暴走老人も…大学の公開講座で嫌われるシニアの3類型
いま、全国の大学ではどこでも、社会人向けの公開講座を開いている。シニアが大学というアカデミックな場所で気軽に学べるとあって、有料無料を問わず大変人気が高い。しかし、そこにはシニアならではのトラブルも発生する。公開講座の取材件数日本一のまなナビ編集室が、取材関係者から得た情報から、「嫌われるシニア」ベスト3をまとめた。
3位:自説にこだわり黒白つけたがる人
公開講座(以下、「講座」と略す)の受講生の中には、そのジャンルのオタクが一定数いる。とくにオタク率が高いのが、「歴史系」「仏像系」「地域系(郷土史・都市設計・建築など)」だ。
オタクが多い講座は、次のような難しさがある。
「なかには講師の私もかなわない知識を持っている人もたくさんいます。終わったあとに、私の考えは先生の説とは違う、と言ってこられる人もたくさんいます。しかし特定のことにとても詳しい一方、基礎的な知識を欠いていることもあるので、順序だてて説明しても理解してもらえないことがあり、苦労します」(歴史ジャンルの講師)
これらのタイプの共通点は、黒白つけなければ納得しないということだ。しかし、鎌倉時代の成立ひとつにしても諸説あるくらいなのだから、この戦争の原因は〇〇と〇〇、これを決断したのは〇〇、などと決められないものも数多い。
そうした未知へのロマンがあってこその学びだという精神的なゆとりと、講師の先生へのリスペクトの気持ちを持って授業を受けたいものだ。
2位:いつまでも質問し続ける人
講師の先生は皆、質問は大歓迎だという。なかには、授業の半分を質疑応答で構成している講座(某大学の心理学講座)もある。これは、講師にどんな質問が来ても答えられる知識と自信があり、なおかつ受講生との信頼関係が成立していないと、なかなかできないことだ。
ただ困るのが、延々と質問し続ける人、講義の内容と関係ないことを質問する人だ。
関東の古墳講座で、埼玉の古墳がテーマなのに、邪馬台国は畿内か九州か、その妥当性について質問し続ける人がいて、受講生がうんざりしたこともあった。
質問する人にも2タイプあり、講座の最後に堂々と手を挙げて質問する人もいれば、終了後にツツツツツ……と講師に近寄ってきて、10分も15分も話しかける人もいる。手を挙げるのは男性、ツツツツツ……は女性が多い。講座と講座の間の休憩時間は5分~10分程度。講師の都合もある。ぜひ空気を読んだ対応を心掛けたい。
1位:受講生とトラブルを起こす人
出ました、第1位は迷惑シニアの王道、暴走老人。ではいったいどんなトラブルがあるのか。
「公開講座にはシニアだけではなく、学部の学生も出席することがあります。でも学生は態度が悪いんですよ。講義中にスマホをいじったり、菓子パンを食べてたりする。すると、『ここは勉強をする場だ! やる気のないヤツは出てけ!』とキレて学生を怒鳴ったりするんです」と語るのは、某大学公開講座事務局の担当者。でもなんかこれは、ちょっとそのおじいさんに味方したい気分。
そのほか、席取りをめぐってもめたり、授業中に携帯を鳴らした人に高圧的に注意したりと、受講生同士でトラブルが起こるという。
きっかけはほんの些細なこと。それががまんできずにキレてしまう。これが高じると“暴走老人”などと言われかねない。
学びは自己を鍛錬する場。人に迷惑をかけずに知識と仲間を得たいものだ。
取材・文/まなナビ編集室 写真/(c)kazenoya555 / fotolia
初出:まなナビ