《ミスマガジンから転身》介護現場で働く岩佐真悠子さん&西田美歩さん「アイドルや女優は介護職に向いている」「中卒でも国家資格を取れるのは魅力的」
芸能界で活躍した後、現在は介護の現場で働いている岩佐真悠子さんと西田美歩さんが、12月14日に開催された「芸能界から介護職へ」をテーマとした特別イベントに登壇。介護の仕事においての壁である利用者とのコミュニケーションには苦労したと話す。そんな2人が見いだした、介護現場でのコミュニケーションの工夫とは? さらに、今後のキャリアについても語ってくれた。
最初に訪れる会話の壁をどう破るべきか
西田美歩(以下、西田):もともと明るい性格なので、コミュニケーションには自信があったんです。けれど、介護現場で働き始めて「みなさん、こんにちは〜!」と大きな声で言っても、シーン。「おぉ……」となりましたね。はじめはどうやって接したらいいのか、どんな風にフロアで過ごしていけばいいのかなって分からなかったよね。
岩佐真悠子(以下、岩佐):私もはじめは全然分からなかったので、よく話してくれる利用者さんのところにずっといたら、やっぱり怒られるわけですよ。同じ人のところばかりにいないで、まんべんなく行きなさいと。でも、どうしていいのか分からないんだもん。
西田:あるあるだよね。私は続けていくにつれて、基本的に利用者さんを褒めるようになりました。まずパッと見たときに、スカートすごいかわいいですねとか、髪型似合ってますねとか。ずっとこの髪型なんだ、おしゃれ〜!とかね。褒められて嫌な気分になる人はきっといないと思うので、そこできっかけを作って、話していて楽しいと思うようになっていただけたらいいなと。
岩佐:私も褒めることはよくします。あとは無駄に挨拶しまくる。目が合ったらおはよー! こんにちはー! と、とにかく明るく。
西田:目が合ったらとりあえず手を振ったりとかね。明るいやつなんだと印象付けるだけで、話してくれるきっかけになるので、意識しています。
岩佐:それと、困ったときによくする質問が、「お肉とお魚どっちが好きですか?」。イエスノーではなく、簡単に答えられて、かつ話題を広げやすいこの質問が私の中でいいなって。天気の話とかありがちですけど、自分が振られて面白くない話題は出さないです(笑い)。
西田:でもさ、天気からいろいろ広げられることもあるよ。今日はちょっと風強くて寒いから鍋食べたいですね〜、鍋の具材は何が好きですか?とかね。
岩佐:たしかに。季節のお花とかフルーツの話にも広げられるかも。
“フリ”から失敗すれば辛くない
西田:笑いが起きるポイントもあるよね。失敗すると笑ってくれるとか。
岩佐:たしかに、教える側のあんたもできないんかい! みたいな流れで笑ってくれることは結構あります。
西田:最初にフリで、「みなさんの前でこれやるの初めてなんですけど、昨日すっごい練習してきたんでたぶん大丈夫なんですけど」って言いながら実際にやってみたら「あー失敗した!」って笑いが起きたりとかね。
岩佐:西田のようにやりきってガツンとスベるのがいい気がします。普通に話して反応がないと結構つらいんですけど、スベるだろうなと思って反応がないのは心構えができているので、精神的にそんなにつらくないんですよ。スベったスベった、面白くなかったですね〜と流せますからね。
介護士はどんな経験も活かせる職業
岩佐:芸能界にいると、声が通りやすくなるので耳が遠いかたにも聞き取っていただきやすいですし、表情筋がよく動くからこちらの表情が伝わりやすいんですよね。認知症のかたが同じ話をしても、リハーサルで慣れてますし。
西田:舞台なんて何十回も同じ稽古をしますから、同じセリフとリアクションを繰り返すことに慣れてるんですよね。
岩佐:私たちは同じこと何回やらすねんってことを芸能界で経験しているので、あまりストレスにならないよね。
西田:アイドルや女優はおそらく介護職に向いてるんですよ。アイドルなんてずっと笑顔をキープしてるし、女優は役作りがありますから。
岩佐:利用者さんに娘だと勘違いされたり、急にお医者さんにされたりしても、アドリブでなんとかなるんです。やらないほうがいい場合もありますけど、臨機応変に対応することが求められるので、意外と役立っているんですよね。
西田:私は芸人さんが多い芸能事務所に所属していたので、楽しませたり、すぐにテンションを上げたりといったことが得意なんです。そんなことも介護の現場で役に立つんですよね。芸能界だけでなく、どんな経験も活かせる職業なのではないかと思います。