高齢者が安心・安全に使える「電気ポット・電気ケトル」選び方や最新商品を家電の達人が解説
肌寒い日が続き、温かいドリンクを飲む機会も増えているのではないだろうか。高齢者が火を使わずにお湯を沸かす場合、「電気ケトル」と「電気ポット」の選択肢があるが、どちらが使いやすいのだろうか。また、最新のトレンドや選び方のポイントは? 家電ライターの田中真紀子さんに解説いただいた。
教えてくれた人
田中真紀子さん / 家電ライター
家電ライター/家電を生活者目線で分析し、雑誌やウェブで紹介する家電のスペシャリスト。特に白物家電・美容家電に詳しい。自宅には最新家電を中心に200以上を所有し、年間300以上の記事執筆・監修に携わる。テレビ・ラジオにも多数出演。公式HP https://makiko-beautifullife.com/
高齢者には「ポット」と「ケトル」どちらがおすすめ?
沸騰させた後、そのまま本体を持ち上げて直接急須やコップにお湯を注げる「電気ケトル」と、沸騰後、本体を動かさずボタンを押すだけでお湯を注げる「電気ポット」。高齢者の一人暮らしや二人暮らし世帯には、どちらが使いやすいだろうか。
「高齢者がご家庭で使う場合、熱いお湯がたくさん入ったケトルを持ち上げたり、注ぐ際にこぼしたりするリスクを考えると、電気ポットのほうが安心です。
夫婦二人暮らしでそれなりの量のお湯を沸かすとなると、電気ケトルに入れる水の量が増えて重くなり、持ち上げて注ぐのは負担に感じるかもしれません。
一方で、高齢であってもお湯を使う人が一人しかいない、一杯分しか沸かさないなど、使う量や頻度が少ない場合や、手元の動作に不安がない人は、電気ケトルのほうが手軽に使えて便利でしょう。
電気ケトルは1回分のお湯が1分前後など短時間で沸かせますし、電気ポットのように保温する必要がないので、電気代が抑えられるのもメリットです」(田中さん・以下同)
ポット・ケトル|選び方のポイント
それぞれの選び方のポイントをチェックしておこう。
【電気ポット】小型で操作がしやすいか
一度に使うお湯が多めな人におすすめなのが、据え置き型の電気ポット。具体的にはどのような機能があるとよいだろうか。
「容量はニーズに合わせて選ぶのが原則ですが、ポットに給水する際にシンクに持ち運ぶなら、大き過ぎないものがいいでしょう。また、給湯ボタンが大きく軽い力で押せるか、操作パネルの表示が見やすいか、フタが開閉しやすいかもチェックポイントです」
【電気ケトル】持ち運びのしやすさと安全性をチェック
電気ケトルは「持ち上げて使う」ことを前提に選ぶのがポイント。
「電気ケトルは持ち上げて使うため、特に重さや、持ち運びやすい重量バランスかは要チェック。より手軽に使いたいなら0.8L前後かそれ以下にするといいですね。また、機能が多いものは操作も複雑になることがあるので、簡単に使えそうかも見極めて」
安全性も確認しておくとよい。
「特に電気ケトルは、できるだけやけどのリスクが少ない安全性に配慮されたものを。2024年には、転倒流水試験条件に満たさない電気ケトルは製造・輸入できなくなる措置が取られていますが、それ以前の製品の中には、転倒時に熱湯が漏れるリスクがあるものもあります。また、湯沸かし時に蒸気が外部に出ない構造を採用したものだと安心です」
さらに、フタの取り外し方法も、事前に確認したい。
「フタの開閉がしにくいものだと、給水のたびに苦労しますのでワンタッチで開閉できるタイプを選ぶといいでしょう。
なお、使用上の注意点としては、熱湯を使用した直後に、給水のためにフタを開けると湯気で火傷をする危険も。フタが硬くて開けにくいものは、開けた弾みで熱湯が飛び散る場合もあります。沸騰直後のフタの開閉は控えましょう」
あると便利な機能は?
電気ポット、電気ケトルに共通して、高齢者にあるとうれしい付加機能は?
「沸かしたいお湯の温度を設定できる機能は便利です。たとえば玉露は50℃、煎茶は80℃、コーヒーは90℃などと、飲み物や用途に合わせて使い分けられると、より飲み物がおいしくいただけますよね。
中には、一度沸騰させてから設定温度で保温できるもあります。主に赤ちゃんの粉ミルクを作る際に重宝される機能ですが、水道水のカルキ臭を飛ばしたり、除菌効果も期待できるので、あると安心な機能です」
もし予算に余裕があれば、「見守り機能」が付加された製品もおすすめだと、田中さん。
「電気ポットの中には、使うたびに離れて暮らす家族にお知らせが届く『見守り機能』が搭載されたものもあり、元気に暮らしていることを知らせる手段として利用されているご家族もいます」
以上を踏まえ、田中さんイチオシの電気ケトル・電気ポットをご紹介する。
高齢者のご家庭におすすめの最旬「ポット&ケトル」
※価格は11月4日時点、税込み。
