和歌を詠んで<嚥下機能アップ>専門家が勧める脳にもいいトレーニング
NHK大河ドラマの『光る君へ』で重要な役割を担う“和歌”を使ったトレーニングを紹介します。専門家によると、嚥下機能や認知機能の低下が気になるシニア世代にぴったりなのが「早口言葉」のような言葉を繰り返し言うことだという。そこで、トレーニングに最適なさまざまな時代で詠まれていた和歌をピックアップしました。毎日続けて、口腔内も脳も健康にしませんか。
教えてくれた人
篠原菊紀さん/脳科学者
公立諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科教授。専門は応用健康科学、脳科学。子供から高齢者まで幅広い年齢を対象とした脳トレ、勉強法などをメディアで解説。最新著書に『楽しみながら脳を活性化!大人の記憶力ドリル180日』(イースト・プレス)。
早口言葉で前頭前野を活性化
脳科学者の篠原菊紀さんは、「家事でも計算でも仕事でも、“自分のペースでこなす”のではなく“できるだけ早くやる”などの課題を設けて挑戦した方が、脳の前頭前野が活性化します」(「」内・以下同)という。
前頭前野とは、行動や感情、記憶をコントロールしたり、アイディアや意欲を生んだりする部位。この前頭前野の機能は加齢により少しずつ衰え、記憶力や意欲の低下を招くが、何才からでも鍛えられるという。トレーニングのひとつとしておすすめなのが、早口言葉だ。
「最近の研究では、口腔内の健康が認知機能に深いかかわりがあることもわかってきました。ただなんとなく早口言葉を言うだけでなく、大きく口を動かしながら発声すれば、舌や喉などの筋肉強化にも効果的です。長く続けることで、認知機能の向上も期待できるでしょう」
いつでもどこでもできるのが早口言葉のメリットのひとつだが、可能であれば、立って行った方がさらに効果が上がるという。
「背筋を伸ばして立ち、大きな声ではっきり発声すると、腹筋や背筋、お尻の筋肉のトレーニングと同じような効果が期待できます。継続的な運動は認知機能の改善にも役立つとされているため、脳機能、身体機能どちらにおいても好影響を与えるといえます」
初めはゆっくりでもいいので、口を大きく開け、お腹からしっかりと声を出すことを意識し、徐々にスピードを上げていこう。
読みにくい和歌4選
『万葉集』『古今和歌集』『百人一首』流暢に読めるとカッコいい!
「思(おも)へども 験(しるし)もなしと 知(し)るものを なにかここだく 我(わ)が恋ひ(こい)渡(わた)る」
『万葉集』大伴坂上郎女
「秋(あき)の野(の)に 人(ひと)まつ虫(むし)の 声(こえ)すなり 我(われ)かと行(い)きて いざとぶらはむ(わん)」
『古今和歌集』詠み人知らず
「人(ひと)も惜(お)し 人(ひと)も恨(うら)めしあぢきなく 世(よ)を思(おも)うゆゑ(え)に もの思ふ(おもう)身(み)は」
『小倉百人一首』後鳥羽院
「恋(こい)すてふ(ちょう) 我(わ)が名(な)はまだき 立(た)ちにけり 人知(ひとし)れずこそ 思(おも)いそめしか」
『小倉百人一首』壬生忠見
取材・文/植木淳子
※女性セブン2024年11月7日号
https://josei7.com/
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