愛犬を亡くしたキンタロー。さんインタビュー「『ペットロス』から“母になろう”と決意するまで」
タレントのキンタロー。(39)は、2018年2月に約12年連れ添った愛犬ミニー(トイプードル)が1年間の闘病の末、肺炎で死去。ブログでペットロスを公表、「なぜあのとき仕事に行ったのか…自分を責めずにはいられませんでした」と、語っている。現在は猫のじゃじゃ丸と暮らす。常に笑顔を見せてくれる彼女だが、大切なペットを亡くし、人知れず苦しんでいた時期があったという。
母の死から立ち直らせてくれた
元AKB48・前田敦子のものまねなどで知られるキンタロー。彼女の活躍を支えたのは、デビュー前に出会ったトイプードルのミニーだった。
「25才のとき、ペットショップで出会い、あまりのかわいさに衝撃を受けて飼い始めました。当時はペット不可のマンションに住んでいたので、実家に預けた後に転居して両親とともに飼い始めました」
ところが、その翌年の2007年に母親が病気で急逝する。
「絶望のどん底にいる私を支えてくれたのがミニーです。彼女を見ているうちに、“私が母の分までがんばらなくては”と気力が湧いたのです」
自分のがんばる姿を見せることで、天国の母もミニーも喜んでくれるに違いないと一念発起し、かねてからの夢だったお笑いの道に29才にして飛び込んだ。
「デビューしてすぐ忙しくなり、ミニーの留守番が増えました。一匹ではあまりにもかわいそうだったので、ミニーが9才のときに、猫のじゃじゃ丸を迎えました」
その後も、「苦労をさせているミニーにいい暮らしをさせたい」というのを仕事のモチベーションにし、快進撃を続けた。プライベートも充実し、34才のときに一般男性と結婚。幸せに包まれたところで異変は起こった―。
約1年の闘病生活の末に
「ミニーが11才になった2017年に、てんかんの発作を起こしたんです。病院に連れて行くと、心臓が肥大しているということで手術になりました」
幸い手術は成功。しかしその後も、ミニーの体調は一進一退を繰り返した。当時を思い出したのだろう。キンタロー。の瞳は次第に涙で濡れ始めた。
「あの頃は、毎日病院に通いましたが、日に日に弱っていくんです」
そして、2018年の2月6日に12才で天国へ旅立った。
「その日は朝からつらそうだったので、すぐに病院に連れて行きました。この時期、朝に病院へ行き夕方には回復することを繰り返していたので、いつものようによくなるだろうと思っていました。心配ではありましたが、その日は外せない仕事があり、家族に任せて出かけると、すぐに病院から危篤の連絡が。かけつけると苦しそうで…。しばらくして息を引き取りました。死因はステロイド剤による肺炎でした。一緒にいるのが当たり前だったのに、突然お別れが来てしまうとは悔やんでも悔やみきれませんでした」
異国でひとり泣き尽くして気づいたこと
愛犬の死から3年経っているが、悲しみは癒えていない。涙を流しつつも懸命に語る彼女の姿に、こちらまで胸が苦しくなる。
「治療は適切だったか、なぜ仕事に行ったのか…。それからは、自分を責め続ける日々が始まりました」
状況が変わったのは、夫にすすめられてひとりで行ったアメリカ旅行だった。正直、こんなときに旅行なんて、と気が進まなかったが、以前から予約していたこともあり、ミニーの遺影とともにニューヨークを回った。
「遺影のミニーに“ここがタイムズスクエアだよ”なんて語りかけては泣き…。誰も知り合いがいない異国でひとり、とにかく泣きまくりました。外国という非日常に身を置いていたせいもあってか、泣き続けているうちに、彼女の死を受け入れられるようになりました。そして、ミニーは私に愛することを教えてくれたんだと気づきました」
帰国後、自分も誰かに愛を返したいと思い“母になろう”と決意。すぐに妊活を開始し、2020年1月に第1子を出産した。
ミニーは仕事で成功するきっかけを与え、人を愛する喜びを教えてくれたという。いまだに彼女を忘れたことはないが、いまは悲しみよりも感謝の気持ちが大きいと、最後は笑顔を見せてくれた。
教えてくれた人
キンタロー。
1981年愛知県生まれ。大学生時代から競技ダンス部で活動し、卒業後は社交ダンス講師や会社員を経験。29才のときにものまねタレントとしてデビュー。現在は1児の母。
取材・文/前川亜紀
※女性セブン2021年9月2日号
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