兄がボケました~認知症と介護と老後と「第91回 後見人、初回報告はそろそろ完了」
認知症を患う兄の成年後見人となったライターのツガエマナミコさん。成年後見人に認定されるまでの手続きは大変でしたが、後見人になってからの役割もなかなかの重責。初回報告に悪戦苦闘しましたが、ようやく夜明けが近づいてきたようです。近況を綴ってもらいました。
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相続の手続きは早めに済ませることがお勧め
秋の気配の中、今夏は一度もスイカを食べなかったことに気づきました。持って帰るのも重たくて、冷蔵庫では幅を取り、一人暮らしでは食べ切るのに苦労するやっかいものでございますが、季節を代表するスイカは、年に一度は口にするのがポリシーでしたのに、それを食べそこなったことがこの夏の心残りでございます。
さて、先週、成年後見人の初回報告書を書き上げ、期日内に家庭裁判所に送りましたところ、即座に「相続財産目録が入ってなかったので送ってください」と連絡があったお話の続きでございます。
司法書士さまにその旨をご報告したところ、「今こちらで作成しています」とのことでした。相続財産目録は完成寸前まで来ていたようですが、なにやら昨年亡くなった叔母の保険が新たに見つかったとかで、その証書探しに手間取っているようでございました。
亡くなった叔母は独身だったので、認知症になって施設に入ってからのお世話は、長年きょうだい(わたくしの叔父と叔母)が分担しておりました。そのため情報が錯そうしているようでございます。叔父は認知症になってしまいましたし、存命している叔母も86歳という高齢。まさかこんな形でさまざまな書類が必要になるとは思ってもいなかったでしょうから、どこに何を入れたかわからなくなっていても仕方がございません。まして本人が若かりし頃に契約した保険類を全部把握していることの方が珍しゅうございます。
86歳になる叔母の娘(わたくしの従妹)が保険会社に問い合わせて証書を送ってもらうよう頑張っていると聞きました。でもわたくしの経験上、保険会社は「はい、そうですか」と簡単に証書を送ってはくださいません。自らの身分や本人との関係を証明するものを提出しなければならないでしょう。ひとつひとつ時間のかかることですが、やらなければ終われないのが相続なのでございます。
長年放置してしまったことが、何倍も手続きをややこしくしている要因でございますから、これから相続を経験する方は、後回しにせず、できるだけ速やかに手続きを済ませることをお勧めいたします。
司法書士さまも、「かなり大変です」と苦笑していらっしゃいました。実際に遺産がすべて判明し、現金化され、分割協議の割合で分配されるまでには多くの時間を要しそうでございます。その間にまた相続人のうちの誰かが亡くなると、手続きがやり直しになってしまうので、司法書士さまも必死でございます。
わたくしは、今、司法書士さまが作ってくださる相続財産目録を待っているところ。届いたら内容を確認して、それを家庭裁判所へ郵送する。それでやっと後見人の初回報告書が完了になります。
遺産は要らないと思っておりましたが、いざ貰えることが現実味を帯びてくると嬉しいもので、近頃のツガエは無自覚にはしゃいでおります。人が亡くなって生じる「遺産」で「はしゃぐ」のは不謹慎だとわかっていますが、お財布のひもが緩んでおりまして、この夏はフルーツ専門店のシャインマスカットを自分のために4回も買ってしまいました。そうです、スイカは買わずにシャインマスカットを買っていたのでございます。「遺産」の二文字で気が大きくなってしまったと反省しております。
まとまった資金ができたら運用して将来の老人ホーム入居費用にあてるのが、63歳一人暮らしの務めでございましょう。徐々に断捨離をし、保険や預金のこともきちんと整理して置いておかなければいけないと今回改めて学んだ気がいたします。
そんな矢先、3年前に亡くなった友人の旦那さまから友人が着ていたお洋服を譲り受けました。やっと少しずつ整理を始めているとのことで、「着れそうなのがあったら持っていって」と大きな紙袋に7~8着入っていました。大柄な女性だったので、わたくしには大きいと思ったのですが、着てみると意外にも遜色ないシルエット。それだけわたくしが彼女のサイズに近づいたわけで、素直に喜んでもいられませんが、結局全部がほどよい感じで、結果オーライでございました。
断捨離と言っているそばから断捨離しづらいものが増えてしまいましたが、亡くなって3年経ってなお、彼女との新たな思い出が紡がれていくような気がしています。若干心配なのは、彼女以上にわたくしが大きくなってしまうこと。それだけは食い止めなければと肝に銘じております。
文/ツガエマナミコ
職業ライター。女性63才。両親と独身の兄妹が、2012年にそれぞれの住処を処分して再集合。再び家族でマンション生活を始めたが父が死去、母の認知症が進み、兄妹で介護をしながら暮らしていたが、母も死去。そのころ、兄の若年性認知症がわかる(当時57才、現67才)。通院しながら仕事を続けてきた兄だったが、ついに退職し隠居暮らしを開始。2024年夏から特別養護老人ホームに入所。
