「手足が冷える人は生しょうが、にんにくは刻むほど温活力UP」冷えに効く食品と食べ方を専門家が指南
女性に多い体の冷え。いつものことだと冷えを諦めて放置するのは危険。体の冷えは年齢を重ねるごとにひどくなり、大病を招くこともあるからだ。そこで、専門家に体を温める食品とその効果的な食べ方を教わったのでご紹介する。
教えてくれた人
川嶋朗さん/統合医療SDMクリニック院長、石原新菜さん/イシハラクリニック・副院長、中沢るみさん/管理栄養士、田中優子さん/田中病院・院長、山口勝利さん/全国冷え症研究所・所長
「体の冷え」は4タイプに別けられる
冷え症といっても、その症状は人によってさまざま。実は大きく分けて、「末端冷え症」「下半身冷え症」「内臓冷え症」「全身冷え症」の4タイプがある。
イシハラクリニック副院長の石原新菜さんが解説する。
「『末端冷え』は、指先など末端部分に冷えを感じるタイプですが、体温までは下がりません。『下半身冷え』は、下半身が冷えているのに上半身がほてっている状態で更年期の女性に多く見られ、筋肉量不足で引き起こされます。『内臓冷え』は内臓に血液が充分に届いておらず、機能が低下している状態。自覚症状がない人も多いですが、胃腸のトラブルを抱えていて、お腹を触ると驚くほど冷たいのが特徴です。『全身冷え』は、まさしく手足も内臓も全身が冷え切っているタイプ。平熱が35℃台の低体温という人が多いです」
→“体の冷え”は4タイプ「末端」「下半身」「 内臓」「全身」あなたはどのタイプ? 冷えの4タイプ早わかりチェックリスト【専門家監修】
末端冷え症ならしょうがは「生」で
タイプを知っておくことは、冷えを改善するうえでも有益となる。まずは食事について。
多くの識者が「最強食品」としてしょうがを推したが、摂り方によって効果が異なると石原さんは指摘する。
「生のしょうがに含まれる辛み成分のジンゲロールには、血流をよくして体の表面や末端を温める働きがあります。そのため、末端冷え症に効果的です。
一方、乾燥させて加熱すれば、ジンゲロールはショウガオールという成分に変わります。ショウガオールは脂肪を燃やして内側から体を温める働きがあるので、内臓冷え症や、全身冷え症の人にぴったりです」(石原さん)
しょうがと同様に体を温める効果が期待されるにんにくは、摂取方法やほかの食品との組み合わせで、効果が大きくアップする。管理栄養士の中沢るみさんが言う。
「にんにくを料理に使うときは、できるだけ細かく刻みましょう。香り成分のアリインがアリシンに変化して、血流改善効果が増します。
また、お肉などのたんぱく質と一緒に食べると、体を温める効果がより高まります。体内で栄養素が分解されるときに熱が発生して体を温めますが、たんぱく質が最も熱を生みやすいからです」
しょうが×羊肉が最強のポカポカメニュー
たんぱく質を多く含む肉類の中でも最強なのは羊肉だと話すのは、田中病院院長の田中優子さんだ。
「羊肉は肉類の中で最も鉄分が多い。血液量が増えれば、血流改善につながり、女性を悩ませる貧血の予防・改善にもなります。ただし、脂が多いので、グリルで脂を落とすといいでしょう。焼きすぎず、少し赤みが残っている状態の方が、栄養価は高いです」
さらに効果的なのはそれらの食品を組み合わせることだ。最強のポカポカメニューが完成する。
「しょうがとにんにくを油で熱して香りを立たせ、羊肉を炒めるのがおすすめ。効果的に熱を生み出して、体を温めてくれます」(中沢さん)
内臓冷え・全身冷えタイプは温かいものを食べる
食生活を根本から見直すことが必要なタイプもある。
「内臓冷え症や全身冷え症は、冷えに効果的な食品を摂取することと併せて、とにかく温かいものを積極的に食べた方がよいでしょう。また、内臓冷えタイプは腸活も効果的。発酵食品などを習慣的に取り入れて整腸を意識すると、冷え改善につながります」(石原さん)