有料老人ホームとサ高住の両方のメリットを兼ね備えた終の棲家<後編>
アミカの郷亀有
「アミカの郷亀有」は2016年11月にオープンした。食堂や談話室などの共用設備も充実していて、自分の居室以外でも心地よく過ごせる。
<前編>ではこの施設の有料老人ホームと同等の医療・介護体制、そしてサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)ならではの自由さの両立について紹介した。ただしこれは、あくまでも制度面から見た良さだ。住んでいる人やその家族にとっては制度面よりも、実際の住環境やサービスの内容が気になるところだろう。スタッフに実際話を聞いてみると、明るく毎日を過ごすためのコミュニケーションの活性化や安心を提供するための様々な工夫が見えてきた。
入居者同士や家族とのコミュニケーションの重要性
介護付き有料老人ホームでもサービス付き高齢者向け住宅でも、入居者同士のコミュニケーションの重要性についてはどの施設においても共通の認識を持っているようだ。平たく言えば、入居者同士の仲がいいと生活の質が向上するので、そこに向けてそれぞれの施設が工夫をこらしている。例えば、食事の際に職員が呼びに行くとどうしても「早く来てほしい」というニュアンスを感じてしまう入居者もいるが、友達同士で誘い合って食堂に移動すれば感情を害されることはない。
「お客さま同士のコミュニケーションが活発になるように、お食事の席を変えることもあります。また、定期的に外出のイベントをしていますが、そこでもコミュニケーションが活発になるように、お友達同士でスケジュールを組んでいます。
実際に仲良くなった方々で一緒に外出されることもあります。歩いて10分のところにあるスーパーに行ったり、一緒に近所を散歩されていますね」(アミカの郷亀有施設長の鈴木辰規さん。以下「」は同)
またここでは、家族とのコミュニケーションを重視しており、それぞれの事情に合わせてきめ細かい対応をとってくれる。入居者の心身の状態が変わると医療・介護サービスで提供・提案するものも変わってくるため、その都度家族とコミュニケーションをとって話し合っているという。将来の看取りのことも、状態の変化に合わせて相談するそうだ。