《100円グッズ》視点を変えて介護に活用|介護経験のある社会福祉士が「在宅介護で使って良かったもの」20選
「100円ショップには、介護にも活用できるグッズの宝庫です。身近なアイテムが介護の色々なシーンで活用できますよ」とは、高齢の親の在宅介護経験をもつ社会福祉士の渋澤和世さんだ。「介護にはどう使えるか」という視点で選び、実際に在宅介護に活用してきた100円グッズを教えてもらった。
この記事を執筆した専門家/渋澤和世さん
渋澤和世さん/在宅介護エキスパート協会代表。会社員として働きながら親の介護を10年以上経験し、社会福祉士、精神保健福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得。自治体の介護サービス相談員も務め、多くのメディアで執筆。著書『入院・介護・認知症…親が倒れたら、まず読む本』(プレジデント社)、監修『親と私の老後とお金完全読本』(宝島社)などがある。
100円ショップの商品で介護に利用できるもの
私自身、介護をしていないときは、100円ショップに行っても「介護目線」で商品を見ていませんでした。しかし介護が始まってからは、「このグッズは、こんなときに使えるかも、こんな風に使えば便利かも」と考えながらショップを回るのは、息抜きにもなりました。
もちろん介護用として開発されたグッズも売っているのですが、専用のものではなくても、アイディア次第で介護にも活用できるのです。視点を変えれば介護にも役立つ100円グッズをご紹介します。
100円グッズ活用術「住環境編」
・滑り止めマット・シート「車いすや足元に敷いて活用」
車いすの座面クッションの下でずり落ち防止として活用できます。また、ベッドの足元に敷いておけば、立ち上がるときに安定性を確保できます。
ランチョンマットの替わりに使えば食器が滑ににくくなるので食事介助にもおすすめです。
・コーナーガード「室内でのケガ予防に」
ぶつかり防止クッション(カラークッションバー)や、赤ちゃん用のコーナーガードを活用して、室内の安全対策を。
高齢になって足腰が弱ると転倒のリスクも。テーブルの角などに取り付けて衝撃を和らげるクッションを活用して、尖った角に手や頭をぶつけたときなどのケガ予防として利用します。
・LEDライト「夜中のトイレも安心」
100円ショップにはさまざまなライトが販売されています。足元を照らせば、夜中のトイレも安心です。300円など値段が上がりますが人感センサー付きのものもあります。
・S字フック「介護用品をひっかけておく」
介護が始まるとおむつの袋、ゴミ袋、薬を入れたケースなど、ベッドの近くにさまざまなものを用意することになります。S字フックでベッド周りにかけておくのに便利です。
100円グッズ活用術「健康サポート編」
・アームカバー「敏感肌の保護に活用」
高齢になると肌が乾燥しやすくなり、少しの刺激で皮膚がかぶれてしまうことも。アームカバーをしておくことで肌の保護にもなります。
・レッグウォーマー「冷え対策に」
冷えやむくみやすい高齢者におすすめ。足首までのソックスと併用するとさらに温かさをキープできます。
・塗り絵、脳トレ、パズル、折り紙「脳トレに最適」
100円ショップには、高齢者のレクリエーションに活用できる塗り絵や脳トレなども販売されています。手指の細かい動きはリハビリに役立ち、気分転換にもなるのでおすすめです。
100円グッズ活用術「排泄ケア編」
排泄ケアに活用するシート類は介護用、赤ちゃん用、ペット用などさまざまなものを活用できます。
・ドレッシングボトル「すっきり洗浄」
排泄介助の際、ティッシュやおしりふきでだけでは汚れが取り切れないことも。そんなときに便利なのが100円ショップのドレッシングボトルです。ぬるま湯をボトルに入れて洗浄するとすっきりします。
・ペット用の防水シーツや消臭袋など「汚れ防止に」
ペット用のアイテムも介護に活用できるケースがあります。「ペット用シーツ」は、排泄ケアの際、布団やマットレスの汚れ防止や、トイレや部屋で失禁した際も吸い取りや飛び散り防止対策に便利です。また、オムツを廃棄するのにペット用の消臭袋なども活用していました。
100円グッズ活用術「ケアの時短編」
・タオルキャップ「入浴介助後に活用」
入浴後、髪の毛を乾かす前にかぶっておけば、着替える際、衣類が水に濡れにくくなります。
・ヘアドライ手袋「髪の毛を乾かす時間を短縮」
洗髪後の髪の毛を乾かすとき介助者が使うと便利です。タオル地でできた手袋に水分が吸収されるので、乾かす時間の短縮に繋がります。
・足指パッド「指の間は水分を拭き取りにくい」
足の指の間に挟んでおくパッド。足指が湿ったままにしていると不衛生で垢も溜まりやすくなりますので、入浴後に乾燥させるときに便利です。水虫防止などにもいいでしょう。足指パットの替わりに、化粧用のパフで代用もできます。
100円グッズ活用術「生活編」
・ベル(呼び鈴タイプ)「介助者を呼ぶときに」
介助して欲しいときや用事があるときの合図用としては、介護施設などでも使用されています。家庭でも同様に利用できます。
・老眼鏡やルーペ「シニア世代の必需品」
文字が読みにくくなった時、手元にあると便利です。
・鉛筆用グリップ「握力が落ちてきたら…」
鉛筆やカトラリーを握りにくくなっている高齢者におすすめの「鉛筆用グリップ」。スプーンやフォーク、歯ブラシに装着すると、太さもでて握力が弱くても握りやすくなります。
・カードリング「ジッパーの上げ下げをラクに」
ものを束ねるためのカードリングは、金属やプラシチックなどさまざまな材質のものが販売されています。
高齢になり指先がうまく使えなくなった場合、衣服のジッパーの上げ下げがしにくいことも。そこでリングをジッパーに通しておくと、持ちやすくなって上げ下げがラクになります。ジッパーが付いているバッグや財布もリングをつけておくと開閉しやすくなります。
・ミニホワイトボード
認知症などで忘れてしまうことが増えた、耳が聞こえにくくなった場合の意思疎通に便利です。
・お名前ワッペンやネームタグ「衣服の記名に」
介護施設やデイサービスに持って行く洋服の名前つけに活用。持ち物には必ず名前をつけるのですが、名前が書きにくい素材やスペースがないときなどは100円グッズのワッペンを活用していました。
100円グッズ活用術「介護食編」
・ベビー用のマッシャー&カッター「介護食に活用」
柔らかめの食材を切ったりつぶしたりできるので、介護食を一人分作るときになどに便利です。
・くりかえし使える離乳食小分けパック「介護食の保存に」
介護食の作り置きに便利です。我が家では、野菜をゆでてつぶして小分けにして冷蔵庫にストックしておきました。介護食を作る際、手軽に利用できて野菜不足の解消にも役立ちました。
・小さい泡だて器「飲料のとろみづけに」
飲み物にとろみをつける際、ダマになりやすいので小さめの泡立て器で攪拌するのに活用します。粉末のものを溶くときにも便利です。
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100円ショップのアイテムは、全く関係のない商品と思っていても、別の用途で利用できるとか、組み合わせることで便利になることも。是非、日ごろの介護に100円ショップを活用してみてください。