「コーヒー」は健康に良い?悪い?目覚めの一杯はNG
“コーヒーブレイク”という言葉があるくらい、私たちの日常に欠かせない存在となっているコーヒー。がん予防につながるといわれている一方で、今年3月、発がん性警告の表示を米ロサンゼルスの裁判所が販売業者に対して下し、コーヒー好きに激震が走った。
果たして、コーヒーは健康にいいのか、悪いのか──。
米ロサンゼルスの裁判所が下した、“コーヒーの発がん性リスクに関する警告を表示するべき”との判断で、問題となったのは、コーヒー豆を焙煎する時に生じる化学物質のアクリルアミドだ。このリスクについて、医学博士の栗原久さんは、次のように解説する。
「120℃以上の高温で焙ったコーヒー豆には、アクリルアミドが発生します。これには発がん性があり、コーヒー豆1kgあたり0.24mg入っています。がんのリスクが高まるのは、何年にもわたって毎日20杯以上飲む場合です。1日1~3杯飲む程度なら、健康効果の方が高いことがわかっています。ただ、健康効果を上げる飲み方と下げる飲み方はありますが…」
朝、目覚ましの1杯はむしろ逆効果
目を覚ますため、起き抜けの1杯を習慣にしている人も多いが、胃が空っぽの状態でコーヒーを飲むのは避けたい。
「朝起きると交感神経が活発になるため胃の血流量が減った状態になっており、胃の消化力も弱まっています。コーヒーに含まれるカフェインには、消化促進効果がありますが、胃が空っぽの状態で飲むと、かえって刺激になり、胃の粘膜が傷ついてしまいます。これは、起き抜けだけではなく、空腹時も同様です」(栗原さん・以下同)
朝起きたらまず、コップ1杯の水を飲んで、睡眠中に失われた水分を補給する。それから朝食と一緒に、あるいはその後に、コーヒーを飲むのがベストなタイミングだ。
コーヒーでストレスが軽減!?
コーヒーには覚醒作用があり、血液の循環がよくなるので、飲めば気分がスッキリする。また、コーヒーの香りをかぐと脳からα波が出て、リラックス効果が高まるという研究結果もある。
「香りを充分に楽しんでから飲むと、日頃のストレスも軽減されますよ」
肝臓がんのリスクを下げる効果もある!?
発がん性が疑われたコーヒー。だが、一部のがんのリスクを下げる、という報告もある。
「2005年に国立がん研究センターが、コーヒーの摂取は、特に“肝臓がんの予防効果がある”と報告しています。
そもそも肝臓には体内の有害物質を解毒・分解し、老廃物を出す役目があり、その過程で細胞がダメージを受け、その都度、肝臓は新しい細胞を作って修復を行います。この時、ダメージが残ったままだと間違って細胞を作ってしまい、それががんになるのです」
2005年の研究によると、コーヒーをまったく飲まない人に比べて、1日1~2杯飲む人は、肝臓がんのリスクが半分ほど下がるという結果が出ている。
「コーヒーとの因果関係はまだ研究中ですが、1つ考えられるのはカフェインの効果です。カフェインには基礎代謝を上げる効果があるのがわかっており、コーヒーを飲み、カフェインを摂取すれば、肝臓細胞の代謝も上がるので、ダメージの修復も加速。すると、細胞の再生も早くなり、がん細胞の発生も抑えられるのではないかと考えられています」
また、コーヒーには抗酸化力の高いポリフェノールも多く、現在、がんとの因果関係を調べる研究も進んでいる。
※女性セブン2018年5月24日号
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