健康

コロナに負けない免疫力は体温に鍵|0.5℃上げると免疫力2倍に

 新型コロナほかウイルスや病気をせつけない体を作る”免疫力”を高める鍵は、体温に鍵が…。

「体温をたった0.5℃上げるだけで免疫力は2倍以上になる」と語る理学博士の山口勝利さんがその理由を解説する。免疫力と体温の仕組みを知り、コロナに備えたい。

コロナは免疫力低いと重症化も

 収拾の糸口が見えない、新型コロナウイルスによるパニック。明確な予防・治療法も不透明なままだ。日本中の人がマスクをし、手洗い・うがいに励んでいるのに、感染者数は増える一方。さらに、もし感染したら「免疫力の低い人は短期間で重症化する」という恐ろしい事実が明らかになった。

 3月25日、東京都の小池百合子知事の緊急記者会見に立ち会った医師は“感染者の2割は確実に入院が必要になり、全体の5%は集中治療室に入らないと助からない” “悪くなるスピードがものすごく速い”と発言。少しでも安心できるようになる方法はないのだろうか。

→免疫力とは? 基本をおさらい

免疫力は体温と密接な関係が

「短期的に見ると、感染症と闘うには、免疫力を上げるしかありません。同じ状況にいてもかかる人とかからない人、重症化する人としない人の違いは、免疫力の違いです」

 そう断言するのは、これまでに7万人以上の冷えの悩みを解決してきた、全国冷え症研究所所長で理学博士の山口勝利さんだ。

「免疫力は、体温と密接な関係があります。

 体内に入ってきたウイルスや菌を殺す白血球は、血流に乗って全身に運ばれます。体温が高ければ血行がよくなり、白血球も活発に活動するため、免疫力が上がるのです。具体的には、体温が1℃上がるごとに免疫力が500%上がります。平熱が35.5℃の人であれば、たった0.5℃上げて36℃にするだけで、免疫力は2倍以上にもなります。

 かぜやインフルエンザにかかったときに熱が出るのは、免疫力を上げてウイルスなどに対抗するため。例えば、平熱が35℃の人が39℃の熱を出すと、+4℃で免疫力は2000%アップ。驚くかもしれませんが、こうしたウイルスには、それくらい免疫力を上げないと対抗できないということ。免疫力を高めるには、日頃から体温を上げておくことが重要なのです」(山口さん・以下同)

低体温の時間に不調が進行

 体温が上がれば免疫力が上がる――裏を返せば、体温が低い人はそれだけ免疫力も低いということだ。日本人の平均体温(わきの下で測った場合)は36.5~36.8℃。しかし、「私の平熱は37℃だから、体温は高い方なのね」と安心してはいけない。

「日中に体温を測ると37℃近い人でも、起き抜けは35℃程度と、1日のなかで体温が大きく変動する女性が増えています。1日で1.5℃以上変動する人もいます。体温が低い時間帯があることに気づかないままでいると、その“低体温時間”に不調が進行するのです」

 朝・昼・夕・晩の4回体温を測ってみて、4回とも36.5~36.8℃なら安心していい。しかし、1℃以上差があれば、気づいていないだけで“隠れ低体温”かもしれない。さらに、1日の体温の変動が大きい人は、内臓の温度を示す「深部体温」が低い可能性も高い。

健康な人と"内臓冷え"の人の朝昼夕晩の体温を比べたグラフ

「深部体温が1℃下がると、免疫力は30%低下します。深部体温はわきの下で測る体温よりも1〜2℃高いのが普通ですが、食べたものや飲んだものの影響を受けやすく、変動も大きい。ビールをジョッキ1杯飲むだけで、深部体温は4℃下がります。こうして体温を下げることを習慣化していると、体温が下がったまま戻りにくくなり、さらには、脳が体温の下がった状態を“これが私の平熱なんだ”と記憶してしまいます」

深部体温が下がると免疫力も低下

 深部体温が1℃下がると、代謝は11~12%も下がる。一般的な女性なら、約200kcal=ご飯1膳分下がる。つまり、毎食欠かさずご飯をおかわりしているようなものなのだ。

 200kcalは、1時間のウオーキングでも消費できない。体重を1㎏減らすには7000kcalを消費する必要があるといわれるが、毎日200kcalが上乗せされていたら、1か月ほどで簡単に1㎏増えてしまう。

 そうして蓄えられた脂肪が、いっそう体を冷やすのだ。

「脂肪には一度冷えたらなかなか温まらないという特徴があるため、冷えて脂肪を蓄えるほど、体温はどんどん下がります。するとますます脂肪を蓄え、また体温が下がって‥‥という悪循環に陥ります。そして、体温と一緒に免疫力もどんどん下がっていく。まさに〝冷えは万病のもと〟なのです」

脂肪で腸が冷え免疫力低下も

 特に女性の場合は、下腹部に脂肪がつきやすい。

「女性は、へそ下3㎝のところをよく見てください。多くのかたがウエストの太さを気にしますが、実は下腹部の方が脂肪がつきやすく、気づきにくい。そして、へそ下3㎝の位置には腸があります。腸が冷えることも、免疫力を大きく低下させます」

 腸には、全身の免疫細胞のうち7割が存在している。この免疫細胞は腸から血流に乗って運ばれ、全身でウイルスや菌と闘っている。冷えによって腸の働きや血行が悪くなれば、この免疫細胞の活動も鈍ることになるのだ。

教えてくれた人

山口勝利さん/理学博士・全国冷え症研究所所長

※女性セブン2020年4月16日号
https://josei7.com/

●免疫力UPを目指す最強の生活習慣3選|お風呂で仙骨シャワーって?

●コロナ不安に…免疫力高める食レシピ厳選|まいたけ、めかぶ、バナナ

●ウイルスから身を守る!免疫力を高める最強食品BEST10

ニックネーム可
入力されたメールアドレスは公開されません
編集部で不適切と判断されたコメントは削除いたします。
寄せられたコメントは、当サイト内の記事中で掲載する可能性がございます。予めご了承ください。

この記事へのみんなのコメント

  • ぞうさん

    だから銭湯やサウナ、岩盤浴などが良いんですね。

最近のコメント

シリーズ

介護付有料老人ホーム「ウイーザス九段」のすべて
介護付有料老人ホーム「ウイーザス九段」のすべて
神田神保町に誕生した話題の介護付有料老人ホームをレポート!24時間看護、安心の防災設備、熟練の料理長による絶品料理ほか満載の魅力をお伝えします。
「老人ホーム・介護施設」の基本と選び方
「老人ホーム・介護施設」の基本と選び方
老人ホーム(高齢者施設)の種類や特徴、それぞれの施設の違いや選び方を解説。親や家族、自分にぴったりな施設探しをするヒント集。
「老人ホーム・介護施設」ウォッチング
「老人ホーム・介護施設」ウォッチング
話題の高齢者施設や評判の高い老人ホームなど、高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップ。実際に訪問して詳細にレポートします。
「介護食」の最新情報、市販の介護食や手作りレシピ、わかりやすい動画も
「介護食」の最新情報、市販の介護食や手作りレシピ、わかりやすい動画も
介護食の基本や見た目も味もおいしいレシピ、市販の介護食を食べ比べ、味や見た目を紹介。新商品や便利グッズ情報、介護食の作り方を解説する動画も。
介護の悩み ニオイについて 対処法・解決法
介護の悩み ニオイについて 対処法・解決法
介護の困りごとの一つに“ニオイ”があります。デリケートなことだからこそ、ちゃんと向き合い、軽減したいものです。ニオイに関するアンケート調査や、専門家による解決法、対処法をご紹介します。
「芸能人・著名人」にまつわる介護の話
「芸能人・著名人」にまつわる介護の話
話題のタレントなどの芸能人や著名人にまつわる介護や親の看取りなどの話題。介護の仕事をするタレントインタビューなど、旬の話題をピックアップ。
介護の「困った」を解決!介護の基本情報
介護の「困った」を解決!介護の基本情報
介護保険制度の基本からサービスの利用方法を詳細解説。介護が始まったとき、知っておきたい基本的な情報をお届けします。
切実な悩み「排泄」 ケア法、最新の役立ちグッズ、サービスをご紹介
切実な悩み「排泄」 ケア法、最新の役立ちグッズ、サービスをご紹介
数々ある介護のお悩み。中でも「排泄」にまつわることは、デリケートなことなだけに、ケアする人も、ケアを受ける人も、その悩みが深いでしょう。 ケアのヒントを専門家に取材しました。また、排泄ケアに役立つ最新グッズをご紹介します!