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健康

《ポイントは水分》頻尿を改善する生活習慣を泌尿器科の専門医が指南 尿トラブルの観点で「レモンサワー」がNGな理由

 頻尿の悩みは、過活動膀胱など器官の不調によっておこるものもあるが、医者にかかったり薬を使ったりしなくても生活習慣を変えるだけで改善する可能性があるという。そこで、『頻尿・尿もれ 自力でできるリセット法』(アスコム)の著者で泌尿器科の専門医・高橋悟さんに意識するべき習慣について教えてもらった。

教えてくれた人

日本大学医学部泌尿器科学系泌尿器科学分野主任教授・高橋悟さん

たかはし さとる。1985年、 群馬大学医学部卒業。 米国メイヨークリニック・フェロー、 東京大学医学部泌尿器科助教授、 日本大学医学部附属板橋病院病院長などを経て現職。2003年、 天皇陛下(現上皇陛下) が入院された際の担当医師団を務める。 日本排尿機能学会理事長、 日本老年泌尿器科学会理事長などの要職を務める一方、テレビ出演などを通して、 尿トラブルの啓蒙に力を入れている。

注目するべきは「水分のとり方」

 高橋さんによると、下記に当てはまる人は生活習慣を変えることで頻尿を改善できる可能性があるという。

・昼だけではなく、夜もたびたびトイレに行く人

・夜だけ何度もトイレに行く人

・尿意がないのに、”ちょいもれ”してしまう人

「生活習慣の改善とは、具体的になにかといえば、一番は『水分』についてです。この点を気にするだけで、かなり変化が出ます」(高橋さん・以下同)

 トイレが近いことを気にして泌尿器科を訪れる人の中には、単に水分の摂りすぎだったということもあるという。

 医師が使うガイドラインでは、1日に8回以上が頻尿の定義とされているが、「『1日に8回以上』というのは、1つの目安にすぎないと思ってください」と高橋さん。

「同じ人でも、猛暑の夏に戸外で汗を流しながら過ごせば5時間トイレに行かなくても平気なのに、寒い冬には2時間おきにトイレに飛び込むようなこともあるので、一概には言えません」

 また、トイレに行く回数が多いけれども生活に不便はない、と感じているのであれば、頻尿という言葉にとらわれて、治さないといけないと思う必要もない。

「頻尿で生活に不便を強いられている人だけが、生活習慣を改善して、治せばいいのです」

水分の適正な摂取量を知る

 ドロドロ血液によって引き起こされる心筋梗塞や脳梗塞の予防など、健康のために意識的に水分を多く摂っている場合がある。

「『水分を多めにとると脳梗塞の再発リスクが減る』という研究が1つありますが、あくまで脳梗塞の既往歴のある患者さんが対象です」

 水分を摂りすぎると、それを排出するために尿が適正量以上に作られることになり、「多尿」という症状につながる。

多尿を防ぐためには、水分不足で脱水症状にならず、かつ摂りすぎにはならない適正な摂取量の目安を知っておこう。

【1日の水分摂取量の目安(体重60kgの場合)】

・食事に含まれる水分で1リットル

・それ以外の飲み物で1〜1.5リットル

合計で2〜2.5リットルとなり、これは飲酒も水分量に含めて計算する。

とり入れる水分の総量を見直す

美容や健康のために、水分補給をすることが推奨されていることが多いが、こまめに水分を摂ることを意識しすぎている人のほかにも、高橋さんによると、晩酌が欠かせない人や習慣的にコーヒー・紅茶をよく飲んでいる人は、1日に2.5リットル以上の水分を摂っている可能性があるという。

また、食事から摂る水分は意識しにくいものだ。健康のために生野菜をたくさん食べるようにしている場合などは、食事に含まれる水分量を加味して水分補給をすることが推奨される。

「生野菜には『ほとんどが水分』というものもあります。たとえばレタスもキュウリも、約9割が水分です。キュウリ1本が100gだとすると、1本食べただけでも約90mの水分をとったことになります。果物も同じです。スイカもメロンもイチゴも約9割が水分ですから、大きめにカットされたスイカを食べたら、それだけで200mの水分をとったことになります。 残念ながら『みずみずしい果物』ほど要注意というわけです」

尿の量を増やす4つの成分

トイレが近くなる原因としては、尿が出るのを促す働き「利尿作用」のある成分が含まれる飲食物をたくさん摂取していることも考えられる。注意が必要な成分を教えてもらった。

野菜や果物によく含まれている「カリウム」、「カフェイン」や「アルコール」には利尿作用があり、とくに「カフェイン」と「アルコール」は膀胱を刺激する働きもあるため、尿意をもよおしやすくなる。

カフェインの多い飲み物は、コーヒー、紅茶、日本茶、烏龍茶、エナジードリンクなど。そのほか、「炭酸飲料」や「柑橘系飲料」も、膀胱を刺激するとされているので注意が必要だという。

「さらにお酒にもカリウムが含まれているものがあるのです」と高橋さん。

カリウムが多いお酒はワインや紹興酒、炭酸飲料であるビールは膀胱を刺激するため、頻尿が気になる人は意識したいアルコールだ。カリウム含有量の少ないお酒には、焼酎、ウイスキー、日本酒がある。

「尿トラブルの観点から、『一番おすすめできない』のはレモンサワーです。アルコー

ル・炭酸・柑橘系と三拍子そろった利尿作用の宝庫といえるのです」

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