【京浜東北線】注目の介護付老人ホーム【まとめ】
評判の高い高齢者施設や老人ホームなど、カテゴリーを問わず高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップし、実際に訪問して詳細にレポートしている「注目施設ウォッチング」シリーズ。
埼玉県の大宮駅から神奈川県の横浜駅までを結ぶJR「京浜東北線」。途中駅には日暮里駅や東京駅、品川駅などがあり、首都圏の主要路線として機能している。駅によって人口構成は異なるが、その多くで高齢化が進んでいくことが予想されているようだ。今回は、京浜東北線沿線に介護付有料老人ホームを紹介する。
睡眠と食、生活の継続性にこだわった介護付有料老人ホーム「ソナーレ浦和」
埼玉県庁や埼玉県警本部、裁判所などがある「浦和」駅。浦和市と大宮市、与野市が合併して誕生したさいたま市にあり、県の中心地として栄えている。東京駅まで25分と利便性も高く、住宅地としての人気も高い。
浦和駅から徒歩7分のところに、2017年5月にオープンしたのが「ソナーレ浦和」だ。ソニー・ライフケア株式会社の100%子会社であるライフケアデザイン株式会社が運営している。こちらがこだわっているのは睡眠と食だという。
こちらが午前中の散歩や夕方のレクリエーションにも積極的に取り組んでいるのは、睡眠の質を高めるため。日中の生活サイクルを整えることで、睡眠の質が向上するそうだ。また、こうした「スリープマネジメント」のために、ベッドのマットレス調整の考え方など細部に至るまで、スタッフが日々議論を重ねているという。
ソナーレ浦和では体圧分散計を使って、入居者がベッドに寝たときにどのような負担がかかっているのかを入居時にチェックしているという。身体の一部分に過剰な圧力がかかっていると眠りに影響が出るので、3層構造のマットレスの硬さを細かく調整して、提案するとのこと。仰向けで寝る人、横向きで寝る人などそれぞれの寝方に合わせ、身体状態の変化にも気を配って、マットレスの硬さを調整してくれるそうだ。
ベッドにはドイツのフェルカー社と日本製のパラマウントベッド社を採用。加えて、睡眠計を用いた眠りの「見える化」にも取り組んでいる。経験や勘に頼るのではなく、医学的、科学的根拠に基づいたスリープマネジメントが推進しているという。
睡眠へのこだわりはお風呂の時間にも。お風呂の時間が決められている高齢者向け施設が多いが、ここでは入居者の希望にできるだけ沿うようにしているという。また、身体状態に関わらず大浴場での入浴ができるようにリフトを導入しているほか、大浴場には大画面の液晶モニターがあり、露天風呂感覚で様々な景色の映像を見ながら入浴を楽しめるようにしている。
ここまで睡眠にこだわるのには理由がある。睡眠を整えると、日々の生活を健やかに過ごすことにつながり、日中の生活リズムが整う。そうすると、夜に向けてリラックスした環境を作れるので、睡眠の質が向上するという。睡眠の質が高まると、昼夜逆転による夜間徘徊の防止や生活習慣病の予防、うつ病予防、生活意欲向上、脳の活性化と認知症予防、コミュニケーション意欲の向上による社会性維持などへの効果が期待できるそうだ。
ソナーレ浦和は睡眠だけではなく、食事にもこだわっているという。食事そのもの、そして食事の場であるダイニングが入居者のために工夫されている。食材は地元・埼玉の新鮮なものを中心に使っていて、特に野菜は味がよく好評とのこと。ホーム内の厨房で調理しているので、できたての温かい食事を楽しめるのもうれしい。
高齢になると、口腔内や身体の健康状態によって、通常の食事を取れなくなってくることも多い。噛む力、飲み込む力が弱くなってくると、刻み食やソフト食に移行するケースもある。ソナーレ浦和では、メニューの一部に「ケアフード」を取り入れているという。ケアフードとは、フランス料理で伝統的に使われているピューレやジュレなどの調理法を活用したもので、のどごしがよく、見た目にもこだわった食事のこと。
例えば、肉じゃがであれば、肉、じゃがいも、玉ねぎの具材を全てまとめてミキサーにかけるのではなくて、それぞれをミキサーにかけてやわらかくし、盛り付ける。そうするだけで風味が失われず、香り豊かで味が濃くなるそうだ。また、通常のソフト食は、作る際に出汁などでのばしていくため風味が失われがちだが、ケアフードでは肉料理の場合、肉汁を戻しながらミキサーにかけるなど工夫しているので、風味、味はほぼ肉のままだという。睡眠と食にこだわった運営は、入居者や家族からも好評のようだ。
→睡眠と食、生活の継続性にこだわった介護付有料老人ホーム<前編>
→睡眠と食、生活の継続性にこだわった介護付有料老人ホーム<後編>