家の中で死につながる危険なデッドゾーン10選|リスクと注意ポイントを専門家が解説
国民生活センター調べでは、65才以上の事故死の約8割は家庭内で起きているという結果があるほど、自宅は危険地帯なのだ。一見、何の問題もなさそうに見えても、意外なところにけがのもとが潜んでいる。住み慣れた家であればこそ気をつけるべきポイントを専門家に教わった。実際に起こったケースも参考にして欲しい。
【1】玄関「室内で転倒率が高い場所」
【危険度】★★★★★
【危険リスク】転倒、つまずき、スリップ
「玄関では段差のほか、並んだ靴も危険です。たとえば、宅配業者が来て慌ててドアを開けようと、かかとの高い靴を踏んでしまい、バランスを崩して転倒し、骨折する人も多いです」(介護予防トレーナー・久野秀隆さん)
【2】廊下「小さな段差のオンパレード」
【危険度】★★★★
【危険リスク】転倒、つまずき
「日本家屋の廊下と部屋の間などには数センチの高さの敷居があります。人は、ある程度の段差は『気をつけよう』と思うのですが、踏めるくらいの小さな段差は気に留めず、つまずきやすいんです」(『ヤマシタ』HC事業部国分寺営業所・乙井香名子さん)
【3】ドア・サッシ「開閉時にふらつく」
【危険度】★★★
【危険リスク】打撲、転倒
「ドアの開閉時にふらつく、ドアノブがうまくつかめないなどの場合は、引き戸にする、ドアノブの形状を変更するなどの対処をしておくと安心です」(乙井さん)
【4】お風呂「知らぬうちに死んでいることも」
【危険度】★★★★★
【危険リスク】スリップ、転倒、ヒートショック
「床が濡れていてすべって転ぶ、浴槽が深くて湯船に入ろうとした瞬間に転倒するなどのケースが多いです。寒い季節は温度差で起きるヒートショック現象により、意識を失ったり、心拍が停止して亡くなる人も増えますね」(久野さん)
【5】トイレ「立ち上がったときに転倒」
【危険度】★★
【危険リスク】スリップ、転倒、ヒートショック
「手を洗った後、床に落ちた水滴にすべって転ぶ人も意外と多いです。冬場は浴室同様、室内の温度が下がり、ヒートショック現象を起こす危険もあります」(久野さん)
【6】階段「手すりをつけていても危険」
【危険度】★★★★
【危険リスク】スリップ、転倒
「階段は手すりがあっても安心はできません。階段の途中には何も物を置かないことが大切です」(乙井さん)。
たとえば、掃除の途中でぞうきんを置いたままその場を離れて忘れてしまい、あとでそのぞうきんを踏んで、足を踏み外すケースもあるので注意すること。
【7】リビング・居間「共有スペースだからこそ落とし穴が」
【危険度】★★★★★
【危険リスク】転倒、つまずき
「床に敷いたカーペットの端やこたつの掛布団の下からのぞく座布団につまずく人も多くいます。また、動線上にある電源コードは高齢者でなくても引っかかりやすく、転倒のリスクが高いポイントです」(乙井さん)。
また、使いすぎで延長コードが熱くなっていたり、通電しづらくなっていたら寿命なので、買い替えを。
【8】キッチン「火事のリスクが高い」
【危険度】★★★
【危険リスク】火事、スリップ、転倒
火を使う場所のため、やはり火事のリスクが高い。
「うっかり火をつけたままその場を離れることもあるので、コンロは加熱しすぎや吹きこぼれたときに自動的に火が消えるセンサー付きに替えるのが望ましい。高齢のかたの中には、電磁調理器や電気ケトルなどを使用し、火を使わないようにしているかたもいます」(乙井さん)。
水回りは床が濡れてすべりやすいので、こまめに拭き掃除を。
【9】寝室「起き抜けに転ぶことも」
【危険度】★★
【危険リスク】転倒、転落
「夜、トイレに起きたときなどに、床に敷いた布団の端につまずく人も多いですね。ベッドの方がつまずきのリスクは低いですが、起き上がろうとしたときに足元がふらついて、そのまま転倒してしまうこともあります。面倒がらず、部屋の電気をつけて安全を確保してください」(乙井さん)
【10】ベランダ・屋外「転倒事故が多発」
【危険度】★★★
【危険リスク】スリップ、転倒、転落
布団や洗濯物を干すときに、洗濯かごなどにつまずくケースもある。子供の転落事故が多いのもベランダだ。
「転落しなくても、雨が降って床が濡れると、足をとられることがある。庭など屋外に小さな石があるとつまずきやすいので、それらは別の場所に移動しておくといいですね」(乙井さん)。
教えてくれた人
久野秀隆さん/介護予防トレーナー、乙井香名子さん/『ヤマシタ』HC事業部国分寺営業所
取材・文/廉屋友美乃 イラスト/たけなみゆうこ
※女性セブン2021年11月14日号
https://josei7.com/
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