介護生活にハーブを!<5> グレース・ケリーも愛した「粘膜に優しい青いお茶」
今や、私たちの暮らしにおいて、様々な形で利用されているハーブ。西洋だけでなく、日本でも昔から健康のために、ハーブの力が生かされてきました。
介護生活にもぜひともハーブを活用してほしいと、写真家でハーバルセラピストの資格を持つ飯田裕子さんが、介護する人・受ける人へ、ハーブで健かな暮らしを送るヒントを提案するシリーズ。今回は、粘膜に優しいハーブティーの紹介です。
お茶を淹れる時間、そして、その香り、味、効用…いろんな形で介護生活にホッとする安らぎを。
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乾燥する季節の粘膜保護に
西高東低。絵に描いたような冬の天気図が続く季節ですね。暦では「大寒」を過ぎましたが、太平洋側は寒さと湿度の低さで乾燥し、身体の不調を訴える人も増えがちです。喉がイガイガし、粘膜が弱ってインフルエンザや風邪にかかりやすくなってしまうなど、心配が絶えません。
こんなときは、粘膜の保護効果が期待できる青いハーブ、「マロウブルー」のお茶でメンテナンスをすることがオススメです。
マロウブルーの和名はウスベニアオイ。アオイ科のゼニアオイ属に属する多年草で、ヨーロッパが原産で、花の部分を乾燥させたもので、ハーブティーにします。
ハーブティーにするということは、植物の有用な化学成分が水溶性であるということです。
マロウブルーティーは、穏やかなフローラルの香りで、味には強い主張がありません。お茶そのものにはとろみはないのですが、「粘液質」を成分に含んでいます。粘液質とは、ハーブに含まれる植物性の多糖類の一種で、水分をしっとり保持する成分のことです。
その粘液質が傷んだ胃腸や喉、泌尿器などの粘膜を優しく包み込みます。高齢の方からは唾液の分泌が減少し、「口の中が乾く」「夜になると喉がむせる」という訴えをよく耳にします。マロウブルーはそんな症状にも優しいハーブといえるでしょう。もちろん、お茶で飲んだ後の残りを、直接お肌につけても皮膚粘膜の保湿になります。
昔からヨーロッパでは、インナードライや肌の外用にも良いといわれ、家の庭に植えて薬箱的な存在としてマロウブルーを重宝してきたそうです。