87才で今や年商5億円の「不動産女王」は宅建最高齢合格者
ピンク色のシャツにスリムなジーンズ姿。上下ともイギリスの女性デザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッドの洋服に身を包み、「ようこそお越しくださいました」とたおやかな表情で、和田京子さんは自宅に招き入れてくれた。
ヴィヴィアン・ウエストウッドの反骨精神に共感
「ヴィヴィアン・ウエストウッドは私にとって憧れの女性です。彼女の伝統にとらわれすぎることのない、前衛的なデザインと、社会の矛盾に立ち向かう反骨精神に、とても共感しています。私も不動産業界の反逆児として、新たな風を吹き込みたいと思っているので、戦闘服はいつもヴィヴィアンなの」
上品に笑いながらも、不動産業界に革命を起こすべく立ち上がろうとするバイタリティーがひしひしと感じられる。
転機は77才。宅建の資格を取得し不動産屋を開業
しかし、以前からバリバリ働くキャリアウーマンだったわけではない。20才で、結核を患い、死ぬことも覚悟した。結婚して2人の子供に恵まれたが、60年近くずっと専業主婦だった。そんな彼女に転機が訪れたのは77才。
「愛する夫が他界し、悲しみに暮れていたとき、孫の昌俊が、『学校に行ってみないか』と勧めてくれたのです。私は以前から不動産業界には興味があったので、テキストを読んだだけでも、“これは楽しい”と思いました。学校に行ってみると、宅建(宅地建物取引士試験)は日本国籍であれば、年齢も学歴も不問。その門戸の広さに感動し、すぐに入学を決めました」
夢中になって勉学に励み、79才で合格率16%の宅建に見事パス。80才の誕生日に資格を取得し、自宅に「和田京子不動産」を昌俊さん(29才)とともに開業した。
「不動産業界は最初に“あ”がつく名前が成功するというジンクスがあって、いろいろ探したんですけど、みなさん、すでに使われている。そこで和田京子とフルネームにしてみたらどうだろうと思ったら、誰も登録していなかったので、すぐに商号にしました。私は長年、主婦だったから、いつも『奥さん』や『お母さん』と呼ばれていたでしょ。だから、不動産屋の名前にして、自分の名前を呼んでもらいたいという思いもあったんです」