「激安!おからは最強の節約食材」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第52話
慢性膵炎を抱える母と山口県で暮らす漫画家のうえだのぶさん。栄養士の資格をいかして母の膵臓にやさしい食生活に気を配る日々。原因不明の膵炎に加え、脚の不調を抱えた母の状況に不安が募り――。さて検査の結果は?
検査の結果はいかに?
母の「慢性膵炎」と「脚の不調」どちらも結果が出ました。
その1「慢性膵炎」
MRIの結果、石はありますが膵臓の炎症などはなく、膵がんの兆候もないということで「現状維持」です。とりあえず「ほっ」。
その2「脚の不調」
こちらはちょっと意外なことに…。
整骨院→整形外科で状況が変わらず「整体院」で診てもらった結果「原因は右腕だと思います」。右の上腕から肩と背中までガッチガチで、その影響が左脚に出ているとのこと。
「右腕」と言われて、「あっ‼」と思い当たることがあった私。
うちの母、庭木や野菜を育てるよりもっと好きなのが「手芸」なんです。結婚前は洋裁店でお針子さんをしていて、今でも市販の手芸キットを買っては小物や部屋飾りなどを作って楽しんでいます。ただ熱中すると寝食以外はずっと作りっぱなしで…。
この頃も、「友達にあげる」と言ってずっと何かを作っていて、「えーころにしちょきーやー‼(いい加減にしておきなさいよ‼)」と叱ったのを思い出しました。
先生「手芸はどのくらいしてましたか?」
母「えーと、毎日1時間くらい」
私「ウソです、食事の時間以外は朝から晩までずっとやってました」
母「…そうかもしれません」
先生「(声を立てずに笑う)」
先生「おそらく右腕が原因だと思います。ただ、良くなるまでは3か月くらいかかりますし、やってみて変化がないようならまた他の箇所を施術します。そんな感じでも大丈夫でしたら、2週間おきくらいに通院してみてください」
帰りの車で母に「どうする?」と聞いたら「整形外科と整体、どっちの治療も受けたい」と。
私としては何が正解かわからないし、あれこれ情報を仕入れて指示するより「本人が望んで行動することが大事」と思っているので(父のがん治療の後悔があるので)、とりあえずそれでいくことに決めました。
→父のがん治療のこと「母を想う娘のガビーン!な心境」<第20話>
というわけで整形外科と整体、ダブルで通うことになりました。どちらも自宅から近いし、私の生活時間の合間に行けるので通うのには問題ありません。
――ひとつ問題があるとしたら「お金」。
皆さんご存じの通り「整体」は健康保険がききません。整形外科の治療は1回ウン百円ですが、整体はウン千円です。年金暮らしの母には痛い。ビッグな漫画家じゃない私にも痛い(わが家、お財布は別々です)。
整体代をどうやって捻出するか?
そこで「どうやったら整体代を捻出できるか会議」を開催しました。
まず議題に上がったのは「旅行貯金」。5年くらい前にテレビで「1日100円貯金」の話を観て、それから一緒に始めて旅行資金にしてます(去年は鹿児島に行きました)。今年ももう6か月分貯まっています。
どうせ脚が悪い間は旅行に行かれないし、まずはこれを整体代にスライドしましょう。決定!
他に何かを削って捻出…と言っても母も私もそんな贅沢な暮らしはしてないし、無駄な買い物もしてないし、無駄な買い物…あっ!
私「右腕が治るまでは手芸控えんとね」
母「そうじゃねー」
私「そしたら毎月の手芸キット代を整体に回せるね」
母「…そうじゃね」
母が毎月いくら買ってたのか知りませんが、なんとなく財源は確保できた感じです。
後は無駄な出費を抑えるか。食べることが好きな母娘なので食事を切り詰めることまでは考えていないのですが、安い食材を使った料理のレパートリーは増やして楽しく節約しようと思います。
それで思い出したのが「おからサラダ」。久しぶりに作ってみました。
おからが1袋20円、1人分の材料費は25円くらいです。今年の最初に掲げたテーマ「ケセラセラ(なるようになるさ)」を順調?に楽しんでいます。
→新年は膵臓に優しい「ぶりしゃぶ鍋」でケセラセラ!<第39話>
ちなみに、このエッセイを書いてる時点でまだ母の脚の様子は変わりません。もう2か月が経ちます。「もしかしたらこのまま?」という思いは日に日に大きくなっています。
数日前、なんとなくつけていたテレビで独り暮らしの高齢者の特集をやっていて、「地域包括支援センター」の紹介をしていました。要支援1でも色々なサービスが受けられるという内容でした。
へー、と思いながら観て、昼食時に母に「介護保険でリハビリとか行けるらしいよ」と言ったら、母も「ふーん」と言う反応でした。
母と「介護」についての会話をしたのはこれが初めてでした。
NO老いるMEMO コスパ最強「おからサラダ」
私の地元の手作り豆腐屋さんでは、商品を買うと「おから」が激安(20円くらい)で買えます。そのお豆腐屋さんで以前教えてもらったのが、「おから」をマヨネーズで和える「ポテサラ風サラダ」。
じゃがいもを茹でる必要がないのでキュウリとハムがあれば火を使わずあっという間に完成。光熱費も節約できます。生の「おから」が手に入った時はぜひ作ってみてください♪
「おからサラダ」※4人分
生のおから:100g
小口切りのきゅうり(軽く塩をしてもんでおく)50g
ロースハム2枚(刻んでおく):10g
スイートコーン(缶詰ホール):50g
マヨネーズ:大さじ1
らっきょう酢(甘酢):大さじ2
<作り方>
【1】おからにマヨネーズとらっきょう酢を入れてよく混ぜる。
【2】きゅうりとハム・コーンを入れて混ぜたら完成。
お好みでかにかまなど好きな具材を入れて楽しんでください。日持ちがしないので作ったら冷蔵庫に入れ、早めに食べきってくださいね。
<1人分の栄養素>
エネルギー:78kcal
たんぱく質:2.2g
脂質:3.8g
食物繊維:3.4g
食塩相当量:0.6g(きゅうりの塩は計算外)
「おから」って100g中のたんぱく質は絹ごし豆腐より多いんです。ただの「搾りかす」ではないんですね。ちなみに脂質も豆腐より多いので、わが家ではマヨネーズの量を減らすため「らっきょう酢」で味付けします。「NOオイル」ではないので、食べ過ぎにはご注意を!
絵と文
漫画家・うえだのぶ
イラストレーター・漫画家。58才。山口県で82才の母とふたり暮らし。40代で地元の短大に入学し、栄養士の資格を取得。地元山口県を拠点に、漫画を利用した食育や時短調理などの栄養講座の講師なども務めている。
アメブロ:https://ameblo.jp/abareinupoti/ インスタ: https://www.instagram.com/nobuueda/?hl=ja
『読者体験!リアル迷惑人間大集合1 』Kindle版が発売中。