【認知症】早期発見が大切 もしや…のときのチェックポイント
日本全国で認知症高齢者数は約462万人。高齢化が進む今、2025年にはその数が700万人を突破し、65才以上の5人に1人が認知症になるといわれている。早めに対処すれば、進行を緩やかにすることが可能だともいう認知症。家族や周りの人をも巻き込む病気なだけに、大切なのは“早期発見”だ。
認知症は早期発見、先手必勝がカギ!
認知症専門医院『榎本内科クリニック』(東京・調布市)院長・榎本睦郎さんは次のように話す。
「認知症治療は、ここ20年でかなり進歩しました。元の状態に戻すことはできませんが、進行を緩やかにすることはできます。早期発見が治療のカギになるので、“おかしい”と感じた瞬間を見逃さないで」
榎本さんは、1か月で約1000人の認知症患者を診察する。認知症は恐ろしい病気と思われがちだが、正しい知識を持って早期に治療すれば怖くはないと説明する。脳の画像診断をすれば90%が早期にわかるため、何より受診することが大事だとも強調。
そして、認知症の治療は、投薬が主流となる。特に、アルツハイマー型認知症の場合、治療薬は4種類あり、怒りやすい、うつ症状が出やすいなどの症状に合わせて薬を選ぶ。薬さえ決まれば、通院も1か月に1回程度に。難しい治療の必要はなく、投薬で日常生活の支障を減らせるのだ。
「65才未満で発症する若年性アルツハイマー型認知症は、特に進行が早く、5年で寝たきりになることが多いのですが、投薬により、6年以上症状を抑えられている患者さんもいます」(榎本さん・以下同)
日常会話の中で確認するのがポイント
では、早期発見にはどうしたらよいのだろうか。そのヒントは、日常会話の中にある。
「まずは、気になるニュースを聞いてみてください。病気でないなら、“北朝鮮問題が気になるね”など、99%の人が、具体的な答えを返します。
一方、アルツハイマー型認知症の場合、返答率はわずか2%。“気になるニュースなんかない”“最近テレビを見ていない”など、取り繕った答えを返すのが特徴です」
また、“認知症”という言葉を本人に投げかけるのは絶対にダメ、と続ける。不安にかられて病院に行かなくなったり、大丈夫と見せかける嘘をつくようになるからだ。
「うまく病院に連れてくるかたは、“物忘れに効く薬があるらしいよ”“健康診断に行こうか”など、認知症という言葉を使わずに誘導しています」
認知症ではなく、「物忘れ」「健康診断」という言葉を使うと、恐怖心をあおらず、気軽に受診してくれるようだ。
身近にいる家族が“おかしい”と感じ、病院に連れてくる場合、ほぼ、認知症を発症しているという。家族の違和感は、何よりも確実な見極めになるのだ。