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高木ブーがアロハシャツを着る理由は「心が自由になる感じがするから」【連載 第41回】

 ウクレレとハワイをこよなく愛する高木ブーさんは、アロハシャツがトレードマークである。クローゼットには、ハワイで買ってきたものを中心に、数え切れないほど大量のアロハシャツがあるとか。日常生活でも仕事に出かけるときも、着る服はいつも自分で選んでいる。いつもオシャレなブーさんに“ファッション観”を聞いた。(聞き手・石原壮一郎)

アロハを着ていると心が自由になる感じがする

 暖かい季節になってきて嬉しいのは、アロハだけで上着なしで出かけられることかな。いろんな洋服の中で、僕はなんといってもアロハが大好き。コロナの影響でしばらくハワイには行けていないけど、アロハを着ると少しだけハワイにいる気持ちになれる。心が自由になる感じがするんだよね。

 テレビに出るときも僕はアロハを着て行けばいいから、スーツはほとんど必要ない。加藤(茶)なんかはスーツが好きで、いいのをしょっちゅう作ってるけど、僕はせいぜい年に1着かな。冠婚葬祭のときぐらいしか着ないもんね。スーツが嫌いなわけじゃないけど、アロハのほうが楽だし。それに、アロハはハワイでは正装だから、どこに着て行ってもいい。

 冠婚葬祭といえば、娘のかおるの結婚式のときには、雷様の格好で花嫁をエスコートしたな。アロハに着替えてウクレレを演奏しながら、お祝いの歌も歌った。かおるは「新婦よりもお色直しが多いって、どういうこと」って言ってたけどね。それもまた、僕なりの祝福のし方ってことで、まあ大目に見てください。

ハワイに行くたび、生地を買い込み日本で仕立てている

 意外かもしれないけど、アロハにも年ごとの流行があるんですよ。ハワイに行くたびに、まずは知り合いの生地屋さんを訪ねて、新作の生地を買い込むのが恒例だった。それを日本に持って帰って、普通の形のアロハにしたり、かぶって着る長袖の形にしたり、いろいろ仕立ててもらう。大きな花柄のはステージで着るのにいいかなとか、こっちの渋めの模様は普段着にいいなとか、選び始めるとなかなか決まらないんだよね。

 ある時、気に入ったデザインの色違いがあって、どっちにしようかなあって長いあいだ悩んでたら、お店の人が「ブーさん、ちなみにお値段は、1メートルこのぐらいです」ってニコニコしながら教えてくれた。すごく安いの。悩んでないで、最初から両方買えば話が早かった。でも、迷うのも楽しいからいいんだけど。

 もともとアロハは、ハワイに移住した日本人が作ったらしいよね。日本から持っていった着物を開襟シャツに仕立て直したのが始まりだから、派手な柄が多いんだって聞いたことがある。海を渡った着物で作った当時のビンテージものもたまに売ってて、雰囲気があってとっても素敵なんだけど、さすがにそれはけっこう高い。我慢できずに買ったのを何着か持ってるけど、着る機会がなかなかないのが残念だな。

 ボタンも、安めのアロハはたいていプラスチックだけど、もともとはヤシの木やヤシの実で作ったんだよね。たまに、竹や貝殻で作ったボタンが付いてるのもある。いつの頃からか、ボタンダウンの襟のアロハも増えてきた。日本とハワイの結びつきが作った服だってことや、細かいこだわりを楽しむことを知ると、ますますアロハに愛着が湧いてくる。

 沖縄のかりゆしウェアも、アロハがルーツなんでしょ。あれも好きだな。ハワイのアロハと同じで、沖縄では夏の正装として認められてる。日本のほかの場所も夏の暑さは半端じゃないんだから、中途半端なクール・ビズじゃなくて、みんなでアロハやかりゆしウェアを着ればいいんじゃないの。暑さ対策っていうだけじゃなくて、何となくみんなの気持ちがのんびりした感じになるんじゃないかな。

オシャレに年齢は関係ない

 服を買ったり選んだりするのも好きだけど、昔よく長さんに言われたのが「ブーたんは、いつも髪の毛をいじってるな」ってこと。たしかに、ヒマがあるとクシを使って髪の毛を整えるのが癖になってる。今は娘に「お父さん、また髪の毛いじって」って、いつも笑われるんだよね。

 見かけを気にするっていうより、なんか気になっちゃう。だけど、この歳になっても髪の毛がたくさん残ってるのは、若い頃からせっせと手入れを続けてきたからだと自分では思ってるんだけどね。ほんとのところはどうか知らないけど。アハハ。

 出かける前とかに「今日はどのアロハを着ようかな」と考えるのは、とってもワクワクする。オシャレを楽しむのに、年齢は関係ないよね。これからもそういうワクワクする気持ちを忘れないようにして、毎日を楽しんで行こうと思います。

「日本でも暑い夏は、みんなアロハやかしゆりウェア着たらいいと思う。なんとなくのんびりした気持ちになるんじゃない?」

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高木ブー(たかぎ・ぶー)

1933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1964年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。CD『美女とYABOO!~ハワイアンサウンドによる昭和歌謡名曲集~』『Life is Boo-tiful ~高木ブーベストコレクション』など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)など。「【Aloha】高木ブー家を覗いてみよう」(イザワオフィス公式チャンネル内)も大好評!

取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)

1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」など著書多数。3月25日に最新刊「【超実用】好感度UPの言い方・伝え方」が発売。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。

撮影/菅井淳子

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