《“骨の世界的権威”が直伝》「骨粗しょう症」予防のために積極的に摂りたい栄養素「カルシウムだけでは足りない」その理由
2019年4月~2020年3月に慈恵医大の新橋健診センターで健康診断を受けた5518人を対象に調査を実施した結果、日本人の98%は、カルシウムが腸管から吸収されるのを助け、骨を形成する骨芽細胞の働きを促すビタミンDが不足していることを、私たちの研究チームは2023年に明らかにしました。
島津製作所と新開発した測定機器によって、日本で初めて正確な数値(血清中のビタミンDの基準濃度)を計測することができたわけですが、その結果は、女性では7~30ng(ナノグラム)/、男性では5~27ng/、全体で6~29ng/となり、健常人の98%が日本内分泌学会が提唱するビタミンD基準濃度である30ng/に達していないことが判明したのです。
この調査結果をもとに、ビタミンD不足への対策を述べるとしたら、ビタミンDを多く含む以下のものを積極的に食べるといいということになります。
サバ、アジ、サケ、マグロ、サンマといった脂肪性の魚や卵、チーズ、シイタケ・エリンギなどのキノコ類など。
また、日光を適度に浴びることも大切です。紫外線を浴びることで、皮膚でビタミンDの生成が促されるので1日に1回は日光を浴びてください。
これらの方法にぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、同時に私は、実効性が低いとも思っています。食事を改善する話は、時折テレビのバラエティー番組などでも取り上げられて、放映直後は皆さんスーパーへ食材を買いに走ったりしますよね。
食材が数日間売り切れになったりしますが、それは一過性で、結局3週間と続きません。
そう考えると、本当に日本人のビタミンD不足を改善するには、サプリメントも考慮することが必要だと思います。足りていない人が98%もいるというのは、それくらい深刻な数字なのです。
海外では、乳製品にビタミンDを添加するよう義務付けて、国として積極的な対策を講じています。合理的なやり方だと思います。