今が旬の新しょうがで作る医師直伝の“しょうがパウダー”レシピ「携帯してこまめな摂取を」
体を温める効果が期待できるしょうがは、冬によく摂るという人が多いようですが、実はしょうがの旬は、9月から11月の霜が降りる前まで。つまり、この時期が食べ頃なんです!旬のしょうがは“新しょうが”と呼ばれ、普段目にする乾燥させた茶色い“根しょうが”に比べて瑞々(みずみず)しく、食感もシャキシャキ。さらに、血流をよくする成分・ジンゲロールが豊富!疲れた内臓を整え、で冷えた体を温めるため、新しょうががたっぷり摂れるパウダーレシピをご紹介します。
疲れた内臓を温める!
しょうがは、冷えを取って体を温めてくれる冬に欠かせない食材だが、「今こそ食べるべき」と進言するのは、イシハラクリニック副院長の石原新菜(にいな)さんだ。
「コロナ禍で外出しづらいため、今年は例年以上に冷房の効いた室内で長時間過ごした人が多いと思います。知らず知らずのうちに冷えた体は、さまざまな不調の原因に。なかでも問題なのが、内臓の冷え。お腹を触ると冷たい人は内臓が冷えている証拠です。内臓が冷えると消化機能が低下して消化不良を起こしやすくなります。また、腸の働きも落ちるので便秘や下痢、むくみなどの症状をはじめ、免疫力も低下してしまいます。女性の場合、生理痛や生理不順にもかかわります」(石原さん・以下同)
夏の不調をひきずったまま秋を迎えると、寒暖差と乾燥で風邪をひきやすくなる。そのため、いまのうちから体を芯から温めて内臓が活発に働ける状態に整えておくことが大事だという。
「しょうがには、ジンゲロールとショウガオールという2つの温め成分が含まれています。特に旬の新しょうがに多く含まれるジンゲロールは、血流を促進して熱を巡らせる効果があります」
漢方薬の75%に含まれるしょうがには、体を温める以外にも、殺菌・抗ウイルス作用も。コロナ禍の体調管理にうってつけの食材だ。
適量は1日20gパウダーなら2g
では、新しょうがは1日どれくらい食べればいいのか?
「1日20g、親指2本分が目安です。パウダー状にしたもの(下記参照)なら2g、小さじ半分弱でOK。新しょうがは、通年売られている根しょうがに比べ、水分が多く辛みがマイルドなので、しょうが特有の辛みが苦手な人でも食べやすいはずです」
ただし、効能は3時間程度。お茶などに入れてこまめに摂るのがおすすめだ。
「私は、朝のドリンクをはじめ、日中の紅茶やみそ汁、夜は焼酎サワーにすりおろしをたっぷり入れています。外出時はパウダーを携帯してこまめに摂れるようにしています」
石原医師直伝!新しょうがの保存パウダー
石原さんがおすすめする保存方法は『新しょうがの保存パウダー』。1日たった2gでOK。パウダー状だから持ち歩きにも便利!買ったらすぐに作るべし。
<作り方>
【1】新しょうがの汚れを取り、1mm程度の厚さにスライスする。スライスするとき、しょうがのしま模様と平行に包丁を入れるとスムーズに切れる。厚く切ると乾燥に時間がかかるので、できるだけ薄めに切るのがポイント。
【2】耐熱容器に【1】を広げる。100℃前後のオーブン(理想は80℃)で約1時間加熱して乾燥させる。途中、45分くらいたったら新しょうがの状態をチェックし、その時点でひからびた状態になっていればオーブンから取り出す。1時間たっても乾燥していなければ、10分刻みで加熱を延長する。
【3】オーブンから【2】を取り出す。完全に冷めたらフードプロセッサーやミキサーにかける。パウダー状になったら保存容器に入れて常温保存する。
この保存パウダーは、漢方薬に含まれる「蒸ししょうが」の簡易版。「本来の蒸ししょうがは、しょうがを30分ほど蒸してから、室内で1週間かけて乾燥させますが、オーブンを使えば蒸す&乾燥が同時にできて時短に。フードプロセッサーやミキサーがなければ、キッチンばさみで細かく刻んでもOK」(石原さん)
知って起きたい!しょうがの豆知識
●しょうがの種類
しょうがには主に、新しょうが、根しょうが、葉しょうがの3種がある。根しょうが、葉しょうがの特徴を紹介する。
・根しょうが
新しょうがを約2か月間貯蔵して水分を飛ばしたもの。酵素の働きにより皮は褐色に変化し、色が濃くなるとともに辛み成分も増える。低温貯蔵庫で保管され、一年を通して流通している。
・葉しょうが
6月頃から出回り始める。根茎が小指くらいになると葉付きで収穫される。代表的なものに「谷中(やなか)しょうが」や「金時(きんとき)しょうが」がある。
●しょうがの仲間
みょうが、ウコン(ターメリック)、カルダモンはしょうがの仲間。塊根を食べるしょうがに対し、みょうがは花穂や若芽を食べる。ウコンもカルダモンもカレーなどで使われる香辛料で、いずれも胃腸を整える効果が。この時期、新しょうがと一緒にたっぷり摂りたい。
●約2500年の歴史
しょうがの原産地インドでは、約2500年前から生薬として使われてきた。中国の歴史書『魏志倭人伝(ぎしわじんでん)』によれば、日本でも邪馬台国の時代には栽培されており、平安時代には薬として重宝された。古くからその効能は信じられてきたようだ。
教えてくれた人
イシハラクリニック副院長 石原新菜さん
漢方医学、自然療法、食事療法などをもとに病気や不調の治療を行う。『病気にならない 蒸しショウガ健康法』(アスコム健康BOOKS)など、しょうがに関する著書、監修書多数。2児の母。
取材・文/佐々木めぐみ 撮影/菅井淳子 イラスト/さややん。
※女性セブン2021年9月23日号
https://josei7.com/
●新しょうがで甘酢しょうが、しょうがシロップ、紅しょうがを作ろう!|おいしく保存、レシピも紹介|飛田和緒さん