずくまる日があってもいい。だって、介護をしてる人って、朝から晩まで 『スイッチ入りっぱなし』だから。朝はトイレのタイミングを見計らって、 昼は 食事の栄養バランスに気を配って、 夜は、 外に出て行かないか何度も確認して…気がついたら、自分のご飯は立ったまま。味も覚えてない。 コンビニおにぎりの パッケージすら捨て忘れてる。それくらい、“気”を使ってる。 “体”も“心”も、ずっと緊張してる。だからこそ「〇〇しない日」を、わざと作っていい。》
《大げさな話じゃなくて、在宅介護をしたことない人が便失禁のオムツやシーツを交換すると、1時間以上かかって「もうココロもカラダもボロボロです」って話を聞くことがあるけど、介護のプロなら10分くらいで終わります。この差は覚えておいてほしいし、もっともっと気軽に介護サービスを頼ってほしい》(のぶさんのXより。以下《》内同)
時には介護を休んでもいいこと、介護の専門職や制度に頼ることの大切さを繰り返し発信している。一方で、施設の利用者さんとのほっこりしたエピソードは、たった数行の中に情景が浮かび上がりクスリとさせられる。
《老人ホーム入所をきっかけに101歳でタバコを辞めたお婆さんに、「なんでタバコ辞めたんですか?」って聞いたら「100歳でばばあがタバコ辞めたらおもしろいと思って」と、真顔で言っていてこのくらい最強に生きたい。祝敬老の日》
この投稿は11万いいね!と大バズり。「こんなおばあさんになりたい!」など多くのコメントがついた。
「介護の話題って、大変とか暗い話になってしまいがちですが、心が温まることや、楽しいこともたくさんあるので、そういう明るい面を共有できたらと思っています。
在宅介護をされているかたには、『もっと介護サービスを頼ってほしい』という想いがあります。
施設で相談員として利用者のご家族のかたにお話を聞くことが多いんですが、たとえばショートステイについてご相談された場合、ご家族が2泊3日と考えていても、前後2泊もプラスできますよ、と提案することもあります。少し長めに滞在することで利用者さんも慣れていきますし、ご家族は介護を休んでリフレッシュすることで、また在宅介護を心地よく続けていけると思うんですよ。
こんなこと頼んでいいのかなと遠慮されるご家族は多いんですが、何も言ってもらえないほうが僕らとしても困っちゃうんです。些細なことでも相談してもらっていいんです。サービスを知ること、そしてプロに頼ることで、どんどん介護をラクにしてほしいと思います」
のぶさんの発する言葉は、優しさに満ちている。それは、ご自身が20代のころに味わった父親の介護経験が大きく影響しているのかもしれない。
「介護職を目指したきっかけは、なんとなく福祉の仕事をすれば世の中に対して“いいこと”ができるかなと、そんな漠然とした理由だったんです。
20代のとき父親が事故で頸椎を損傷して、首から下が動かない状態になって介護が必要になりました。いま父は施設で暮らしていますが、長らく母がメインで寝たきりの父の介護を担ってきましたので、介護の仕事に就いてからは、父の介護においては、場面場面でこういうサービスがある、ここに頼ればいいと提案することができたことはよかったと思いますね。
父に突然介護が必要になったことで、いろんなことを一気に背負わなければならない状況になって、『なんで??なんで自分だけ…』って、苦しい気持ちにもなりましたね」
ある日突然、父親が寝たきりとなってしまった現実を受け入れざるを得なかった日のことはXにも綴られている。
「呼吸ができなくなるほど泣いた日を一生忘れない」という冒頭文から始まる。
《親父が笑ってても、心のどこかで「なんで俺だけ…」って思ってしまう自分が嫌い。(中略)親父の身体を目の前にして、「ぼくだけがツラいわけじゃない」って、嫌でも思い知らされる。それでも“わかってる”ってことと、“受け入れられる”ってことは、まったくベツモノ。たぶん、ずっと引っかかったままなんだと思う。家族には家族にしかわからないツラさがある。この気持ち、わかる人いるかな。》
「介護って、家族だけにしかわからない心の葛藤や苦しさってあると思うんですよね。大好きな家族だからこそ、できなくなってしまうことの現実やいら立ちを感じてしまうこともあります。
自分も経験してきましたが、やっぱり頑張りすぎてはけないんです。そのために制度があるし、僕らのようなプロがいる。制度も道具も知っているだけで救われることがあります」
のぶさんの言葉に記者も何度も心を救われてきた。具体的な介護のアドバイスについても伺った(次回につづく)。
取材・文/本上夕貴
