要介護者の4割が低栄養傾向 日清オイリオグループの調査
日清オイリオグループは先ごろ、在宅介護(要介護1~3)をされているご家族100人を対象に『低栄養に関する実態調査』を行った。
低栄養は身体機能や食欲の低下により栄養不良が進行するという悪循環のもととなる。免疫力の低下による感染症や疾病のリスクも高まることが指摘されている。生活習慣病を気にして、カロリーや脂質を控えめにする人も多いが、高齢になると低栄養に陥る危険性もはらんでいる。
今回の調査で、要介護者の40%が低栄養傾向にあることがわかった。また74%の家族が低栄養の意味を知らず、約半数が要介護者の低栄養への不安をあまり感じていないと回答。
低栄養の指標として用いたのはBMI(BodyMassIndex)。体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割った数値。肥満度を表すことで知られているが、実は低栄養傾向にあるかどうかを判断する指標の1つでもある。
調査では、要介護者100名に体重と身長を測定してもらいBMIを計算した。その結果、国の「健康日本21(第二次)」において、要介護や総死亡リスクが統計学的に高くなるポイントとして示されている「BMI20以下」の人が、40%にのぼった。
その一方、低栄養という言葉やそれにかかわる危険性についての認知度は低く、要介護者の体重についての質問では、計測する頻度は「1か月に1度」が最も多く29%、ついで「2~3日に1度」が20%という結果だった。
また、4人に1人は3ヶ月以上体重を測っていないという結果となった。体重測定をしないとなると、低栄養傾向かどうかを判断できないので、少なくとも1か月に1度は測定することが望ましいとされている。
要介護者の6割は咀嚼や嚥下に問題を感じている
要介護者の咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)に関する質問では、要介護者の咀嚼と嚥下のどちらに問題があるかを聞いたところ「噛むことと飲み込むこと両方に問題があると思う」と回答した人は21%、「噛むことに問題があると思う」は18%、「飲み込むことに問題があると思う」は22%。約6割の人が咀嚼や嚥下に関して問題を感じている。
また「介護食に市販の介護食品を使用していますか」という質問に対し「いいえ」と回答した人に、市販の介護食品を使用していない理由を聞いたところ「使う必要がない」と回答した人が最も多く、44.9%だった。続いて「価格が高い」(24.4%)、「種類が少ない」(15.4%)などの理由が挙がった。
調査結果について、東京都健康長寿医療センター研究所の管理栄養士・成田美紀さんはこう話す。
「在宅介護において気をつけなくてはならないことのひとつに低栄養があります。低栄養による身体機能の低下は緩やかなので、ご家族の方が気づきにくく、気づいた時には入院や介護度の悪化につながることがあります。また、家庭内での食事は比較対象がないため、量や栄養バランスが適正かどうかわからないという不安もあると思います。調査では市販の介護食を「使う必要がない」と思っている方が多くいるようですが、低栄養に対応した介護食もありますので、これらに対する知識を持つことも必要だと思います」
在宅介護においては、要介護者の健康状態の把握による低栄養への気配りやその対策が今後の課題になりそうだ。
【調査概要】
調査実施日:2016年2月26日~29日
調査方法:インターネット調査
調査対象者:全国30歳以上の男女 60歳以上の要介護者(要介護度1~3)を在宅で介護しており、介護食を介護者本人が作っている人100人