梅雨時のカビ対策は開けっぱなしの「だらしない家事で換気を」専門家が教える湿気退治法10選
じめじめとした湿気がいやな梅雨時期。日本気象協会の発表によると、2024年の梅雨は、降水量は多くなることが予想されている。湿気やそれによるカビが原因で体の不調が起こることも――。湿気を防ぎ、カビの繁殖を抑える家事の裏技を専門家に聞いた。
教えてくれた人
知的家事プロデューサー・本間朝子さん
家事を時短・省略化する知的家事メソッドを提案する。著書に『ゼロ家事』(大和書房)、『60歳からの疲れない家事』(青春出版社)、『本間式 置くだけ片づけ』(エクスナレッジ)など多数。
“だらしない家事”で換気をよくする
「湿度の高い梅雨の時期、私が実践しているのは“だらしない”家事です」
そう話すのは知的家事プロデューサーの本間朝子さんだ。一体どういうことなのか―─。
「除湿のために最も大切なのは“換気”です。雨が降っていないなら、外から空気を入れるため窓を少し開け、さらに、離れた窓を大きく開けます」(本間さん・以下同)
つまり、風の出入り口を作るのだ。それも、通りをよくするには、入り口は狭く、出口は広くするのが効果的だという。窓は2か所セットで開けることを覚えておこう。
「普段ならドアを閉めないのはだらしなく思われがちですが、梅雨時期は率先してだらしない状態にしてください。また、出かける際はクローゼットや棚、下駄箱の扉もすべて開けっぱなしにしておきましょう」
皮脂汚れを防ぎアルコールで消毒を
次に、カビを繁殖させないためにはどのような対策が効果的か。
「菌の繁殖には、温度・湿度・えさが重要。一般的にカビにとって快適な温度は20~30℃、湿度60~80%とされています。そこにカビのえさとなる皮脂汚れやほこりなどが合わさることで増殖します。
温湿度はエアコンで低めに調整できますが、えさは掃除で防げます。床をはだしで歩いて皮脂汚れをまき散らかさない、食べこぼしをそのままにしない、アルコールスプレーでこまめに掃除をする、などを心がけるのがおすすめです」
湿気を退治する10の方法
目には見えなくても確実にいる。いますぐできる”湿気”退治法10選!
マットレスとベッドの間に瓶を挟む
就寝中にかく汗の量は成人でコップ約1杯分。それほどの汗で濡れたマットレスをそのままにしておくとカビの温床に。「マットレスを干すのは大変。そこで、ベッド本体とマットレスの間に瓶などを挟み、隙間を作り風通しをよくしましょう。扇風機などを使うとより効果的」(本間さん・以下同)。
市販の除湿剤は容量で使い分けて
「市販の除湿剤は置く場所に適したさまざまな大きさがあります。下駄箱などに最適な400~500mlサイズは約2か月で交換が必要ですが、押し入れ用の800mlサイズは約8か月は使用できます。いずれも、湿気の溜まりやすい密閉された棚の奥や床、空間の四隅に置きましょう」
絨毯を干すときは黒いシートをかぶせて
「湿気は床に溜まりやすいので絨毯の使用はおすすめしません。どうしても必要な場合は、カビの“えさ”となる食べかすなどを掃除機で吸います。その際、縦・横・斜めと入念に。その後、絨毯の色褪せを防ぐため裏返しにして、陰干しにしましょう。丸洗いできるものは頻繁に洗濯を。ちなみに絨毯の上から黒色のシートをかぶせて干すと、普通に干すよりも日光の熱を集めやすいため、絨毯の温度が上がってダニを死滅させる効果があります」
排水口には50~60℃の湯をかけて
「残飯などを入れる三角コーナーは、可能であればなくした方がカビや雑菌の繁殖を抑えられ、衛生的ですし、掃除もしやすいのでおすすめです。また、排水パイプの除菌も忘れずに。パイプの耐熱温度は約60℃のため、お茶をいれた後の湯(50~60℃)などを活用しましょう」
カーテンの下半分にアルコールスプレーを
「布製のカーテンは湿気を含みやすく、カビの温床に。カビは裾部分に生えやすいので、カーテンの下半分にアルコールスプレーをして予防を。アルコールスプレーは濃度70~80%のものが適しているため濃度の確認を。無水エタノール80mlに精製水20mlを入れて手作りもできます」
(※)手作りする際、ボトルはアルコール専用のものを使うこと。
固定家具は壁から4~5cm離す
「木製のテレビ台や衣装棚などの固定家具を壁にピッタリとくっつけていると、接した壁にカビが生える可能性が。湿気が溜まらないよう、固定家具は壁から4~5cm離し、風の通り道を作りましょう。家具のカビを放置すると、中に入っている服などにも影響するので要注意」
押し入れ・クローゼットは扉を外してカーテンなどに
「押し入れやクローゼットは換気が難しい場所なので、梅雨の時期だけでも、思い切って扉を取り外し、カーテンやロールスクリーンなどに変えてしまうのがおすすめです。衣装ケースなどにはキャスターをつけ、床との間に風の通り道を作りましょう。特に浴室に面している押し入れなどはカビが生えやすいので要注意」
風呂掃除は床や壁よりまず天井から
「風呂のカビ掃除は、皮脂汚れや石けんカスを取ってから、カビ取り剤を使うのが効率的。カビの胞子は天井からまき散らされるので、最初に天井掃除を忘れずに。濡れているとカビ取り剤が薄まるので乾いた場所に使います。カビ取り剤の上にはラップなどをかぶせ、流れないよう留めておくのがコツ」
使用済みバスタオルは一度干してから洗う
「入浴後、体を拭いたバスタオルをそのまま洗濯かごや洗濯槽へ入れるのはNG! 5時間以上湿ったままの洗濯物を密閉空間に入れておくと、カビや雑菌が繁殖して臭くなります。使用後は一度干してから洗濯しましょう。干すのが大変ならバスタオルの使用をやめ、フェイスタオルなど小さめのタオルの活用を」
浴室やトイレなどの通気口はこまめに掃除を
「入浴後、浴室のドアを開けっぱなしにするのはNG。脱衣所に湿気が流れ込んでしまいます。浴室のドア下部には通気口があり、そこから空気を入れて、換気扇や窓から湿気を追い出す構造になっています。ですから、通気口は細いブラシなどで、こまめに掃除をし、汚れで詰まらせないようにしましょう」
取材・文/福島孝代 イラスト/飛鳥幸子
※女性セブン2024年6月6日号
https://josei7.com/
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