1日たった1分!排便をスムーズにする「直腸ストレッチ」のやり方|「朝のゴールでタイムに」「正しい便座の座り方」他
春の陽気が近づいてきて分厚いコートを脱ぐと、そこにはこれまで隠れていた“分厚いぽっこりお腹”が…。運動しても、食事の量を減らしても、一向に改善する気配がないと悩む人も多いだろう。その原因は、腸にあるかもしれない。10万人以上を施術してきたプロの鍼灸師に腸内環境が整える対処法を聞いた。
教えてくれた人
高林孝光さん/アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長、鍼灸師・柔道整復師。『スッキリ出る!直腸ストレッチ』(CCCメディアハウス)著者
ぽっこりお腹の原因は腸が原因だった?
「“中に詰まっているもの”がきちんと出ないと、ボディーラインがすっきりしないばかりか、健康を害するリスクもある。運動や食事管理をするよりも、内臓を直接刺激して便をしっかり出すことが健康につながるのです」
そう話すのは、『スッキリ出る!直腸ストレッチ』(CCCメディアハウス)著者で、アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長、鍼灸師・柔道整復師として10万人以上を施術してきた高林孝光さんだ。
「戦前の日本人は1日約400gの便を出していましたが、現代人は半分の約200g。少ない人は150g程度しか出ません。原因は、日本人の直腸の形と洋式トイレの普及だと考えられています。また、運動不足とスマホ操作の姿勢によって骨盤が後ろに傾きやすい。その影響で内臓が圧迫され直腸が曲がってしまうことで、便が腸に滞ってしまうと考えられます」(高林さん・以下同)
肌荒れから大腸がんまで不調の原因となる便秘
排便量が減ると、どのような影響があるのか。高林さんは「いちばんの問題は、免疫力の低下」だと指摘する。
「免疫細胞の約7割は腸に存在していて、『腸管免疫』として外部の異物から私たちの身を守っています。この免疫システムに大きく関係しているのが、腸内に生息するさまざまな細菌集団『腸内フローラ』。便が出ないと悪玉菌や老廃物がたまり、腸内フローラのバランスが乱れて免疫力が低下します。肌荒れも治らないし、ダイエットもうまくいきません」
重篤な病気のリスクにもつながる。
「代謝も低下し、血行が悪くなることで肩や腰に痛みが出る。また、排便がスムーズにいかず、いきむことで心筋梗塞など循環器疾患を引き起こしたり、高血圧や大腸がんになるなど命を脅かす危険があるのです」
翻っていえば、快便であることによって期待できる健康効果はかなり大きいということ。
「腸内環境が整えば免疫細胞が活性化されるだけでなく、脂肪を分解する成長ホルモンの分泌量が増えます。通常、成長ホルモンは空腹時に増えますが、便がたまっていると膨満感から空腹を感じにくく、分泌されにくい。便秘を解消することで、便が出た分だけやせるということではなく、やせやすい体質に変わっていきます。また、成長ホルモンは別名『若返りホルモン』ともいわれ、新陳代謝を活性化し、筋肉や皮膚を強くする働きもあります。血流改善で体の痛みもとれ、実際、便秘解消とともに腰痛が改善したという人は少なくありません」